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横四楓院絞男はレズビアンがお嫌い

「フフフ、やはりミルクはストロベリィに限る」


 ベンジョール・ウィッシュの後の親の敵のようにこの甘いストロベリーミルク(紙パック仕様)で一杯ストローでちうちうやるのもスパイたる僕のルーティンワークと言っても過言では無いだろう。イライラ時に僕が嗜んでいるあのオトンの脇の下のように酸っぱくてほろ苦い珈琲もあれはあれで素晴らしい嗜好品であるが、甘いものはやはり良いものである。嗚呼、身体の内側から女子力がいっぱいいっぱいに満たされていくんだぜ。


 ……誰だ、今、僕のこと生暖かい目で見つめている出歯亀野郎は。

いいか?男スパイだって、時として女子力が必要なのである。例えば、女子校に極秘潜入の際に変s


 ドスッ


「きゃあっ」

「あんっ」


 女子力が如何にスパイにとって必要不可欠な能力か夜通しで語り合かそうとしている最中、突然胸元に柔らかな感触が。どうやら、誰かとぶつかってしまったようである。ち、畜生、だ、誰だ。僕の脳内誰得講座を物理的に邪魔した淫乱者は……月に代わって、おしめしてやる。邪魔されたという事実に憤慨した僕はぶつかってきた馬鹿野郎に顔を向ける。


「あいたたた……」


僕の目の前には尻もちを打って、座り込む黒髪の馬の尻尾のような髪型をした女子生徒がいた。尻もちを打ったせいか、お尻を撫でて涙目になっている。


 よし、おっちゃん許しちゃう。


 僕は可愛いものと甘いものには目がない心優しきスパイである。困っている美処女を無視出来るほど冷酷な人間ではあるまい。たとえ、これが敵対組織のワナだとしてもその時は甘んじて殉職を受け入れようではないか。『マドモアゼル、お怪我はありませんか?』『よかった、貴方が傷付くと僕のハートも傷付きます』『落ち着いたら喉が渇きましたね、ちょっとそこのホテルでしけこみましょうか』よし、きた、濡れる、僕最高。これで、いこう。


「まま、まままマドモアゼェル! お、おぉおお、おけけはありましぇんかぁ!?」(※絞男くんは基本的にコミュ障です)

「ふっ」

「はえ?」

「ふざけんなあ! この不能DTがっ!!」


いきなり、胸元を掴まれ、鬼のような形相で睨まれる僕。え、え、え、ナニコレ……ナニコレ…。怒濤の展開に頭が追いつかない。女子はトイレ何かしなくて、お淑やかなんて最早都市伝説だったとですか?


「あ、え、は、れ、そ、そのあの」

「ペッ、余所見してちんたらちんたら歩きやがってこの腐れちん●が! しかもなんだ、『おけけはありませんか?』って……出会い頭でいきなりセクハラか、あーん?」


 胸元を掴まれながら、前後に身体を揺さぶられる僕。あ、アッ、や、やめて、は、激しすぎる。い、色々なモノがリバースしそう……うぷっ。


「私はなあ、この世で一番……男が大嫌いなんだよ!!」

ドガスッ

「ありがとうございましゅっ」


 そして、僕は目の前の大和撫子を口説くどころか何も出来ないまま、ボディにいい拳をもらいゲロの雨とともに冷たい廊下の床に倒れ伏すのであった。


 哀れかな ゲロゲロ男子 そそり勃つ


──その日の放課後。


 くそ、今日はあの乱暴に服を着せたようなメスの所為で非道い目にあった。いつもの田中某は精神的に僕のHPをげっそりと削りにかかる妖怪だが、あのインポッシブル女は肉体的に僕のHPをごっそりと削りにかかる怪物である。そんな妖怪と怪物が僕を同時に襲いにかかって来るとしたら……ううっ、考えたくもない。まさに、盆と仏滅が同時にやって来るようなものである。まあ、単体なら僕のトカレフで黙らせ、服従させてやることもできなくはないが……な、何ですかその生温かい目は。できるんだよ、多分。


