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横四楓院絞男はドレスアップがお好き

 自慢では無いが、僕こと横四楓院絞男はお洒落のケツの穴から生まれたと言っても過言では無いほど、お洒落に精通している神様である。本気を出した僕の着飾った姿を目撃した者はあまりのその神々しさに、己のファッションセンスの無さを恥じ、その場で思わず服を脱いで全裸土下座で僕に平伏するという。フン、スパイのスペシャリストたる僕にとって『着飾る』という行為は犬のクソを嬉々として仏壇に供えるのと同じくらいのクソ行為である。服などちん●を隠せればそれで機能としては充分なのである。さらに言えば、ブリーフとニップレスだけ装備して街中を堂々と闊歩しても何の問題もないのである。裏の世界を牛耳るスパイにとって、排泄物チン…猥褻物チン列罪など些末な問題なのである。


 しかし、一方で服はその最低限の機能以外にも重要な機能をを有していることも否定はできない。一つは身分の秘匿である。スパイたる者、何者にも目が触れぬようにする隠密行動はちん●に黒い雑草が生えてくることと同じくらい常識なのは言うまでも無い。スパイがタキシードやビキニ姿で街中を闊歩する……目立つどころか、変態ボマーの格好の餌食になることは容易に想像できるだろう。う、うっぷ、じ、自分のスネ毛丸出しなビキニ姿を想像したら気分悪くなっちゃった。だ、たから、僕の諜報活動中の正装は黒のスーツ姿にサングラスなのである。


 そして、もう一つの服の機能は道具の収納である。

僕の愛棒であるトカ子(※モデルガン)は、女子のスク水の食い込みを視姦していようとも、格好いいポエムを制作していようとも、うん●をモリモリと生産していようとも、いつ何時も肌身離さず携帯しておかなければならない言わばキャバクラの広告が書かれたポケットティッシュのような物である。先のブリーフにニップレス姿では、愛棒トカ子を隠しておく場所がないのである。まあ、そのブリーフの中にはご立派な愛棒を隠してはいるがな、フフフ。大事なブツを直ぐさま取り出せるように懐にしまっておく。このように、スパイにとって服装は意外にも重要な役割を担っているのである。


『ぐっもーにんだよ、さっとうくん! SHIBUYAでシャレ乙な服を買いたいんだー! さっとうくんは暇かな? 暇だよね? 暇なはずだ! 今日一日、私に付き合って!』


 休日の朝。

このような人の都合を無視した素敵なラインをめぐみん様から頂戴した。何が、シャレ乙だよ。ハッキリ言ってこのようなウサギのクソのようなラインは無視するのが一般常識である。だがをかし、SHIBUYAでシャレ乙と聞いてはお洒落の仏様である僕は黙っていられない。


「これが、本当のシャレ乙というものやないかい!!」


 待ち合わせ場所のハチ公前の中心でラヴを叫ぶ。

通行人が真夏のジトジトとしたブリーフのような瞳で見つめてきたが、気にしない。簡単にシャレ乙などというお洒落の稲尾様の心をくすぶる言葉を使った時点で僕の心に火がついた。フン、あの天然記念物に本当のシャレ乙というものが、どうゆうものであるかジックリと教えてやろう……僕の身体でな!『本気を出した僕の着飾った姿を見た彼女がいつの間にか全裸土下座をしていたでござるの件』を実現してやるぞ!


「おーっす! さっとうく……だっっさ! さっとうくん、すこぶるだっっっさ!!」


 全裸土下座どころか罵倒が飛んできたでござるの件。

だ、ださ……?何だそれは日本語か?今なんかありえないシャレ乙神の僕にとって相応しくない言葉が聞こえてきたような?声の発信源の方へ振り向くと私服姿のめぐみんさんが青い顔をして震えながら僕を指差していた。フフン、さては僕の、オシャンティな服装を見てチビっているのだな?ならば、そろそろ下着に手が掛かる段階だな。良かったら脱ぐのを手伝ってやるぞ!


「いいのよ、恥じらっても。人はそれを花も恥じらう乙女と言うの……」

「ナニソレ……。佐藤くん、だっさい格好で身の毛もよだつ寒い台詞言うのやめてよ。その内、お巡りさんに捕まるよ?」


 めぐみんさんは両腕を胸の間で組み、顔をしかめて後ずさる。な、何が、捕まるだ!あっ、ちょっとマテ!こいつ、今、僕の事をダサいと言ったな!シャレ乙神の僕をダサいと言うのはワキガな人に『フルーティな臭いが最高ですね』と笑顔で口にするのと同じくらい酷いことなんだぞ!


