危険?
秋葉原で携帯を決めてそのまま店内を引き回されてる。地デジ対応のPCを
店員さんに説明してもらってると思ったら
「これかこれだね。どっち?」
「え?え~~~~~~っ私の?いいんですか?」
「いいんです。居間にテレビ無いから自分の部屋で視てもらうし。
高校生ならPC持って無いと困るでしょ?どっち?」
「こっちで・・・・」
「それじゃ、これください。メモリは最大限増設して、
アンチウイルスソフトは家にあるから」
そんな調子で目覚まし時計やいくつかの家電製品を買って配送の手続きをして
携帯を受け取って店を出た。
「あの・・ありがとうございます。こんなにしていただいていいんですか?」
「全然かまわないよ。携帯のストラップも買ったし、基本的なことは
どんどん言って。明日は寝具家具だけど遠慮なしね。」
「お下がりでも、使わなくなったものでも大丈夫ですから・・・・」
「15歳年下だからね。流用できるものは少ないし、全滅状態だから気にしない。
娘達も遅くなるみたいだから夕飯どうしようか。何か食べたいものある?
和洋中とかリクエスト。固有名詞でもOK」
「洋風のお肉が食べたいです」
家の近くへ戻って小さなビストロへ入った。メニューの解読というか
調理方法が意味不明。ポアレとグリルがどう違うのか出てくる料理の
イメージが湧かない。ハンバーグは無いのかハンバーグは・・・・
「ファミレスと値段もほとんど変わらないし女の子一人で食べにきても
大丈夫だから。苦手なものがあれば言ってくれると除外して頼むよ?」
「牛肉が食べたいです。苦手は・・・らっきょう」
「それじゃ新じゃがのポタージュ、リブステーキのミラノ風、
気まぐれサラダだけ1つ。ハウスワインの赤、デカンターで、グラス2つ」
注文が終わって伯父が話を始めた
「色々不安もあると思うけど、相談して。言ってくれないと分からないしね。
外側を固めてアドバイスは出来るけどどうするか決めるのは自分自身だから。」
「高校の授業に付いていけるかどうかが心配です。周りに知り合いが
いるわけでもないし・・上京するときから分かってたことですけどね。
全部リセットされたところから始めるのは
過去が切り捨てられることですから逆に気が楽です。」
「授業に関しては大丈夫じゃないかな?合格するだけの学力があるわけだ。
高校の授業ってのはある意味ではお稽古事の範疇を出ない。
職人仕事と同じで経験の積み重ねであるレベルまで到達できる。
過去の切捨てね・・・中学で何かあったのかな?いじめとか?」
「あは・・分かります?結構きついことされました。
去年の暮れには警察沙汰にもなったけど学校ぐるみで隠蔽してくれました。
合気道の有段者で県警で護身術習ってたから反撃しなかったけど」
「警察沙汰ね。転居先調べて東京までやってくるようなら問題だがそうでなければ放置して
新しい環境でやり直すのが建設的ではあるが・・・貴美ちゃんはどうしたい?」
「もう忘れてやり直しかな?秋田の前が大阪でしたから訛が心配ですけど訛ってます?
もちろん学校といじめてくれた連中には少し何かあっていいはずだとは思ってます。」
ワインを飲むのは初めてじゃないけどゆっくり食事して会話しながら飲むのは初めてかな。
お料理も美味しい。ひょっとして飲み方を教えてくれてるのかな。
「少し何かか・・・秋田県警ねぇ・・・デザートは盛り合わせでOK? 食後はコーヒー?」
「ええ。それでお願いします。って・・?」
伯父は携帯を取り出して外へ電話をかけにいった。
「ちょっと再調査プッシュしてきた。学校と加害者はちょっと不愉快な思いするかもしれんけど」
「え?」
「まぁ、知らなくていいよ。秋田県警が動くだけだから」
にやりと笑って伯父はデザートに手をつけた。
この人本当は怖いのかも・・・・・・