今日はVC点けないでおこうと思った僕。防音だと分かったのでVC点けます(1)
どう足掻いてもアンプリコンビとは話す運命のようです
瑞樹さんには悪い事したなぁと一人リビングで反省した後、部屋に戻ってパソコンに向かった僕が見たものは……
「しつこいなぁ……」
アンプリからの鬼メッセ。彼女達のストーカーメッセの一部を公開しようと思う。それがこちら
“ブジャル!! ワレェ! 正々堂々と戦えや!”
“ブジャルしつこい! アンジュと遊びたいならチャージ投げろ!!”
プリンチは三下ヤクザ口調で自分の土俵に上がらせようとしている必死さを醸し出している痛々しいメッセ。アンジュはあからさまに金を要求している架空請求業者顔負けの乞食メッセ。どちらとも中身を開けて読む必要はなく、そのまま消去して差し支えないもの。突っ込みどころ満載過ぎるでしょ
「僕は正々堂々と戦ったし、UWОは課金なしでも十分に遊べるからアンジュと遊ぶときだけ課金する必要皆無なんだけど……この二人の思考回路は理解に苦しむ」
配信者が頭おかしいとリスナーもおかしいのが集まる。前にアンジュをボコボコにした配信者が言っていた言葉だ。僕もその意見に全面的に同意。類は友を呼ぶ。その通りだ。頭のおかしい人間の周りには頭のおかしい奴が集まる。アンジュの囲いで唯一VC点けるのがプリンチなんだけど、頭おかしいのは言うまでもない。リアルで女に縁がないからゲームで粋がってるのがよく解かる
「はぁ……」
当初の目的だった瑞樹さんの配信を荒らすのは達成したからこのままログアウトしてもいい。いくらやっても結果は目に見えている。機体スペックの差から僕の圧勝。別にね? 僕が上手すぎるとか強いとかそんな事はないんだよ? 単純に彼らのPSが低すぎるってだけで。
「自宅だったら煽り倒してるところなんだけど……どうしよう……」
動画撮ってるならこの後も続けてアンプリと愉快な仲間達をボコすところなんだろうけど、仮に動画撮ってても彼女達を相手取り続けたところで撮れ高はない。例えば、煽り倒されて予想だにしない行動に出るとか、機体を変えるとかしたら張り合いも出てくるだろうけど、アンジュ集団はそれもしない
「とりあえず、そうだね……無言で殺し続けようかな」
アンジュ達を殺す。VC無しだったら単なる作業でしかない。煽って煽って煽り倒してこそ面白いんだけど、無言でとなると本当に単純作業。内職に近しいものしか感じない。
「正体隠し続けるのってこんなに大変だったとは思わなかった……」
スパイの気持ちが少しだけ理解したよ。正体隠すのってこんなに大変だったんだ。と思っていた時、ポケットに入ってたスマホが振動した。取り出してみると電話の着信だったようで画面には“父さん”と表示されていた
「何だろう?」
僕は何の用かなと思いながら電話を取る。勝手に家を抜け出してきたから怒られるのは確定なんだけどね
「もしもし」
『もしもしじゃないだろ! 何時だと思ってる! 今どこにいるんだ!』
父さんの怒鳴り声に電話を離し、パソコンで時間を確認。“21:50”と表示されていた
「今は九時五十分で僕が今いるのは瑞樹さんの家だけど?」
『そ、そうか……瑞樹の家にいるならいい。怒鳴って悪かった。必要なものがあったら言ってくれ。じゃあな』
「うん」
それだけ言うと父さんは電話を切った。瑞樹さんの家っていうワードは便利なもので、最初に言ったように彼女の部屋は放っておくとゴミで埋め尽くされてしまい、定期的に片付けをする人間が必要だ。定期的に片付けをする人間が必要だとは言ったけど、具体的な周期は決まってない。何となくそろそろかなと思った時、思い立った人が来て片付けをすると言った感じで結構アバウト。だから黙って家を出てここに来ていたところで父さんも叔父さんも怒りはしないのさ
「瑞樹さんがだらしなくて助かった」
スマホをポケットに仕舞い、僕は息を吐いた。父さんもこの部屋の悲惨な有り様は知ってるから瑞樹さんの部屋にいると伝えただけで片付けをした前提で話を進めてくれる。単純だと嘲笑うべきか、彼女のだらしなさに感謝するべきか……
「懸念事項は消えたからいいけど……問題はアンプリか……」
父さんは親子という事で話せば解かってくれる。一方アンプリのコンビは違う。アンジュは被害妄想が激しい上に自意識過剰。自分は常に被害者前提で話を進め、オマケにリスナーは自分に投げ銭してくれるのが当然で、常に自分はストーカーされる側。リアルでもネットでも嫌われる要素しかない痛々しいBBA。プリンチはさっきも言ったけど、ネットでしか粋がれない哀れな奴。実力がものを言うゲーム内で強い言葉を発するなら相応の力を付けてからにしてほしいものだ
「瑞樹さんに変なちょっかいかけてないといいんだけど……」
アンジュの悪質なところはここだ。自分に非があるにも関わらず平然と被害者面をする。あくまでも大物配信者の前じゃこんな感じなんだけど、新人Vtuberや自分よりチャンネル登録者数が少ない配信者の前じゃどうなのかを簡単に言うと、マウントを取りたがる。自分のチャンネル登録者は3000人なのに対し、彼女のアンチ配信者は軒並みチャンネル登録者が少ない。一番多い人だと200人程度とアンジュには遠く及ばない。新人Vtuberもそう。アンジュよりもチャンネル登録者数が多い人もいるけど、全員が全員そうじゃない。新人Vtuberでも100人超えてない人もいる。瑞樹さんのチャンネル登録者数は1300人だけど、リスナーの質が違う