「今日はとっとこ帰ろう」


 今日は何だか嫌な予感がひしひしと肌で感じる。

日課の道く…二重迂回は中止にして、棲家に真っ直ぐ帰ってすやすやと悪魔のように惰眠をむさぼる事にしよう。スパイたる者、十分な休眠は必要なのである。僕は鞄を背負って、自席から立とうとした瞬間である。


「はろはろー! さっとうくーん! 今日も元気かなー!?」


 ヒョア!精神ゴリゴリ娘のお出ましだぁ……田中某である。

な、ナニが、はろはろ、だよ。もう今は夕方だ。く、くそっ、この時間帯まで何も無かったと思ってつい油断した!に、逃げきれなかった。今日はこの馬鹿女の相手をまともにしていられる気力もない。し、仕方ない、僕のこの成熟したトカレフで追っ払ってや……。


「今日はぼっちの佐藤くんの為に私がお友達をご紹介しまーす! ほい、まずは切ねえからどーぞ!」

「う、うむ。は、初めましてだな……私は『黒岩魔切くろいわまぎり』だ……って、き、貴様は!」


 ぼ、盆と仏滅が同時にやってきおったで!

僕の沈黙を無視して勝手に話を進める田中某が連れてきたもう一人はあのランボー女であった!な、なあんでこの方が平然とここにいらっしゃるのぉ?し、しかも名前がもうね!もっもぉね!だ、だめだ……僕はスーツの懐から見え隠れするトカレフをさっとしまい込んだ。こんな二人でアンハッピーセットな連中に僕のとっておきのトカレフが通用するとは思えない!


「ヒィ! ご、ごめんなさい……! あ、あの時は」

「あれれ? 佐藤くん、切ねえとお知り合いなの?」

「き、ききき、貴様ぁ!!」


 ヤバい!思い切り殴られる!

そう確信した僕は急所もとい金的を両手でガードする。……何故、頭でなくそこなんだって?スパイたるものこの牙城を崩されてはどうにもならないのだ。


「ききき、貴様ッ! め、めめめ恵とはどこまで進んでいるのだッ!!」

「「えっ」」


 僕と田中某は魔切さんのお言葉に同時に驚きのあまり呆然とする。

えっ……ちょっと、この方、ナニをおっしゃってるのかしら。


「こ、答えろ! ま、まさか……私がこれまで手塩にかけて育ててきたこの、ぱぱぱぱぱパイ乙を、ま、ま、まさか捏ね繰り回したりとかしてないだろうなあ!?」

モニュモニュ

「…………」


 僕が呆然としていると、続けざまに魔切さんは隣にいる田中某の両胸を揉みながら僕に声を荒げる。姉さん、捏ね繰り回してんのはあんたでっせ。そして、ノーガードだった田中某は何が起こったか分からないといた様子でじっと佇んでいる。しかし、それも数秒。自分の今の惨状に気付いたのか、田中某は涙目になって見る見るうちに頬を柘榴のように染め上げる。


「う、うわああああああ!! な、ナニしてんの切ねぇえええ!!」

「そ、それとも何か!? こ、ここにお前のその……ご立派なトカレフをおしつけてやったゼ、ゲヘへ! とかそういうのをやったのかあああああ! 貴様、良くも私の恵をぉおおおおおお!!」

「きゃあああああ!! やめてやめて切ねえやめてえええ!! スカートをめくらないでぇえええ!! 恥ずかしいよぉおおおおお!!」


 魔切さんは今度は田中某のスカートを思い切り捲り、中身のショーツを指差しながら下品な事を僕に向かて声を荒げて口走る。そして、田中某は必死にスカートを押さえている。おっ!クマパン!ちがう、そうじゃない!ね、姉さん、暴走しすぎっすよ。


「あっ! さ、佐藤くん、み、見ないでぇええええ!!」

「きっさまぁ! 恵はなぁ! 私の大切な人生の伴侶なのだ! 恵に手出しはさせんぞぉおおおお!!」


 魔切さんは目を血走らせながら僕に指差し、堂々とそう宣告する。

……や、やっべぇ。危ない人に目をつけられちゃったぞ。

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