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第二話 バトルクラフター

その日の夜。

ハヤテは食べ終わった缶詰の缶と廃油を使って簡単なランプを作りプレハブの中でじっとしていた


「・・・。さっきから動物の鳴き声みたいのすんな。ってかここがアニメでよくある世界ならやっぱ魔物とかいんのかな・・・。」


ハヤテはフッっと息を吹きランプを消した


「流石にこんな真っ暗闇で明かりはいかんか。マジでどうにかせんと。」


-翌朝-


「結局寝られんかった・・・」


目の下にクマを作りながらプレハブからでたハヤテは小川で顔を洗い

プレハブから大きめなノコギリを取り出し裏に広がる林に入る


「こんだけ植物があれば果物とかあると思うんだが・・・」


しばらく歩くと一本の木に気づく


「おい。おいおいおいおい!あれってリンゴか!?」


木には沢山の赤い実が実っていた


「んー。リンゴか??なんか洋梨みたいな形だな、まぁ赤いし・・・リンゴか。」


ハヤテは着ているツナギの袖で果実を拭くと一口かじった


「おお。リンゴだ!」


いくつかもぎったリンゴをプレハブに持ち帰るとプレハブの前に中年の男が立っていた


「うわっ。コッチの人だ。どうすっかな、言葉通じっかな・・・」


ハヤテはゆっくり近づくと男が気づき話しかける


「やぁ、こんにちわ。これは君の家かね?ん?見慣れない格好をしているね。」


しどろもどろに返事をするハヤテ


「こんにちわ!自分はなんというか・・・気づいたらこの建物ごとここに居たんですよね・・・雷に打たれたと思ったらここに・・・」


ハヤテは事実をそのまま男に話したら男はマジメな顔つきでこたえた


「君は異国の人なのか、うーむどうしたもんか。本来なら都の領主様に報告すべきだが・・・私はこれから近くの村まで行商に行かねばならない。」


男は悩んだ末にその場で手紙を書きハヤテに渡した


「この手紙はなんです?」


「これは紹介状だよ。あそこに見える都にギルドがある。そこのギルド長は私の知人でな。困ったことがあったら訪ねなさい。とりあえず私はここで失礼させてもらうよ。」


男はハヤテに手を振りながら去っていった。


「・・・・・通じたな。言葉・・・」


ハヤテは受け取った手紙を広げて見たが見たことのない文字で読めなかった


「言葉は通じたのに文字は駄目なのか・・・まいったな。」


ハヤテは都の方を見た


「ギルドねぇ・・・どうせ行ったら冒険者とかになっちまうんだろ。興味ねぇな。でもどうせ帰れないんだろうし、これからの生活をどうすっかだな・・・」


プレハブを見つめるハヤテ


「よしっ!」


-数時間後-


プレハブの横に太い丸太に細い木の枝など様々なサイズの木材を積み上げていく


「ノコギリ持ってて本当に良かった・・・、体感でしかないけどまだ昼にもなってないはずだ。今から急いでやれば!!」


木材を加工していき両端を尖らせた杭を作り続ける


「おっしゃ次!!」


プレハブに入りノコギリから木槌へと道具を持ち変えて

加工した杭をプレハブを囲むように打ち付けていく。それはプレハブを一周し、正面には木で組んだ門を設置した。


-夕方-


「はぁ・・・はぁ・・。できた・・・即席のバリケード・・・」


ハヤテはプレハブに入りぐったりと倒れてしまう


「ああ・・・きっつ。」


疲れていたのかそのまま眠りについてしまった


-深夜-

犬だろうか?

遠くで遠吠えのような鳴き声が聞こえる


「・・・んん。小便したい。」


プレハブの外に出て立ち小便をしていると近くで物音がする


「!!」


声を立てずにハヤテは身を低くする


(なんかいやがる!なんだ!?動物か!?)


へっぴり腰でプレハブに戻り手探りでスレッジハンマーを手に取る


(まじでこの世界って魔物とかいんのか!?)


