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横四楓院絞男はドローンがお好き

 プロのスパイは常にヤクチュウ患者の如く『三つの目』をギンギラギンにさり気なく光らせておかなければならない。『三つの目』とは端的に言えば、『鳥の目』『虫の目』『魚の目』である。『鳥の目』とは鳥のように上から物事を大局的に見渡す目、すなわち全体像を把握する目のことである。『虫の目』とは地面に根付く足下に近い位置、すなわち今いる現場で昆虫の複眼の如くあらゆる視点から物事を考える目のことである。『魚の目』とは潮の流れの中で生きる魚のように、時代の流れの変化を見る目のことである。どすこいパワハラ学園を活動拠点として構えるプロのスパイである僕にとって、どの目もJSを諜報する上で常にピカチュウ患者の如く光らせて置かなければならないのは自明の理であるが、特に重要な目は『鳥の目』であると僕は思う。


 学園の現状を探るには己が動くか、人を使役するかが容易い。ぼっちっちの僕にとって、人を使役するのは現実的でない。ぼっちとは失敬な、孤高の一匹狼と呼びたまい。己で動くのは行動範囲に限界があるし、裸一貫で乙女の園たる女子更衣室にキャッハアアア☆と突貫したいところではあるが、下手を踏めば青い人にしょっぴかれるリスクもある為、ここはやはりノーリスクハイリターンな方法を採用したいところである。時代は合理的で最先端で変態的なのである。そこで、先程の『鳥の目』を揶揄的な意味だけでなく、物理的な意味でも行使するのである。


 ドローン、である。

簡単に言えば人が乗れない無人航空機である。タケ●プターにギャランドゥが生えたようなものである。ドローンは人の手で簡単に操縦できるし、中には自動操縦式も在るらしい。何と言ってもドローンの最大の特徴はバードビューウォッチングにある。手持ちのスマフォなどのタブレット端末とドローンをリンクさせることで、実際に空の上からの景色を拝む事が出来るのである。まさにドローンは『鳥の目』を体現したような画期的な現代社会のアイテムであるといえよう。


「さあ、頼んだぞ『スカイツリーシメオ』。今日のお前のイキ先は『女子更衣室』だ!」


 ブーン……。


 僕は小遣い前借り一年分をはたいて購入したドローンもとい『スカイツリーシメオ』の屋上からの離陸を見届ける。……。おろ?勘違いしてもらっては困るのだぜ。これは別に僕が助平根性丸出しで、夜のおかずの為におかず動画を集める変態行為ではない。以前にも語ったがあの女子の不自然な胸の膨らみが何なのか、ひょっとして手榴弾や危険物を隠し持っている女スパイがこの学園に紛れ込んでいるのではないか……そんな不審者を片っ端から探る立派な諜報活動なのである!女子の胸をカメラを通して秘かに視姦……観覧するのはとっても勃起…心苦しいのだが、許してほしい。成功は犠牲という名の屍の上で成り立っているという事実をキミ達は忘れてはいけない。僕は決してキミ達の立派なおっぱ…勇士は忘れないし、ドローンという鳥の目を通して血眼……血の涙を流して必死に耐えているのだろう(歓喜)。


 ブーン……。


 タブレット端末は未だに屋上からの街の景色を捉えていた。おっっっそ……。ナニコレ、離陸してからかれこれ三分は経過してるんですけど、未だに僕の頭上三メートル付近でモタモタちんたら上へ上へと動いている始末である。クソ遅漏ドローンやないかい!やっぱ、お金をケチったのがいけなかったのかな……二万円前後で品質に期待するのが間違いか。


 ブーン……。


 ……。

ブーン…じゃあねーんダYO!

早く飛べや!蜂のように!何時までちんたらモタモタやってんのじゃい!時間は有限なんだよぉ!折角、体育の終わり時間を読んでやってんのにこれじゃあ、女子のパイ乙見れへんやないかい!ち、チックショウ!これじゃあ遅漏ドローンが女子更衣室の近くに飛ぶ頃には明日の朝日が拝める時間帯になっちゃうぞ。ど、どうする……もういっそのこと僕が『身体のメンテに来ましたァー!』とかいいながら直接突貫してやろうか?だ、だめポ……不自然過ぎるし、本末転倒である。く、クソ、口惜しいが今回は諦めて次回の対策を考えるか…。なあに、大丈夫。この遅漏ドローンさえあれば何度でも僕は蘇る…。


「おりゃー! あったっれー!」


 ビュッ(←ナニかが空を切る音)

 ボスッ(←ナニかとナニかが上空で物理的に無理矢理合体)

 プ~ン……(←ナニかが墜落する音)


 …………。


「チョッ、マッ……えええええええええええええ!?」


 い、一体ナニが起こったんだYO!

今、僕の目の前で不可解なポルターガイストが起こったんですけど!?エッ、エッ、エッ?ほんとに?本当に意味が分かんない!ゆっくりとあの遅漏ドローンが昇降してたかと思ってたらいきなり唐突にセルフ墜落したでござるの巻。い、いやマジでナンナノコレ、理不尽過ぎるんですけどー!けどー!


「イエーイ、やったあ! ナイスヒットだね! さっとうくん!」


 めぐみんの脳天気な声と投球ポーズで全てを理解した僕。

そして、どや顔で「コロンビア!」とガッツポーズしながら駆け寄ってくるめぐみん。な、ナイスヒットって……それは遅漏ドローンのことかーーーーーーっ!!!!!!