「だ、ダサくない! ……僕はダサくないです」

「ダサいよ! 何その不自然に胸元の開いたカッターシャツにグラサン! 狙いすぎだよ! 狙いすぎてなんかキモい!!」


 き、キモいとか言うな!泣くぞ、咽び泣くぞ、こら!!


「き、キモくない! ……僕はキモくないですぅ」

「キモいよ! あとそれ! チノパンのハーフパンツにロングの白のソックス合わせるのやめてよ!! ぼっちゃん系?! ぼっちゃん系、狙ってるの!? それにスネ毛が見えてなんかキモい!! 剃ってよ、その悪魔の毛むくじゃら!!」


 す、スネ毛はファッションに関係ないだろ!毛むくじゃら言うな!ち、ちっくしょう!腐女子みたいなことを言いやがって!!何でこんな天然記念物にボロカスに服を貶されなきゃいけないんだ!!


「むきー! お洒落は足下からって言うでしょー! なのに何なのその悪趣味なドクロと象形文字みたいな変な文字がいっぱい入ったスニーカー!! イキッてんの!? 唯々、痛いだけだし、笑いのネタにもならないから余計にたちが悪いよ! それならまだ下駄の方がマシだよ!」


 めぐみんさんはその場で地団駄を踏んで僕の神々しい靴に文句を出す。げ、下駄って、い、言い過ぎだろ、こら!!わ、笑いのネタで履いてないぞ、これは僕の勝負服だ!く、くそ……来て早々に滅茶苦茶に馬鹿にしやがって!そ、そこまで人の服装に査定を入れるなら貴様の服装にも駄目出ししてやる……頭の中でな!ジロジロジロジロ……人のアラを探すのが大好きな僕である。


「はあ……まさか、佐藤くんが此処までセンスが無いとは思わなかったよ。まあ、この間の痛Tである程度はお察しだったけど」


 白のVネックにデニム生地のジャンパースカートを重ね着。靴は白のスニーカー。大人っぽさと子供っぽさが同居したこのファッションは見る者を引くとまでは言いませんし、地味目ではあますが、彼女の天真爛漫さを押しだしすぎもせず、引きすぎもせず、彼女らしさを自然に出している言わば無農薬野菜のような魅力になっていると言えるのではないでしょうか?


 ……。

はっ、な、何故、僕は冷静にめぐみんさんの服装をプレビューしているのだ!思い切り、美乳過ぎだろとか可愛いのに性格が残念すぎるとかパイ乙触らせて下さいとか言って貶してやろうと思っていたのに!


「もー、ほんとに佐藤くんは仕方がないなあ。私がいないと何も出来ないんだから……でも、大丈夫! 私がダメな佐藤くんを一生養ってあげるから安心するのだ!」


 めぐみんは僕の両肩をガシッと掴み、やる気満々な笑顔になる。そ、そんな、スケールの話だったっけ?ていうか、や、やめろ!よく考えたらそれって、『お前をおヒモ様にしてやろうか?』ってことじゃないか!ぼ、ぼくは、お前のおヒモ様になど……。


「あ、ありがとうございます」


 何故、僕は普通にお礼を言っているのだろう。


「にっしっし! 素直な佐藤くんは好きだよ! さーて、佐藤くんの為に此処はお姉さんがひと肌脱いであげるね」

「ひ、ひと肌脱ぐ……? こ、ここで生まれたままの姿にな、なるのは……ブフッ、は、犯罪じゃ」

「……。ギャー! な、何言ってんの! 何言ってんの! そんなわけないじゃん! そんなわけないじゃん! もー! さっとうくんのバカ! 鼻血とか出しちゃって! エロス人!」

「あ、ありがとうございます」


 このタイミングでお礼を言うのは絶対に間違っていると思うぞ、僕。


「もっとお洒落な服を一緒に探してあげるって言ってるの! 将来の旦那様に格好悪い服を着せられないんだから! ほら、行こ?」

「わっ……わっ、ちょ、まっ」


 僕に構わず、僕の手を握り思い切り引っ張るめぐみん。

旦那様……。私好みの男にしてやるぜ的な?握られた手から汗がジンワリと感じられた。

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