設置したバリケードの方から聞いたこともない鳴き声が聞こえた、その声は苦しんでいるようだった。ハヤテは缶詰の空き缶で作ったランプに火をつけ声がした方に向かって投げるとランプはバリケードの外に転がり缶からこぼれた廃油に引火し明かりが広がった


「・・・まじか。」


そこに居たのは二体の骸骨の魔物だったカチャカチャと音を立てながらこちらを見ている

一体はバリケードに引っかかり身動きが取れずに、もう一体は動けない魔物を足場にしてこちらに来ようとしている


「勝手に入ってくんな!おらあああああ!!」


両手でスレッジハンマーをフルスイングすると魔物の頭部に当たり、頭部が勢いよく飛んでいく


「お前もいつまでそこで引っかかってんだよ!!」


動けない魔物に対してスレッジハンマーを振り下ろし頭部を砕く

頭部を破壊された魔物の身体はその場でゆっくりと蒸発していく


「はぁ・・・はぁ・・・マジでいやがった・・・魔物・・・」


ハヤテは魔物が蒸発したあたりにキラリと光るものを見つけた


「なんだこれ・・・宝石か?の割にはあんまキレイじゃないな。」


宝石のようなものをポケットにしまいプレハブに戻りその場で座り込む


「駄目だぁ・・・もうつかれたぁ・・・」


-翌朝-


ハヤテは昨日であった男からもらった手紙を持ってプレハブから見える都に向かって歩いていた。

黒いツナギ姿に革紐でくくり背中にスレッジハンマーを背負い考え事をしていた


(毎晩のようにあんなの出てくるんじゃ武器とかも必要だ。だが武器を買うにもきっと金がいるはず、ギルドってとこなら金稼ぎもできるかもしれんし。それにもうちっとこの世界を理解せんとまじで生きていけん!)


-東の地方都市【ラータ】-

都市は5メートルほどの石を積み上げた壁で覆われ、中心の城を囲むように街が広がっている


(都って聞いてたが思ったよりしょぼいな・・・)


