家族
伯父と叔父、小父だと意味が違うし。おじさんとひらがな表記
すべきなのか・・・
伯父さんが音頭とって
「献杯」
「あの・・私も飲むんですか?未成年なんですけど」
「飲めるのは弟から聞いてた。大っぴらに飲ませるわけにはいかんけど、
外で飲んで醜態晒すよりはいいんじゃない?」
「父の晩酌にお付き合いしたことはありますけど・・冷酒は初めてです」
・・・・美味しい。今まで飲んだ日本酒と全然違う。ふわっとしたお酒の香りとすーっと通る喉越し。
獺祭の純米大吟醸ってお酒なんだ。濃厚な雲丹にも、あっさりした白身のお刺身にも
溶け合って嫌味が無い。
両親のことや、中学のこと、卒業式の予定とか話している間に4合壜が空いた。
別の壜が出てきたけどこれもすっきりして美味しい。
磯自慢の大吟醸、静岡のお酒だって。ゆっくりと酔いが回ってくる
「あんまり酔わないうちに自己紹介しとく。俺、滝沢和夫。54歳。仕事は非常勤の勤務医ね。
専門は形成つか『手』
「私は亜美。見ての通り妹と一卵性双生児。今年で三十路・・
仕事は病理だけど今、大学院の博士課程
「由美で~す。皮膚科が専門で大学病院で勤務中」
「これが我家の猫神様みーちゃんね。20歳以上後は不明」
「ずいぶん若い頃にパパになったんですね~医学部だと学生結婚?」
3人は顔を見合わせて頷いた。みーちゃんを膝に乗せて鮪を食べさせながら伯父さんが
「そっか・・貴美ちゃんが生まれる前の話だからなぁ・・お父さんに兄が2人いたって知ってるかな?」
「ええ・・聞いたことはありますけど、一番上の兄さんは私が生まれる前に亡くなったと・・え?」
「そう。兄貴の娘だから血縁としては姪になるんだよ。貴美ちゃんと同じ。」
「でも、お父さんって呼んでるでしょ?叔父さんが正式な関係?」
「大学出るときに養子縁組したから。未成年のときは後見人の叔父さん、
その後叔父さん、その後お父さんね」
「今の貴美ちゃんと同じだよ。俺んとこへ来たのは中二だったけどね。つーことでまだ独身だから」
にやっと笑う伯父。座ってるとごく普通に見えるけど立ち上がると180はありそうな上背。
兄弟だから当たり前かも
しれないけどお父さんと似てる。
伯父のほうがちょっと鋭い顔かもしれない。基本的に無口なのかな。
「ところで明日服とか買いに行くんだけど・・ブラのサイズ合ってる?」
亜美さんが邪悪な目でこちらを見る
「えっ・・・合ってるはずですけど」
「ん・・それじゃサイズ測定! 身長は150・・ついでに測るか。由美、
私の部屋で計測するからメジャー持って来て。」
「ちょ・・あうあう・・」
「きりきり立ちませーい。さっさと測定♪さっさと測定♪」
固まってるところをがっちりと由美さんに確保されてしまった。
双子の姉妹に両脇を抱えられて連行された。CIAに捕まった宇宙人の気持ちが
ちょっとだけ理解できる。
伯父は苦笑して座ったままひらひらと手を振ってるし。
連行された部屋は8畳くらい。豪華ってことはないけど落ち着いた暖色系で統一されてる。
ベッドと箪笥とチェストに本棚。お医者さんの部屋ってもっと本とかあるのかと思ってた。
「さ、脱いでブラ外して両手をブラのホック外すあたりに持って来て前かがみになって・・
由美測って」
「アンダー65、トップ・・90 65Eね。今着てるのが70Cで不適合。綺麗な胸してるのに下がるよ?」
「研修医やってた時代のサイズだから・・えっと・・未使用のが確か・・これ付けてみて」
「駄目駄目!もっとお肉を胸に回して、ぐいっともっと!ええぃ!こうやるのよ」
「ひゃん!駄目っ あぐぅ ぐげっ あぅあぅ・・」
思いっきりブラの中に手を突っ込まれてお肉寄せられてるんですけど。背中から脇から下から・・・
ストラップを調整されてちゃんと位置決めされた状態で鏡を見ると谷間が・・・谷間が出来てる。
バストトップも上がってるつか巨乳化してる。セーター着ても違いは明らか。
そのまま居間へ降りると伯父さんがこちらを見てちょっと眉を上げた。
「未使用が2人で6枚出てきたから使って。小さいけどスタイルいいじゃない。
ウエスト57って羨ましいわ。身長もこれから伸びそうだし色白できめ細かい肌なのね。
問題は髪というかヘアースタイル。
絶対ショートが似合いそうなんですけどかなり痛んでるのよねぇ」
「でも、髪質そのものは悪くないんじゃない?漆黒じゃない・・
染めてないよね?緑色入ってる気がする。私もショートに一票」
「眼鏡外して前髪ちょっと上げてみて・・・・・ん、この子とんでもない拾い物かも。
俺もショート支持・・・コンタクトか縁無し眼鏡にして前髪薄くするか上げるかだな。
日曜日にエステも含めて加畑んとこに放り込んでいじってみる?電話しといてあげるけど。」
「かはた?」
「そう。銀座でサロン・ド・カハタって美容室やってる」
「銀座にあるサロン・ド・カハタ?テレビで見たことあるセレブ御用達の超高級カリスマ美容室?
そんなっ!とんでもなく高いんでしょ?いつも2500円でカットのみで済ませる中学生が
行くようなところじゃないですよ」
「超高級なカリスマはともかく、大丈夫だよ。高校の同級生で知らないわけでもないし
娘達も年に何回か通ってる・・・
入学祝ってことでお金の心配しないでいいから。日曜日に3人で行って磨いてきて。」
「えー」
「「はーい♪」」
「女子高生改造計画って・・我家はショッカーかよ。貴美ちゃん、
色々あって疲れてるはずだからそろそろ寝たら?
明日は9時過ぎに出れば十分だけど、俺と由美は早いし。」
「そうですね、ではおやすみなさい」
唯一の親戚だけど何だかとんでもない家に同居するようになった気がする・・・
その夜、私はスイッチが切れたみたいに寝た。
酒と下着のお話になりました。
はっちゃけるにはそれなりの下地が必要・・・かな?