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狂依存  作者: 橘スミレ
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第八話

 靴を履き替え、杏さんと共に歩き出す。

「あの、」

「なーに」

 興味なさげな声をしているが顔は笑っている。近くで見るとやっぱり綺麗な顔をしていて声が出なくなりそうだが勇気を振り絞って話す。

「さっき、なんて言おうとしたんですか?」

「秘密」

 即答された。だが秘密にされると余計気になるのが人の心。

「教えてくださいよ」

「絶対駄目」

 聞いても答えてくれる気配はない。諦めて別の問いに変える。

「そういえば朝、顔赤かったけど大丈夫ですか?熱とかないですか?」

 彼女の額に右手を、自分の額に左手を当てて比べてみる。熱はなさそうだ。

「今は下がったのかな?熱くなかった」

 だが杏さんの顔を見ればまだ赤い。やはり体調が悪いのだろうか。

「熱はないけど…頭痛かったりしないですか?」

「しない」

「お腹は?」

「なんともない。体調悪いとかじゃないから」

 彼女はこれ以上の追求を拒んでいるが体調不良はほっとくと大変なことになる。

「でも……」

「なんともないから」

「だったらどうして赤くなっているのですか?」

「鬱陶しいなぁ。あんたが好きだからだよ。わかった?」

 杏さんはそれだけ言うと走り去ってしまった。私は脳が追いつかず、ぽかんとしてしまった。

 杏さんが私を好きと言った。私は杏さんが好き。つまり両想い。彼女と私が両想い。

 そんな奇跡があってもいいのだろうか。私は思わずその場で叫んでしまった。


「さーて、あの二人はどうなったんだろうな」

 人のいない教室で奈々は一人、夕焼け空を眺めていた。補習は嘘だ。先生に呼び出されたのも嘘だ。正しくは養護教諭の鈴木さんに質問に行っていたのだ。主にcolorについて。

 どうやらcolorは首輪のような形でなくてもお互いにcolorと認識していて常に身につけられるものならなんでも良いらしい。主流は首飾りだが、ブレスレットや指輪でも良いらしい。

 最近の流行りはネックレスらしいが相手の好みに合わせて決めるのだとか。Subである鈴木先生の初デートもcolorの買い物だと言っていた。

 その話ならDom・Subである彼女たちが一緒でもよかったはずである。それでも嘘をついた理由は三つある。

 一つは二人を進展させるため。邪魔者は退場という話だ。

 もう一つは質問についてあまり言及してほしくないから。パートナーになる予定のSubがいるとバラしたくなかったからだ。

 最後はそのSubの子が少し待てば一緒に帰れることになったからだ。私だって邪魔されたくない。

 私は手元にある冊子を見る。これは保健室でよかったらと鈴木先生にもらったパンフレットだ。そこには様々なネックレス、チョーカー、ペンダントがあった。中にはチェーンに指輪を通しておくタイプもあるのだとか。彼女にどれが似合うか、彼女はどれが好きか、想像しながら一人待つ

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