-冒険者ギルド・ラータ支部-

建物に入ると正面に立っていた若い女の子がハヤテに話しかける


「こんにちは!冒険者さんはあまりお見かけしないお顔ですが、こちらは初めてですか?」


「あ、いや。ギルド長って人にこの手紙を見せるように言われたんですが・・・」


「紹介状ですか?少々お待ちください!」


しばらくすると金髪の褐色肌の女性が近づいてくる


「またせたね。私がここのギルド長のブレダだ。なにやら紹介状があるみたいだね、見せてごらん。」


ハヤテから紹介状を受け取るとブレダは近くにあったソファに座って読み出した


「・・・あんた。異国から来たのかい?」


「異国っていいますか、世界自体が違うと思います。言葉はなぜか通じますけど文字はわからないし・・・」


「我々と違う世界から飛ばされてきたというのか・・・にわかに信じがたいが・・・ん?君はずいぶんと珍しい武器を使うんだな。ハンマーのように見えるが頭が小さい・・・」


ハヤテはスレッジハンマーを見せた


「これは武器じゃなくて工具ですよ。」


ブレダはニヤリとしながら受付嬢を呼び出した


「おい、鑑定盤もってきな!」


受付嬢は水晶がついた石版と液体が入った小瓶を持ってきた

ブレダは小瓶をハヤテに渡した


「これはね、ギルドに初めてきた冒険者が、自分が何に特化しているのか調べる魔道具さ!この神水を飲むと潜在能力に刺激が与えられて覚醒するってわけさ!さぁ飲みな!」


「えっ、嫌ですよ。自分冒険者になりたいわけじゃないし、とりあえず生きていければそれでいいと思ってますし・・・」


「うっさいさっさと飲め!!」


ブレダはハヤテの口に無理やり小瓶を押し付け鼻をふさぎ強制的に飲ませた


「次は石版の水晶に血を一滴垂らすんだ!」


そう言うとブレダは腰にあった短剣を抜きハヤテの左手に突き刺した


「いってぇ!何すんだこのババア!!一滴どころかドバドバ出てんじゃねえかよ!あーもうババアに敬語なんか使うのやめだ!」


「誰がババアだ!私はまだ25だ!!」


水晶に血が落ちると水晶から細いレーザーのような光が飛び出し石版に文字を刻んでいく


「ほらきたきた!」


刻印が終わると水晶はボロボロと崩れた


「きたきたじゃねえよ!」


受付嬢に手当され左手に包帯を巻かれるハヤテ


「どれどれ。君の適性を見てみようじゃないか!」


じっと石版を見つめるブレダ


「適正職・・・バトルクラフター?・・・なんだいこれ・・・聞いたことがない職だね。バトルって事は戦闘ができる職なんだろうけど・・・クラフターって何だい?」


「俺の国では物を作ることをクラフトと言ったりもするね。クラフターは作る人ってことかな?」


「それになんだい。この物理特化の数字は・・・あー魔力は一切ないね。」


「え、魔法とか使えないの?まじかよ・・・」


残念がるハヤテをよそ目に話し続けるブレダ


「物理攻撃のステータスに関してはぶっちぎりさ、これは有能な冒険者に・・・」


「ならねえって言ってんだろ!このババア!・・・あ、そうだ。これなんだか分かる?」


ハヤテは昨晩拾った宝石のようなものをみせる


「これは魔力結晶のかけらだね、魔物を倒すと手に入る。ギルドで金に換金できるし、魔道具の加工などの材料にもなる。」


「じゃあ金にするか。このちっちゃいのでいくらになるの?」


受付嬢が魔力結晶を受け取る


「お預かりします!少々お待ちください。」


少しすると受付嬢が戻ってきた


「お待たせいたしました。換金額は800バッツになります。」


持ってきたのは茶色い小さな硬貨で三人の天使の姿が刻印されている



「これでどのくらいの物が買えるの?」


ブレダは呆れた顔でこたえた


「本当に知らないんだね。違う世界から来たってのも少しは信じられるよ。いいかい?800バッツ有れば2、3日は飲み食いできるよ。後は使いながら覚えな。」


「あの骸骨は見つけたら積極的に狩っていくか・・・・」


ハヤテがボソッっとつぶやくとブレダが真面目な顔つきで提案してきた


「ハヤテくん。君が冒険者をやるつもりがないのは理解した。けど冒険者登録だけでもしておかないか?これはハヤテくんにもメリットがある、組合に登録しておけば様々な街のギルドでクエストや金儲けの話を受けられる。

それとこの世界には一般人は入ることを許されない場所がある、しかしギルドの冒険者なら優遇され入ることが許される。どうだい?」


「んー。そのクエストとか強制してこないなら登録して見ようかな・・・」


ニッコリとするブレダ


「よし!それでは君はこれから・・・・」


バンッ!!

