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横四楓院絞男はブラジリアンワックス脱毛がお好き

 己の利にならぬいらない物を冷静沈着に淡々と排除する行為は一流のスパイに求められる必修スキルである。無論、そこには感情も含まれているのは言うまでもない。余計な感情は一切捨てる、スパイにとって情けや優しさといった感情は弱さの象徴であることを認識しなければならないのである。


 僕こと横四楓院絞男にとっての一番のいらない物は諜報活動を邪魔する敵組織である宇宙人や地底人、妖怪であるが、このような不敬者にはファッション感覚で漏れなく抽選十名様に死という名のプレゼントを与えてやれば済む話である。


 シュパッ、ファサ……


「ヒョア! すっすげええええぇぜ、ブラジリアンワックス先生!」


 僕の赤ん坊のような柔肌に今の今まで群生していた黒い雑草(※スネ毛)が、正体不明の謎の妙に粘性のあるジェルを染みこませた布に吸い込まれるように刈り取られた結果、元の赤さん肌よりツルッツルな白魚のような肌年齢マイナス百歳(※絞男比)の柔肌に様変わりしたのである。こうして、絞男の表皮から生えていたいらない物もとい黒い雑草は変なジェルによって駆逐され、パイ〇ンな肌の平和が守られたのでした、おしまい。

…………。

ブラジリアンワックス脱毛である。ワックス脱毛の一種で、通常は謎の変なジェルを人間の敏感でいやんばかんあはんな下の部位に鬼のように塗りたくり、布を駆使して毛を刈り取る脱毛である。無論、僕のように脛に群生している黒い雑草を引っこ抜くのにも効果覿面である。


「ハアハア……し、しかし、僕達の戦いはこれからだぜ? 次は腕の黒い雑草を除去したるばい」


 黒い雑草の群生部位はまだ複数あるし、まだ脛が終わっていない為、お楽し…刈り取り業務はまだまだこれからである。ちなみにであるが、ブラジリアンワックス先生のメリットとしてまず手軽さが挙げられる。黒い雑草の群生部位に変なローションを塗り、布で拭き取る、これだけである。そして、黒い雑草だけでなく角質も取れるため、トゥルントゥルンな桃尻のような肌に仕上げることも出来るのである。また、特殊ではあるが、プロのスパイの武器として使用可能である。敵の頭部やギャランドゥに『これ、昇天できるくらい気持ち良くなれるオナ専グッズなんスよ』とか言いながら、悪魔のように塗りたくり、瞬発的に布で拭き取る……本当の意味で昇天させられる凶器である(※ブラジリアンワックスは頭部には向いてません)。


 シュパッ、ファッサァ……。


「WOW! いちちち、しかし、拭き取ったときに少し痛みがあるのが欠点かな」


 ブラジリアンワックスのデメリットとしてはお手軽さはあるが、やっているプレイは脱毛である為、多少の痛みはある点である。そして、永久脱毛ではない為、数週間後には再び黒い雑草が元気にビンビンと伸びてくるのである。……まあ、しかし、痛みとはいっても本当に少しであるし、何度か使用しているとクセにな……ともかく、ブラジリアンワックスは攻守ともにスパイにとって素晴らしいアイテムであることは言うまでもないのである。


「ヘヘヘ……じゃあ、もっかい脛で楽しんだらんかい」


 ブラジリアンワックスは

脳内麻薬のようなものである。


 シュパパッ、ムワァァァ……。


「イエス、イエス! イエズス会、俺NUKEEEEEEEEE!」(←只今、脳内麻薬分泌中)

「ヤッホー! あ、さっとうくん、おは……どうやら私の佐藤くんはお楽しみ中のようですね失礼しました」


 ブラジリアンワックスで楽しんでいると、普通に教室に入ってきためぐみん氏は回れ右して退室しようとする。お、お楽しみ中じゃねえです!!やばい!変な噂を学園中に触れ回されたら、諜報活動が捗らなくなるじゃないか!


「ま、待って……こ、こりは、あのしょの……」

「ン? あ、私のことはお気にせずにどうぞごゆっくり? You●ubeに『教室で狂人ごっこをしてみたwww』っていうタイトルでうpして、再生数を稼ごうとか、そういうのしないから」


 めぐみん氏はとびきりの笑顔でスマホを僕に向けながら言う。ぜ、絶対やるつもりだこいつ!全世界にネット配信を通じて僕の恥ずかしい訓練を晒しに晒しまくるつもりなのだ!そ、そんな鬼畜行為をされたら羞恥心の余り僕は真面に胸を張って街を闊歩することが出来なくなるじゃないか!しかし、それはそれで……ち、チガウ!そうじゃない!何としてでもこの目の前の天然記念物に服を着せたような女の口封じをしなければ……ふ、フン、この女の態度如何によっては東京湾の海底に沈んでもらわなければならないかもな。ざ、ざまあみろ……プロのスパイを舐めるからこういうことになるのだ!


「や、止めろ……止めろてくだしゃいぃ」

「フッフッフ! どうしよっかな~……出来れば私もさっとうくんのオナ●ー姿を見知らぬ誰かに晒したくないしなー……」


 めぐみんはわざとらしくイヤラシイ笑みを浮かべ、腕を組んで思案している。おっおっおおおなっとらわい!崇高なスパイの訓練中です!そして、結果的にざまあみるのは僕の方でした。畜生!弱みを握られていては手を出すことも出来やしない!そうなのだ!これは決して僕がビビっているとかそういうのじゃないのである!


