横四楓院絞男はスク水がお好き(後編)
ピンチはチャンスと捉えよ。何故ならそれは現状維持をさらに良い方向へと変化できる最高のチャンスだからである。キッカケは──個人差があるかもしれないが、人は何かキッカケが無ければ中々、変化や成長を受け入れられない生き物である。そして、さらにいえば他人を変化・成長させるよりも己が自らが変態する方が容易い事は僕のスパイ界では常識中の常識である。ちなみに変態するとは『おじょーチャン、おぢちゃんのとっても瑞々しいビーチクを弄ばないかい?』とかそういう声掛け事案ではなく、ディ●ダがダグト●オに進化するとかソッチ方面のヘンタイである。
『おいおい、パイ乙ネーチャン、このハンバーガーピクルス入ってねえよ、どーなってんの?』
さて、例えばこんなクレームもといピンチがおっぱいの貴方に訪れたらどうするだろう?ゴルフ焼けしたイカツイすこぶる禿げおやぢは濃厚なキスが出来るくらいの至近距離で唾を飛ばしながら、おっぱいの貴方を責め立てているのだ。まさに貞操の危機である、ピンチである。しかし、これは考えようによっては逆転サヨナラホームランのチャンスなのである。ヒトはピンチに陥るとその場を何とか乗り切るために自分にとって最適解が何か、脳内で複数の選択肢を張り巡らすという。上記のおっぱいの貴方の解答例を御紹介しよう。
①『私、知りません! 只、あのケバセレブが貴方のハンバーガーからこっそりとピクルスだけ抜き取っていたのは見ました!』
最悪である。
罪を鼻糞のように擦り付けようとしているのは勿論の事、直ぐさま嘘だと分かるような台詞を平気で口にすることも二重で最悪である。嘘をつくならせめて『奴(←ケバセレ)はトンでもないブツを盗んでイキました……貴方の心です』などとシャレた台詞を吐いてもらいたいところである。
②『それは違います。正確には入っていないのではなく、既にソレ……PIKURUSUは貴方の心の中に存在しているのです。貴方がソレを意識したその刻その瞬間からね……』
鳥肌である。
どこのJKを口説いているのだろうか。運が良ければ恋に墜ちてメランコリックなスネ毛を装備したオッサンとの誰得ラブコメ展開になるかもしれない。しかし高確率でグーパンが飛んでくるか、ガチ引き病院へ産地直葬のどちらかだろう。
③『ごっ、ごめんなさい! お詫びに私……スク水になりマス!』
Oh…メルシー。
素晴らしい、ありがとう、ありがとう……。ハッキリ言って何の脈絡もない解答であるが、これならば僕もおやぢももれなくフルおっきバースト状態間違いなしだろう。客の為に御身を差し出すのも厭わないその精神性に盛大の賛辞を送りたい。
色々と言ったが、結局のところピンチをチャンスにヘンタイできる為のポイントは『何の為に?』『誰の為に?』『どうやって?』を明確にするその考え方次第だと僕は思ふ。その場しのぎの自己保身の対応はピンチをチャンスにヘンタイするどころか身を滅ぼす事になるであろう。そして逆に相手の立場に立ちつつ、最大限の奉仕をできる者は忽ちピンチをチャンスにヘンタイ出来るといことなのである。
まあ、つまるところ……。
まったく、スク水は最高である!
「さっとうくん、さっきから塗りがあまいよー! ちゃんとやってる~? もー、しっかり塗ってよネ!」
スク水信徒の僕こと横四楓院絞男は砂浜でめぐみんの背中に謎のジェルを塗りたくっていました。くっ、な、何故、闇の住人たる僕がこんなソープでやるような特殊プレイをこのメス相手にしなければならないのだっ。まあ、僕の場合ヤラレル方だと思うけれど。そ、それは兎も角である!折角、二人で海に来たのに何だこのご奉仕タイムは!ご奉仕されるのは僕である!違う、そうじゃない!僕はこの女の召し使いか付き人か何かか?確かに無条件で嫁入り前の乙女の柔肌に触れられるのは合法なセクハ…だが!しかしである!基本的に女子に触れることなど今までオカンや妹くらいしかなかった所謂女子に粘液じゃなくて免疫のない僕にとってはこの行為は公開センズリー並に恥辱なのである!行き止まりで震える幼女並に震える指先で申し訳程度に塗るのが僕の今の精一杯である。ダレカ、タスケテ。
「し、しっしっしっ! しっしっシィー!」
「ひとりでジャブの練習でもしてるの? ハッキリ言ってくれないと分かんないよ」
ビーチマットの上でうつ伏せで懇ろがっているめぐみんは僕の方に首だけ振り返って、不満そうなふくれっ面でそう口にする。うっ……めぐみんは気付いてないのか、謎のジェルを塗る為にスク水を腰辺りまで下ろしてるせいで、たわわに実りに実ったマシュマロの先っぽが見えそう……ううっ、貞操観念が低すぎィ。わ、ワザとやっているのかこいつは?『み、見てんじゃないわよ、バカ! み、見せてんのよ、バカ』とかそういうよく分からないツンデレ系?天然?僕としては天然が好きなので是非とも宜しくお願いイタします。
「しっ、しっ、しっかり、やってます……た、田中さん」
「……。やり直しです、佐藤くん」
「えっ?」
「やーりーなーおーしー! ほら! さっさと! もっかい! 今の台詞言ってください!」
めぐみんは駄々っ子のように両手をバァンバァンとビーチマットに叩きつけて僕にリピートを要求する。な、何だ……何が悪かったのだ!まるで、分からない……何も可笑しいところは何も、ない。可笑しい…お菓子…おかし…そ、そうか!わ、分かっちゃったぞ!今の台詞に可笑しなところは何もない。だから、可笑しなことを言えとめぐみんは暗にそう言ってるんだ!なんてこったい、プロのスパイである僕がこんな簡単なことに気付かなかっただなんて。よ、よし、待ってろ!言ってやる!言ってやるぞ!可笑しな駄洒落を今から言ってやるぞ!
