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凡人の俺にだけ“声”が聞こえるようになった件 ―地方創生チート始動―  作者: バグ製造機
高校生出会い編

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第15話 オンライン会議とリリアの斬新提案

 夜。俺は迷った末に、スマホを握りしめて発信ボタンを押した。

 呼び出し音のあと、落ち着いた声が耳に届く。


「――工藤くん?」


「はい、あの……先生。少しお話、いいですか」

 声が少し震えていた。俺は今日の登校日での出来事をかいつまんで説明した。

 大哉や小春と“何か始められないか”と話したけれど、結論が出なかったこと。

 それでも、どうしても挑戦してみたい気持ちが残っていること。


 黙って聞いていた先生が、やがて静かに口を開いた。


「挑戦してみなさい。大丈夫、失敗しても学びになるわ」

「……でも、失敗したら怖いです」

「無茶はしないでね。私は見守っているから」


 その優しい声に、胸がじんわり温まる。


「もし不安なら、オブサーバーとして参加しましょう。口は出さない。ただ、あなたたちの挑戦を静かに見守るわ」


 思わず苦笑いが漏れた。

「……なんだか、顧問みたいですね」


 一瞬、受話口の向こうで間があった。

 そして、少し柔らかく笑う声が返ってきた。


「顧問、ね。そう思ってもらっていいわ」


 電話越しなのに、先生が微笑んでいる姿がはっきり思い浮かんだ。



 数日後。俺、大哉、小春の三人は、初めてオンライン通話で顔を合わせた。

「おー、繋がったな!」大哉がいつもの調子で声を張る。

「ちゃんと映ってる?」小春が不安そうに画面を覗き込む。


「えっと……実は今日、もう一人参加してもらうことにしてるんだ」俺は少し真面目に切り出した。

「マジ? 誰誰? 気になるんだけど!」大哉が目を丸くする。

「えっ、知らない人?」小春も首をかしげる。


「うん。俺が昔から世話になってる人で、まあ……保護者みたいな立場の人かな。今日は“オブサーバー”として見てもらうだけ。口は出さないから安心して」


 そう説明すると、画面に新しい窓が開いた。

 そこに映ったのは、落ち着いた微笑を浮かべる女性――戸来塚マリア。

 柔らかく光を受けた髪、整った顔立ち。どこか異国の香りを漂わせるその姿に、二人は息を呑んだ。


「はじめまして。戸来塚マリアです。今日は見守るだけにしますので、気にせず話を続けてください」


 大哉が思わず声を上げる。

「……え、めっちゃ綺麗じゃね!? モデルとかじゃないの?」

 小春も目を丸くして、「すご……ハーフなのかな」と呟いた。


 俺は気恥ずかしくなって、画面を伏せかける。

「……やっぱり顧問みたいだ」

 マリア先生はふっと微笑んでみせた。



「それでさ、この前出た案をもう一回整理しようぜ」

 大哉が仕切るように言う。

「魚を配る、とか」

「宿のお客さんにスマホを教えるとか……」小春も続ける。


「悪くないけど……なんか、決め手に欠けるんだよな」俺は呟いた。


 その時――

――『提案:高齢者が“困った”を簡単に送信できる仕組みを設計してください。初期段階は紙や既存アプリを利用し、将来的に専用アプリ化します』


 リリアの声が脳裏に響いた。


「例えばさ」俺は自然を装って口を開く。

「“困りごとを簡単に送れる仕組み”を作ったらどうだろう?」


 小春がぱっと顔を輝かせる。

「それ、うちの宿のお客さんに絶対必要! 予約も観光も、よく聞かれるし!」

「魚配るよりよっぽど現実的じゃねーか!」大哉が笑う。


 マリア先生が静かに言葉を添えた。

「発展性があるわね。無理せず、少しずつ形にしていけばいいのよ」



「でもさ、これタダでやってたら、ただの便利屋だろ?」大哉が首をかしげる。

「最初は“お気持ち”でいいんじゃない?」小春がぽつりと言う。

「まずは無料で試して評判を作って、需要があれば有料にする。それなら現実的か」俺が考えをまとめる。


――『補足:実証段階ではデータ収集を優先。需要が確認できた時点でマネタイズ設計に移行してください』


(……やっぱり“仕組み”を考えなきゃダメなんだな)



「じゃあ、次は“どう仕組みを設計するか”を考えよう」

 俺がそう言うと、大哉が力強くうなずき、小春も笑顔で賛同した。


 通話を終えたあと、画面を見つめて俺は呟く。

「これが……俺たちの最初の一歩になるのかもしれない」

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