契約令嬢の願い事
まあまあ、少し、普通位に楽しんでいってくれると嬉しいです。短編作品、これで四作目の投稿です。
痛い……熱い……苦しい……助けて……死にたくない
沢山出血しているため、手も足も動かない。
声も喉が潰れたのでまったく声がでない。
ただただ、心のなかで助けを求める事しか出来ない。
こんな所で死んでたまるか。
また、前世と同じことを歩むの?
こんな惨めな人生――――――何て儚い人生だろうか。
これが夢ならば、どれ程よかっただろうか。
「助けてやろうか?」上の方から男の子の声が聞こえた。
一瞬、幻聴かと思ったが、違った。
紛れもない男の子の声。
「俺と、契約したら」
契約―――?契約ってなに?
でも、こんな所で惨めな人生を終えてたまるか。
「す………………る……」必死に声をだした。
そのあと、パチンと音がして、私は痛くも、苦しくも無くなった。
「契約成立♪」少し、楽しそうに聞こえた。
★★★★★★
私の名前はエリアーナ・フォリエリア。
公爵家の令嬢であり、前世な記憶を持つ者である。
私の前世はどちらかと言うと、逆行したと言った方が正しいだろう。
私は国の王子である、アクア・ゲイ・ジェスターと言う人と婚約したのが始まりだった。
婚約のきっかけは親通しの政略結婚だった。
初めての対面の時に私は彼に一目惚れし、とにかくアプローチした。
金髪の髪に青い瞳のどこか儚い姿をまとった青年。
私はその姿に一目惚れした。
だが、そんな幸せもどきの生活は長くは続かなかった。
平民の特待生としてやってきたアシュリーと言うピンクの髪に瞳をした可愛らしい女の子。
純真無垢で天真爛漫な少女。
綺麗事ばかりで行動しない、美しい世界観を持つ。
この子の頭は一体どうなっているのだろうか?と考えたこともあった。
そして、あろうことか、彼はその少女に惚れてしまったのだ。
そして私は婚約破棄を言い渡され、あろうことか、冤罪まで押し付けられ、私は断頭台で処刑された。
信じていた友達からも、家族からも信頼されず、私は惨めな人生の幕を閉じた。
どれ程までに苦痛で悲しかっただろうか。
本当に、バカで、滑稽なお話。
その惨めな人生がまた始まるのは、16歳の、学園に入学して始まる。
今は、12歳なので、入学するまであと、4年だ。
そんなわたしはあの事故がきっかけで思い出した物だった。
前世よりも、早く死ぬはずだったこの命は、あの時出会った少年と契約し、私は死ぬはずだったこの人生から逃れた。
彼は、“カルゼイン”と名乗った。
通称、ゼン。
15歳と言う年齢で、私よりも、3歳年上の男の子。
黒い髪に金色、黄金の様な瞳をしたまさに眉目秀麗とも言える少年。ただ、少し生意気でどこか不思議な雰囲気を纏っていた。
彼は私の様な生者に触れれば、消えてしまうと言う人だった。
そして、私と彼が契約した内容は、契約相手の願いを叶え、契約相手の願いが叶った暁に、契約者の願いを必ず叶えなければいけないと言う契約内容。
この場合、私は契約相手の立場になり、ゼンは契約者の立場になる。
そして、私の願った願いは3つ。
一つ目は、私の寿命を引き延ばす事。
二つ目は、幸せになりたいと言う事。
三つ目は、早く楽になりたいと言う事。
幸せになりたいのは前世が前世で最悪なものだったから。
でも、楽になりたいのは、前世の経験が、怖くも、苦しくも、大変な物でもない、ただ楽になりたいと言う願いに至ってしまったから。
でも、死にたくない。死ぬのは怖い。
まだ、幸せになりたい。
そんな願いだった。
ゼンの願いは、私の寿命、強いて言うならば、生気を少しずつ私には分け与えること。
私の願いが叶った暁に、私の残り全ての生気を渡すと言う内容。
この契約はやり残した人へ使うのが良いだろう。
私は、もう、何も無い。
願いが叶わなくとも、私の終わりは目に見えている。
最後まで見て頂いてありがとうございます。