表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
凡人の俺にだけ“声”が聞こえるようになった件 ―地方創生チート始動―  作者: バグ製造機
高校生出会い編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/34

第20話 通信高校の天才? 笑わせる

 ――新聞に載って浮かれてから、三日後。


 俺たちの「天才高校生」なんて見出しは、地元でちょっとした話題になった。親戚から電話が来たり、近所で冷やかされたり……けれど、リリアの冷徹な声に釘を刺されて以来、俺たちは妙に現実的な顔つきで過ごしていた。


 そんな頃。


 朝の通学路。灰色の雲を背に、進学校の制服を着た成田俊は足を止めた。


 手にしていた新聞の片隅に、小さな記事が目に入ったのだ。


 ――『16歳の高校生、方言アプリを開発 “天才”と評判』。


 モノクロの集合写真。その中に“工藤誠”という名前がある。


(……工藤、誠? 聞いたこともない名前だな。どこの誰だよ)


 俊は鼻で笑いながら、胸ポケットの校章に触れた。

 成田俊――蒼護中央高校の二年。学年でも上位を維持し、市長の息子として周囲からも期待を背負っている。幼い頃から「エリート」と呼ばれて育ち、いつしかそれが自分の当然の立場だと信じて疑わなくなった。


 記事を読み進めると、一文が俊の目を射抜いた。


 ――「今回のアプリはMVP(最小実行可能プロダクト)。今後は正式リリースに向けて改良を進める予定」


「はっ……MVP? 正式リリース? 高校生のガキが気取って使う言葉かよ」


 俊の胸に、昨年の記憶が蘇る。

 進学校の発表会で「方言とデジタルの融合」を熱弁した。だが、市長である父にさえ鼻で笑われ、教師にも仲間にも相手にされなかった。


 ――それが今、どこの馬の骨とも知れぬ凡人が“天才”なんて呼ばれて新聞に載っている。


 俊は唇を歪めた。プライドが高く、人を見下す癖がある。だからこそ、自分より評価される存在が現れることに耐えられない。


「……通信高校?」


 記事末尾に小さく記された校名に、俊は思わず吹き出した。


「はは、マジかよ。よりによって通信制? そんなとこ、勉強もロクにできない奴が集まる場所だろ。――そこで“天才”? 笑わせんな」


 俊は新聞をぐしゃりと潰し、また丁寧に伸ばす。記事の紙面をにらみつけ、口の端に嫌味な笑みを浮かべた。


「正式リリースねぇ。面白そうじゃん。だったら俺が仲間ヅラして入り込んで……全部ぶち壊してやる。凡人の勘違いなんざ、俺が証明してやるよ」


 父の力なんて借りない。自分の手で、直接こいつを叩き落としてやる。


 俊は新聞を折りたたみ、鞄にしまった。足取りはわざと軽やかに。だが笑みは、冷ややかで歪んでいた。


(“天才”工藤誠、ねぇ……。せいぜい今のうちにちやほやされとけ。お前がただの凡人だってこと、俺が証明してやるからな)


 そう思いながら校舎へ向かう俊の背に、朝の光が冷たく落ちていた

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
⭐ 感想やブックマークで応援していただけると嬉しいです! 次回更新の力になります!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