大きな音をたて入口の扉を開く鎧を着た街の兵士


「ギルド長!!街の正面ゲートに魔物の群れが集まっております!!現在、我々警備兵で応戦してますが状況は不利!ギルドに協力を求めます!!」


受付嬢が呆れ顔で返事をする


「ここラータ支部に所属する冒険者なんか居ないのはあなた方だって知っていますでしょうに・・・」


ハヤテはじっとりブレダを見つめる


「おいババア、ここの支部に冒険者は居ないのか。」


「あ・・・ああ。なんせこんな田舎の街だからね・・・本当だったら私だってまだ冒険者をやってたいのに。ここに支部を作るからって・・・出身者だからって・・・・」


ブレダはすこしいじけた様子で言い訳をしだした


「さて、俺はここらで帰らせてもらうとしますか・・・」


ハヤテが立ち上がるとブレダはハヤテの左手を掴み、治療した包帯をはがし胸元まで手を引っ張り受付嬢を読んだ


「ソフィー!!契約書を持ってきな!!」


「はい!!」


ソフィーと呼ばれる受付嬢はブレダの胸に契約書を押し付け、ブレダは無理やりハヤテの手を契約書ごと自分の胸に押し付けた


「おい!何しやがる!」


「ハーヤーテーくーん♡これで君は私の支部の所属冒険者だ!!」


そう言うとブレダは壁にかけてあった大きな斧を手に取る


「さぁ行くよハヤテくん!ラータ支部の力を見せてやろうじゃないか!」


受付嬢は契約書を大事にしまい込み再びハヤテの左手に包帯を巻いた


「ハヤテさん!ちなみにこれは緊急クエストなのでその場にいる冒険者は強制参加ですよ!!」


「やってくれたなババア・・・ってか魔物の群れったってどうすんだよ・・・」


受付嬢はニッコリと微笑んだ


「全部殲滅です!」


「なぁババア、俺になんか武器貸してくれよ。剣とかさぁ。」


「そこの棚にかかってるのを好きに使いな。」


ハヤテは壁にかかったロングソードを手にとった


「これが剣かぁ!なんかワクワクするなぁ!」


ハヤテはブレダと共に街の入口に出た

街の外では魔物と街の兵士たちが戦っていた


「うーん!久々に血が騒ぐねぇ!んじゃやりますか。地の精霊よ・・・我が呼びかけに応じその力を示せ!!グラウンド・ヴァイパー!!」


ブレダが巨大な斧を地面に振り下ろすと蛇が這うように地面に亀裂が入っていく

魔物たちは亀裂に飲まれて地のそこに落ちていく


「ひゃー!すっげぇ!努力すれば俺にもあんなのできんの?」


「ハヤテくんは無理だよ、なんたって魔力がないんだから。」


「じゃあ俺はもう物理で殴るだけか。」


「そういうこと。」


「なんだよ~。ん?あれは・・・昨日のと同じやつだ!」


目線の先には昨晩見た骸骨の魔物が4体いた


「スケルトンかい。君、いきなりの魔物退治でスケルトンをやるとはねぇ・・・」


「いやあれクッソ弱かったぞ・・・ってあれ?」


スケルトン相手に苦戦する兵士

ブレダはハヤテの肩を叩く


「ちょっと訓練した程度の兵士じゃあんなもんだよ。やはりハヤテくんは戦闘に特化した職みたいだ。どうだ一度倒して相手だ、魔力結晶を稼ぐつもりでもう一度倒してみるといい。」


ギルドから持ってきたロングソードを握るハヤテ


「よーし!金のためだ!行くぞぉぉぉぉ!」


一体のスケルトンの元に走りロングソードを横に薙ぎ払うとスケルトンのクビにヒットし頭を切り飛ばす

その様子を見ていたブレダ


「やるじゃないか!でもハヤテ君はソードには向かないみたいだね。剣を見てごらん。」


ハヤテはロングソードを見ると一撃で刃こぼれしていた


「はぁ?いやいや向く向かないの前にこの剣が脆すぎるんだよ!ったくもう!」


ロングソードを捨てて背中に背負ったスレッジハンマーを手に取るとスケルトンの脳天をめがけて振り下ろす。スケルトンの頭部は粉砕され粉々に崩れる


「なんかコッチのほうが馴染むな・・・ん?なんだあれ・・・」


ハヤテは目を細めて遠くを見る


「おいババアあれはなんだ?」


「だから私はまだ25だ!アマゾネスは普通の女よりも大人っぽく見えるの!・・・ん?あれは・・・」


遠くから足音が響いてくる、次第に姿がはっきりと見えてくるとブレダは大声を出す


「兵士ども!!急いで撤退しろ!!トロールだぁ!!」


青ざめる兵士たちは悲鳴を上げながら街の防壁内に走る


「久々の戦闘でトロールは流石にきついわね・・・って・・・ハヤテ君!!!」


トロールの足元にいるハヤテはトロールを見上げていた

身長174センチのハヤテに対してトロールはゆうに3メートルはあった


「グォォォォォ・・・・」


静かに唸るトロール

しかしハヤテは怯えてはいなかった


「しっかし頭悪そうな顔してんなぁ・・・こんなやつ俺の知り合いに居たよな・・・誰だっけ・・・」


トロールはハヤテを見下ろしニヤけていた


「!!思い出した!高校の時に竹下をイジメていた山田に似てるんだこいつ!!」


トロールは手に持った巨大な棍棒を振り下ろすがハヤテは後ろに下がり避ける


「グォォォォ!!!!!」


トロールはハヤテに向かってのっしりと走り出した

それに対してハヤテもトロールに向かって走り出した


「ハヤテ君!!ダメッ!勝てる相手じゃない!!」


「やぁぁぁまぁぁぁぁだぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」


ハヤテはトロールの棍棒を紙一重で避けスレッジハンマーをトロールの右膝に叩き込む

トロールの膝は砕け、折れた骨が皮膚を突き破り飛び出し前のめりに倒れる

ハヤテはトロールの頭を踏み台にして飛び上がる


「くぅたぁばぁれぇ!やぁぁまぁぁだぁぁ!」


スレッジハンマーをトロールの後頭部に叩き込むと頭部から濃い紫色の血液が吹き出す


「うそ・・・でしょ・・・?」


ブレダは唖然とし立ち尽くすのをよそ目にハヤテはトロールの死骸から魔力結晶を漁るとスイカほどの大きさの結晶が姿を現す


「あースッキリした!結構でかいなぁ。これなら結構な額になるんじゃないか!?」


返り血を浴びながら大きな魔力結晶を担いでブレダのもとへ戻ってくるハヤテ


「おいババア!換金だ!!」


-続く-



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