「…………クァッ!」

「どしたの、さっとうくん? オタ●クソースみたいな顔して……おたふく風邪でも発症したの?」


 な、何がオ●フクソースだ、ふざけるな!

誰の所為でこんな顔になっていると思っとるんじゃい!!何処吹く風みたいな顔しやがって!大抵、今の今までのこの女の僕に対する鬼畜的な所業は目を瞑って冷静沈着にスルーしてきた僕だが、今日という今日はいくら仏様の生まれ変わりと言われた僕でも堪忍袋の緒が切れたぞ!遅漏ドローンの代償はこの女のエロイ身体で償って貰わないと僕の気が済まない!


「ギロリ」

「うっ……こ、怖いよ佐藤くん、睨まないでよ。私をランボーする気?」


 ふ、ふざけるな!ランボーされたのは僕の遅漏ドローンだ!


「ブンブン煩いうん●ハエを小石で投げ落としただけなのに何で佐藤くんは激おこなのかな?」


 めぐみんは本当に意味がわからないといった様子で上目使いになる。あ、あんな、立派でとろいうん●バエがいてたまるか!ていうか、女子が上目使いでうん●とか口にするな!なんか変な性癖に目覚めちゃうじゃないか!


「は、ハエぇ……じゃなくて。ど、ドローン……です」

「ドロンパ? ぬかみそあげるから許してよ……」

「ど、ドロンパじゃ、なくて……ドッドローン、でしゅ」

「ドロンジョ? ネズミとコンニャクあげるから許してよ……」

「…………」

「ケロンパ? ゲロゲロ」


 何にも言ってないだろ!何でドローンがタレントになるんだよ!空耳にも程度があるだろ!でも、コンニャクは色々と捗るから欲しいです。出来れば、からしコンニャクでオナニシャッス!


「ど、ドローンです……か、返せ。返してくだしゃい」

「やだ!!」


 何がやだ、だ!

加害者のする返答じゃないだろ、ふざけんな!


「か、返さない……と。お、おこっおっオッオッオッオッオッ」

「うんうん、さっとうくん、どうどう……落ち着いて。大丈夫だよ? 聞いてあげる。私はちゃんと聞いてあげるから」


 めぐみんは緊張してどもりまくる僕の両手をなでなでと握り、あどけない笑顔で僕を精神的に攻撃してくる。な、なんで今から非難する相手に巣立ちを見守る親鳥のような暖かい表情で見つめられているんだよ!ヤッヤリにく……非常にヤリにくいです先生!ナニ?何なんですかこの空気?オカンに『貴方は本当はヤレば出来る子なのよ』と慰められてるみたい。嗚呼、いやだ、いやだよう、そんな心を見透かしたような、変に僕を同情するのはやめておくれ!


「…………」

「…………」


 僕が黙り込んでも次の言葉を待っているのか、屈託の無い笑顔で僕をガン見するめぐみん。しかし、その彼女の変わらぬ態度にかえって決心のついた僕は覚悟を決めた。……フン、いいだろう。貴様がプロのスパイボーイである僕に向かってそのような舐めた態度をとるとどういう不幸な目に合うか、その柔らかそうな身体に永遠に癒えない傷を刻み付けてやることにしよう。


「め、めぐみん、しゃん!!」

「ビクッ……あ、はい」


 壁ドォン


「HEY! ぼっくんは怒っているのだぜ?」


 いやいや……だめだろ、僕。

これじゃあ、コミュ障がちょっと一時の変な高揚感でイキっちゃった感じでしかない。メンヘラか山姥かプロレスラーのような筋肉女子以外はドン引きィ!すること間違いなしである。


「はぁ、え……。あ、うっ、ちょ、ちょい、ちょい待って……待って……」


 めぐみんは胸元を隠すように腕を組み、明太子のような顔色をして僕から目を逸らしている。……えっ、何ですかそのスウィートでスイーツな反応。


「…………」

「あ、あーもー、びっくり、びっくりさせないでよー、さっとうくん……本気でドキドキしたんだから」


 ぜ、絶対に一時の気の迷いだと思うんですけれど。

かかりつけの病院で心臓を診てもらうことをオススメする。『それは恋の病ですねキリッ』とか気味の悪い診断を受けたらただちにその病院に火を放つことをオススメする。


「あ、さっとうくんのドローンを私が投石で墜落させちゃったことだったね。うん、本当にごめんなさい。ふざけすぎだよね私」


 やっぱり分かっとったんかいワレ。

急に素直でしおらしくなったんですけどこの娘。な、何か、怖いんですけれど?未来的な意味で、色々と。


「勿論、ドローンは弁償するね。あと、こんなことで許してくれるとは思わないけれど、あ、あの……その……さ、佐藤くんはこういうの、好き……だよね?」


 スカートの裾を少し持ち上げて、太股をはだけさせるめぐみん。人前で太股をはだけさせ、秘密の三角スポットが見えそうな位置までスカートを持ち上げる行為で羞恥心に満ち溢れた彼女はチラチラと僕の様子を窺っているようである。


「うんー! とっても、大しゅきー!」


 とっても、単純な僕である。

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