「妙な事になってないといいんだけど……」
僕が全ての元凶だとはいえ、アンジュに絡まれたら瑞樹さんが可哀そうだ
「様子見に行くかな」
心配になった僕は瑞樹さんの部屋に向かった。何もないといいんだけど、相手はアンジュ。何もないわけがない
瑞樹さんの部屋に来た僕は先程と同様、そっとドアを開け、中を覗く。すると……
「世の中には変な人っているからみんなも気を付けてね~」
注意喚起を促していた
「僕の心配は杞憂に終わったみたいだね」
アンジュに言いがかりの一つでもつけられてるのかと思ったけど、平気みたいだ。アンジュの悪評が有名になってるからなのか、実際に喋ってみてキチガイだと瞬時に感じ取って逃げたかは分からないけど、泣いてないならそれでよし。僕はそっとドアを閉め、部屋に戻った
部屋に戻ると僕は置いてあったコーラを一気に飲み干した。炭酸飲料を一気飲みするのは健康上よくないらしいんだけど、それが気にならないほど身体が当分と水分を欲していた
「VC点けれられればいいんだけど……」
対人戦を前提として作られたゲームなら無言で殺すのが当たり前。VCがないから。こういうゲームもVC点けないでやってる人だっているから一概には言えないんだけど、やはり会話ないと配信荒らしてて張り合いがない
「今日はもう止めよ」
ログアウトして僕はベッドに寝転がる。瑞樹さんの配信もアンジュの配信も荒らすなら自宅の自室でやるのが一番だって事を今日再認識した。声出してゲームできれば一番いいんだけど……
「どうにかならないかな……」
ぼんやりと天井を見つめながら考えた。配信荒らしはファンから見ると褒められた行為じゃない。普通の配信者の枠を荒らすのは特に。とはいえ、僕はただアンジュの配信を荒らしてるわけじゃない。彼女とはただならぬ因縁がある。別垢の時になんだけど。それはそうと……
「防音欲しいな」
瑞樹さんの配信中はかなり気を使う。生活音が漏れないように部屋を出る時はそっとドア閉めるし、廊下歩く時だって極力足音を立てないようにし、部屋にいる時だって音立てないように気を付けてはいる。だけど、VC在りきのゲームをしてると相手と喋りたいという思いもあるわけで……防音設備が欲しいと思うわけですよ
「確認しよ」
スマホを取り出し、父さんの番号へ掛ける。マンションだから防音設備はないと思うけど、確認は大事だ
『どうした?』
「ちょっと確認したい事があるんだけど、今大丈夫?」
『ああ。特に何もしてないから平気だ。それより、確認したい事って?』
「瑞樹さんのマンションが防音完備だったかどうか確認したいんだけど……どうだったっけ?」
『防音だ。彼女の活動は知ってるだろ? それを考慮して今の家を選んだからな』
「分かった。ありがとう」
『どういたしまして』
電話を切り、スマホをベッドわきに置く。防音だって分かったらこっちのものだ。僕は起き上がりパソコンへ向かうと再びログイン。潜ってるプレイヤーを確認するとアンジュとプリンチ、瑞樹さんがいた。漲ってきた!
「全力で煽り倒してやっからな」
ボイチェンから女声を選択し、マイクとヘッドホンが繋がってるのを確かめ、いざ出撃。向かうは当然、アンプリコンビと瑞樹さんがいる地球の日本
日本に着くと通信でアンプリコンビと瑞樹さんのミュートを解除。VC点けて……
「みなさ~ん! お元気ですかぁ~? アンジュのオバサーン、プリンチのオジサーン聞こえてますかぁ~? 水越みかさーん、応答願いまーす! ボハハハハハ!」
キチガイを演じてみた。僕ならこんな奴と関わりたくないんだけど……
『ブジャル!! ワレェ! さっきはよくもやってくれのう!!』
『ブジャル! 早くチャージ投げろよ!!』
バカ二人が釣れました。単純すぎてものも言えません。対して瑞樹さんは無視。聞こえてはいるみたいだけど関わり合いにならない方がいいと思ったらしい。その選択は賢いよ
「はぁ? 何でオレがお前みたいな乞食BBAに金使わなきゃならないんですかぁ~? 冗談は配信のつまらなさだけにしてくださ~い! ところでアンジュさ~ん、貴女のお仕事何ですかぁ~? まさかとは思いますけど、配信が仕事とか言いませんよね~?」
彼女に前仕事何してるか質問したユーザーがいた。その時も今みたいに煽られてた。その時は配信が仕事って言ってたけど、今回はどうかな?
『はぁ!? 配信が仕事ですけど~? アンジュの配信は需要があるんですぅ~!』
『そうだぞワレェ!! アンジュたんの配信には需要があるんじゃボケェ!』
皆さまに質問です。チャンネル登録者3000人程度でVtuber関連の特集に乗った事すらなく、一回の配信でされる投げ銭が一日バイトした分しか貰えないのを仕事と呼んでいいのでしょうか? 答えは否。そういう事はチャンネル登録者数10万人を超えてから言ってくれ
「たかが3000人程度しか登録者いないクセに配信が仕事で需要があるとか笑えるぅ~! さすが夢見るクソババアとその囲いは言う事が違うねぇ~!」
需要があるならチャンネル登録者数10万人超えてておかしくないんだよなぁ……。これで成人してると思うと頭が痛い。自分は将来こんなバカな大人にならないように気を付けようと固く心に誓った
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました