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買い物

「けっこう飲めるね。1合で口が軽くなって2合でちょっと顔に出る。

3合飲んでも乱れないんだから今年高校生で立派なもんだ。」


「お前達は中学でそのくらい飲めただろうに。血統なんだろうね。

大学生になったら何人の男が潰されるのやら」


「潰れた人数なんて覚えてないけど告られて御免なさいした数よりは少ないでしょー

 高校時代私が30人で由美が26人

 姉妹間違えて告ったのが8人までは覚えてるけど面倒になって数えるの止めた」


「ふん・・・そのおかげで嫁に行きそびれたのが約二名・・・

 ま、明日からよろしく頼む」


「「はーい」」








誰かが呼んでる・・・・


「貴美ちゃ~ん」


ん・・・夢? 肩を揺すられて目が醒めたら亜美さんが目の前に


「ふぇっ お、おはようございます」


「そろそろ8時半だよー 起きてご飯ね。出かける準備しないと。

お疲れみたいだけどちょっと我慢してね」


貰ったばかりの下着を身に付け、借り物のワンピース。秋田で何枚か

買ってもらった下着とシャツ2枚。セーターとコートが衣類の

全部だからしかたがないけど、

買い物のお金とかどうしよう・・・・お小遣いの通帳あるから郵便局で下ろさないと。

身つくろいしてキッチンへ降りると封筒が差し出された。


「これ、お父さんからとりあえずのお小遣いですって。交通費とか細かいものとかお茶するのにって」


「あのっ・・洋服とかお布団とか生活用品はお下がりでも何でもかまいませんから・・

学費とかアルバイトしないと」


「あぁ、一切気にしないでちょうだい。家族の一員になったんだから家族で支えるの当たり前でしょ?

