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夜泣きの牙

作者: 黒宮杳騏

雑ざり歪む極彩色

融け残るのは暗赤色


欠けた背中を撫でる手で

唇塞いだまま

十字剣(スティレット)で串刺して欲しい


流れ込む悲鳴を召し上がれ

スープはお口に合うかしら

切なく甘美な震え

厭きる迄どうぞ注いで下さい


拾える揺れでは眠れない

千切れそうな恍惚なんて

現世の果てに成る果実(もの)


涙で腫れあがった頭は

息も出来ない

どうか、苦しいと言わせて


あの色に追い詰められて

あの色に逃げ込んで

私が見たいのは

本当は何色?


どろどろの黒

青い明かりは私を騙す

滴っているのは

もっと違う何かの筈


染み付いた匂いに

今更気付いたって

そこに安寧を見出だした

私が抜け出せる訳もなく


馬鹿馬鹿しいと笑った

ちっぽけな執着も

律儀な惰性も

少しだけの愛情も

全部捨てたら

楽になれるの?


最後まで追い詰められ

全部剥奪されて

捨てられた方が

いっそ楽になれるなら


差し違える言葉はあるから

深手を負った私に

愛する貴方が

慰めと労りを込めて

安らぎの止めを刺して


深過ぎた傷は

気配すら消して

突然血を吹き出す

泣き止まぬ縋る赤子

叩き起こされたのは誰


見失った感情は

平常を装い

真夜中に牙を剥いた

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