「じゃあさじゃあさ、今日のさっとうくんはどんな変態行為をしているかおせーてよ! ねっ? ネッ? ネェ! いいでしょ!」

ゆっさゆっさ

「アッオッオッオッオッオロロロロロ」


 めぐみん氏はキラキラした子供のような瞳で僕の両肩をがっしりと掴み、前後に揺らしてくる。脅しをかけながらの肉体的攻撃はヤメロ!朝くった誰得ラーメンをリバースしてまうやないかい!しかし、まあそれくらいなら別に無理難題でもないし……最悪、裸でたこ踊りしろとか幼稚園にプリッキアーのコスプレで『ぷりっきあーだいしゅきだよー!!』とか叫びながら突撃しろくらいの命令レベルまで考えていましたし?とりあえず、僕は辿々しくかみまくりながらもブラジリアンワックス脱毛について目の前のアフォ女に説明してやった。無論、本来の使用用途であるアンダーヘアーの下りは伏せておいたのは言うまでもない。僕の説明を聞いためぐみん氏はキョトンとした姿で口にする。


「そっかそっかー、さっとうくんは一休さんになりたかったんだねー」


 誰が一休さんやねん。

コイツ、本当に僕の話を聞いていたのか?途中から上の空で右から左だったんじゃないないのか?まあ、いい。そもそも、この女に理解されたいがために説明したわけでもなし、義務は果たしたのだ。これで動画配信プレイはチャラの約束である。


「ンー……でもさでもさ、そんなわざわざ変な液体使って面倒臭いことしなくても、毛という毛を抜いて一休さんになるんだったら、これ使えば簡単に一休さんになれると思うよ! ビリビリッて!」


 めぐみん氏は教卓の上に置いてあるガムテープを手に取り、またもやとびきりの笑顔で僕にそう口にする。ま、まさか……ば、ばっ、バーロー!そ、それはもはや罰ゲームだろうが!中学生とかが面白半分でやってたあれだ!地味に痛いどころか、本気でやったら死ねるやつですはい。や、ヤバみ……なんかこの後の展開が容易に想像できるような気がするぞ。


「と、いうわけでさっそく……やってみよう!」

「……ゃりたくなぃでしゅうぅ」

「え? 『思いっきりやっちゃって下さい、落ち武者希望です』? もー、そんなにこれが恋しかったんだねーさっとうくんは」


 先刻は一休さんスタイルって自分が言ってたじゃねぇか!何で、敢えて毛を残していく最悪なスタイルなるんだよ!!会話にならねえ!ていうか、ガムテープで落ち武者スタイルとか時代を先取りしすぎて絶対ヤダ!!


「さっ、さいならああああああ」

「アッー逃げるなー!」


 そんな下手な拷問より拷問しているプレイはお断りである。猪のように僕はめぐみん氏から距離を取り、教室のドア開けて逃走す。


ガラッ


「おっと、危ないな。ん? 佐藤氏……と田中氏か。バカップルが早朝の教室で揃いも揃ってどうしたん……はっはーん。そういうことか。若いからやるなとは言わんが机を汚したらちゃんと拭いておくんだぞ。敢えて、汚して放置して興奮したくなる気持ちもわからなくはないが、その席の本人にとっては迷惑以外の何ものでもないのだからな」


 扉を開いて逃走しようとすると、目の前に天宮先生がご降臨された。ゲェー!何で、胎児先生ェがここに!?ていうか、何にも言ってないのに勝手にゲスの勘繰りで自己完結するのやめてあげて胎児先生ェ!


「しぇんしぇー! オ、オタッオタスケ!」

「あ~! 胎児先生、聞いてよ! さっとうくんが自分から落ち武者になりたいですって言った癖に逃げるんだよー何とかしてよ!」


 で、出鱈目な事を言ってんでねぇ!全てお前の創作だろうが!し、仕方ない。僕の真意を分かってもらう為にもワックス脱毛について天宮先生に説明しよう。あれ?本日二回目?何で、僕の性癖、スパイの訓練内容を何度も事細かく説明しないとならないのだろう。まあ、いい。


「……成る程。佐藤氏は赤ちゃんプレイをやりたいと言うわけだな」


 ……アレェ?

いきなりこの目の前の幼児はナニをおかしな事を言い出すんだろ。絶対、僕の真意が一ミクロンも伝わってないよねこれ。


「い、いや、あの……しぇんしぇい?」

「二人の話から理論立ててまとめるに、『落ち武者スタイルになりたい佐藤氏はブラジリアンワックスで田中氏のチョメチョメをトゥルントゥルンにして、ベビー服を着せる、そして落ち武者×赤さんの夢の合体共演』……まあ、こんなところか?」


 ナニがこんなところなんです?理論も何も滅茶苦茶過ぎませんか?ていうか、本当に先生は先生なのでせうか?直前になんか変なエロ同人誌を読んでたからそんな意味の分からない斜め上の理論が出てきたんじゃないの?


 ペタッビリッ


「俺ITEEEEEEEEE」


いきなり、脛にガムテープを当てられ、ビリッと剥がされる僕。


「さっささささささ……さっとうくんの超弩級のド変態! 私をパイ●ンにしたいだなんて、変態変態変態変態変態変態ヘンターイ!!」


 ペタッビリッ

 ペタッビリッ

 ペタッビリッ


 やっぱり、最後はやられるんかーい。落ち武者スタイルになるのは何とか避けられたが、ガムテープで脱毛プレイは授業が始まるまでやられる僕なのであった。

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