アルバイトはこの家にいれば必然的にするようになるし、それで高校生のお小遣いには十分かな。

必要なものは申告して。歯ブラシ一本から生活用品揃えるんだから抜けがあるのは

当たり前だけど足りないと困るんだから」


表通りでタクシーに乗って遊園地に併設されたショッピングモールに連れてこられた。

上に温泉施設やスポーツクラブがあるみたい。

下着屋さんへ引っ張り込まれおどおどしていると亜美さんがてきぱきとぱんつやインナー類を

カゴに入れていく。本人の趣味は無視ですかそうですか・・


「ブラのサイズ間違いないと思うけど再確認ね。すみませーん、これ試着お願いしますー」


フィッティングルームに店員さんと一緒に入って再確認。外国製のがジャストフィットだと言われた。

ユニクロとか他も廻って大荷物を持って戻り、すぐにまたお出かけ。


「化粧品はね、最初から高級品使ってると将来お金かかりすぎるの。

自分の収入で無理なく補充できる金額のにしないと」


なんて言われながら一揃い買ってもらってお昼を食べることになった。

ランチを食べて近くのコーヒーショップに入ると携帯のカタログを渡されて


「お父さんが来るまでここで待っててね。キャリアはここになるからどの機種が

欲しいか検討しといて。防水がお奨めかな。

それから・・標準服とか靴とか値段のことは気にしないこと。おそらく別のものも

買おうって言うけど黙って買ってもらいなさい」


笑いながら亜美さんは席を立った。ふむふむ・・中学では学校に持ち込み禁止だったし

興味もなかったけどいろんなことができるんだ。

とりあえず通話とメール、テレビも見たいしお財布も使ってみたいけど定期として

使えるのかな?パソコンも無くなってしまったしCDも全滅だった。

後、何がいるんだろ。教科書と文房具と・・机とかは何とかなりそうだし、

どこで勉強してもかまわないんだけどな。

自分の居場所は確保してもらえるみたいだしこれ以上望むのは贅沢だと思う。

これといった公表できる趣味も無いけど、本屋は沢山都内にあるだろうし。

近所にブックオフあるのかな?今度聞いてみようっと。公表できない趣味のほうは・・

コミケとか近いしとらのあなとか秋葉も行ってみよう。




「お待たせ。行こう」


伯父の声がした。


「はい。制服の指定店ってどこなんですか?」


「日本橋三越」


「へ?」 


伯父が手を挙げてタクシーを停める。行き先を先ほどの単語を繰り返して告げた。


「そんなに珍しいことじゃないよ。共学になってから50年位変更されていない制服で

指定店も変わってないんじゃないかな?」


売り場に着くとさくっと注文してくれた。


「永田町高校の制服夏冬2着。ワイシャツは7枚、半袖を5枚。サイズがあれば

出来合いで構わないけど無ければオーダー。上履が一足。

こんなもんかな? あぁ、校章も正章と略章と1つずつか」


ワイシャツを着た状態であちこち採寸された後、一着の制服を手渡された。


「これを着てみてください。サイズの基準にはなりますがフィットしないでしょう。

身幅出しても限度があるし1サイズ大きいと丈が合わない。できれば

イージーオーダーをお奨めします」


更衣室で着替えて出ると伯父が何とも言えない顔をして見ていた。

店員さんもちょっと困った表情をして袖丈をあわせてる。

カードを取り出しながら


「まぁ元々ださい制服ではあるからなぁ・・イージーオーダーでお願いします。

入学式前の納期で大丈夫ですよね?」


「はい。お支払いは一括でよろしいですか?」


「「「ありがとうございます」」」


店員さんの声に送られて売り場を後にする。


「後は靴と携帯かぁ・・とりあえず銀座へ行くべ。踵の高い靴は履いた事ある?」


「いいえ。ほとんどスニーカーと冬靴くらいで」


「銀座の老舗で買い物するのも社会勉強だわな。慌てないで黙って座ってればいいから」


タクシーの中でそんな話が続いていた。





銀座の靴屋さんの2階。さっきから椅子に座ったまま固まってる。

座ったら30代の店員さんが足のサイズを細かく測って伯父さんより年上の店員さんが

目の前にさっきからかしずいてる。あの・・大げさだと思うんですけど。

店に入ってきょろきょろしてたら伯父さんが店員さんを呼んだ結果がこれ。


「えーっときちんとした通学用のローファーが一足、雨用の合皮が一足。

オーソドックスなパンプスが一足、春夏用のサンダルが一足、スニーカーが一足。

ハイヒールは初めてらしいから選択はお任せ。こんなもんかな?」


「初めてのハイヒールですと余り高さのあるのはお奨めできないですね。最高でも7㎝でしょうか」


ローファーが何足か持ち出されて次々と試していく。でも、一足二万円近い値札が付いて

いるんですが大丈夫なの?


「あのっ、小娘には高級過ぎないですか?」


「黙ってすわってるのがお約束。一番足に合うのを選んで」


にやりと笑って伯父さんはまだこれから成長するから足に負担がかからないのを

持ってくるように店員さんに促した・


「そうですねぇ、これは柔らかくてサイズはお嬢さんの足を木型にしたような靴ですが。」


何これ・・履くというより足の裏に吸い付いてる感覚なんですけど。


「ぴったりですね。それじゃこの木型を使ったパンプスとサンダルを出してきましょう」


デザインと色を決めると若い店員さんが靴を取りに行く。

履いたまま他の靴も見てくださいと促されあれこれ見るけど値段が怖いんです。

いつもホームセンターみたいなところでスニーカーとか買ってる感覚からすると一桁値段が違うし。


「これなんか可愛いんじゃない?」


サテンピンクで足首をベルトで止めるタイプのサンダルを指差して伯父さんが店員さんと

話してる。


「貴美ちゃん、これも履いてみて」


年配の店員さんがかしずいて履かせてくれる。いきなり背が高くなった気分。


「それじゃ選んだの全部お願いします。パンプスは履いていきますから他は送ってください」


伯父さんが会計を済ませて店を出た。


「あのっ!贅沢すぎると思うんですけどっ」


「ん?金額は気にしないでいいし。まぁ・・靴を買い与えるのはオヤジ全般の楽しみだと

覚えとけば問題ないよ。それに店員さんがかしずいてくれたのは特別扱いじゃない。

一人で行っても同じだし、ちゃんと接客してくれる。

金額が高いと感じたかもしれないけど、プロがちゃんとしたものを勧めてくれるのが

銀座ってところだから。履き心地はどう?歩き方はつま先から蹴り出す感じだそうだけど

習って練習だね」


今まで履いた靴の中で一番の履き心地だけど・・・・


「次は眼科で検眼してコンタクトと眼鏡だ。同級生が眼科やってるからそこで

処方箋と使い捨てのお試し貰って秋葉」




はぁ・・疲れてきた


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