「と、隣の客はよくカキ喰う客だねぇ……」
「…………」
「…………」
「…………ナニソレ?」
「えっ? えっと、隣の客はよくカキ喰うk」
「よく聞こえなかったって意味じゃないよ! 何その意味不明な返し! 言ったよね!? 佐藤くんがさっき言った台詞をもっかい言ってって! はーやーくーいーえー! がぶかぶっ」
「ぴゃああああああ!」
めぐみんは僕の指先をがぶりと猛獣のように思い切り噛んでくる!
な、何なんだよ!だったら先にちゃんとそう言えよ!哲学的な問答だと勘違いしちゃったじゃないか!
「しっ、しっ、しっぽり、やってます……た、田中さん」
あれ?何か微妙に違う感じになっちゃったような気がするけれど、ま、いいか……。
「アウトー! 佐藤アウトー!」
ばっちん!
「ヒィッン」
言われた通りにリピートすると、いきなり真正面から右ビンタを喰らう僕。な、なんなのぉ?この理不尽なパワハラ?
「がー! 言ったでしょー! 私がスク水になる代わりに私のこと『めぐみん』って呼んでって! さっとうくんは鳥頭かな!? もう、忘れちゃったのかなー!?」
めぐみんは僕を指差し、思い切り親の敵のように僕を非難してくる。ち、ち、ちっくしょう!この天然記念物に鳥頭とか言われたく無いんだよ!めぐみんとか、地の文もとい心の中で言うのはまだしも口に出すなんて恥ずかしくて出来ないんだよ!こ、こうなったら、今から腹いせにそのお前のスク水を無理矢理引っ張ってエーブイみたくハイレグにしてやる……頭の中でな!そして、僕は真正面にいるめぐみんのスク水姿を舐め回すように凝視する。フン、イカサマと同様にバレなければセクハラもセクハラでは無いのである。
「……。ギャー! さっさささっとうくんのエッチスケッチワンタッチ! ななななっ何、私のスク水、見つめてるの!? セクハラ! さっとうくんはとってもセクハラ仮面です!」
ばっちん!
「ヒギィッン!」
いきなり真正面から本日二度目の理不尽☆左ビンタが飛んできました。な、何故、僕が獣のような眼で食い入るように主におっぱいを中心にスク水を見つめているのがばれたのだ!!そして、めぐみんはそれでも怒りが治まらないのか、今度は釘バットを凶器として持ち出して、緩慢ではあるが、ユラリユラリと幽霊のような動きで僕との距離を詰めてくる。ひ、ヒェッ!や、ヤバイ!こ、このままだと僕はこの世から半強制的に引退させられてまう!僕は砂浜を走り距離をとろうとするが、めぐみんも追いかけてきた!釘バットを持って。
「サトウクンノ……キヲクヲケスシカ」
「ヒェ! ま、マッテ! め、メグミルク、ご、ごめんなしゃい!」
「……。ヤッパリ、ケスシカ」
「わー! わー! めぐみんさん、ごめんなさい!」
「……。マダタリナイ、『スクミズメグミンハサイコウダゼ』ッテイエ……デナイト、ヤッパリ、ケスシカ」
「す、スク水めぐみんは最高だぜ!」
「……。マダダ、『モウ、ボクハメグミンナシジャイキテイケナイ』……イエ」
や、やたらと具体的な注文が多くなあい?
「も、もぉっ! 僕は! めぐみんなしじゃ、生きてけないですう!」
「……。にっしっし! そっか、そっかー! さっとうくんは私なしじゃ生きてけないんだねー! ほんっっっとうにさっとうくんは母性本能あふるる子だなー! よーちよちよち」
そして、この変わり身の早さ。
「あ、そうだ! 今度、さっとうくんに家族を紹介するね! パパとママと妹と犬がいるんだよウチ! たっのしみだねーさっとうくん!」
……。
めぐみんさんの滲み出る、圧が……愛が……重い、です。




