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横四楓院絞男は人生ゲームがお好き

 実際の人生ゲームとは大幅に異なりますので、ご了承下さいませ(※実際の人生ゲームは老若男女楽しめる素晴らしいゲームです!)。

 『人生とは選択の連続である』

人間は人生というレールの上で生きていると言っても過言では無いだろう。生から始まり、死に終わる。始まりと終わりが一緒であっても、その間の人生レールは己の選択次第で随分とその様相が変化する。ブラック会社で人という人を蹴落とし、汚い手腕でのし上がり社畜王になる者、かたや歌舞伎町あたりで男の尊厳を捨て、同性にその身も心も捧げ、男色に染まるおカマの伝道師になる者、謎の宗教団体『ナマ足ペロリんちょ教』の創設者となりその名を世界に轟かせるナマ足教祖となる者、そして、裏の世界で暗躍する凄腕スパイである僕こと横四楓院絞男。このように人生は選択によってあらゆる可能性が樹形図のように無限の広がりを見せる。


 そして、今の自分の生き方に後悔は無くとも『あの時、ああしとけば』とか『あそこで違う道を選んでおけば』とか、今の自分とは違う選択をしていたらどうなっていただろう、と気になる者もいることだろう。現実の人生はゲームのようにセーブやロードは出来ないし、ましてや最初からやり直しなど以ての外。結局のところ、その場その場の避けられない選択に身を投じることになるのだ。逆説的にいえば、だからこそ人生は面白いとも言えるのだろうが。


 人生ゲーム。

あらゆる人生の縮図をゲーム化したもの。僕は今の己とは違う別の己の可能性を見出せるこのゲームが大好きである。テレビゲームやボードゲームなど媒体は様々だが、いずれにせよ複数人(あるいはCP)とプレイし、身の上の幸福度を競い合うという何とも殺伐としたゲームである。しかし、大学生のようなノリでウェイウェイと楽しんだ者勝ちである。フフフ、現実の人生も楽しんだ者勝ちと言うしな。僕も今のスパイという人生ゲームを思い切り楽しんでやるんだぜ?


「ねーねー、佐藤くん。今日はどんな変態ごっこするの? 全裸で町内一周ごっこ? 外国人と宇宙人交信ごっこ? ゲテモノ食い倒れツアー?」

「きききっきっさまぁ……! 今、横目で恵のちちち、乳房をチラリズムしただろ!? 視姦するなあ! 視姦するならこのメス猫の残念無念また来週な乳房を視姦しろお!」

「人の事をメス猫だとか残念だとか失礼だな君。ところで、佐藤氏……今日は面白不愉快なゲームを持参したのだが、一緒にヤラないか?」

「にぃに! 課金したいの! お金貸して三万くらい! 貸してくれないと暗殺する! あっ、あ! でもママには内緒にしてね! バラしたらとっても暗殺する!」


 人生を楽しんだ者勝ちとか言ったが、僕は負け組かもしれないです。自席で人生ゲームについて脳内で色んな国の絞男と各国議会で討論していると、いきなり示し合わせたかのようにアレルゲン四姉妹に囲まれてしまいました。何このとっても嬉しくないハーレム。僕はこんな誰得ハーレムは望んでない!巨乳のビキニアーマーの女剣士とパフパフしたいのである!


「あっ、先生、それなあに? 面白そうなボードゲームだね!」

「フフフ、そうだろう。人数もいるし、ちょうど良い。今日はこの『憎!酷!人生ゲーム』をやろう」

「にぃに! 負けたら、いちおくえん!」

「ふっ、フヘヘ……め、めぐみぃと結婚。新婚旅行は熱海……し、新婚初夜はお馬さんごっこ……パッカパッカ、パッカパッカ……フヒヒ!」

「き、切ねぇ!? ゲームだよ!? げ、ゲームだよね!? お馬さんごっこって何かな!?」


 何か勝手に始まったし……。

人生ゲームの前になんか不吉な単語がついてるけれどいいのかえ?このアレルゲン四姉妹の魔の手から逃れたいが、こうも四面楚歌ではどうしようもない。僕が窮地の際にいつも寄り添う恋人のように救い出してくれたあの愛棒もとい相棒のトカ子(トカレフ♀)……君は今、僕の家の冷凍庫の中……嗚呼、いとかなし、嗚呼、いとをかし。


「さあ。最初は田中氏からだ。思う存分、このキン消しを振るといい。キン消しの倒れ方で出た目を決めよう」

「何それ分かりずら……普通にルーレットとかサイコロとかで良くないかな?」

「ふむ、仕方ない。ではこのサイコロを振るといい。佐藤氏に当てるつもりで投げるといい」


 何ですかその地味な嫌がらせ。

畜生め、いつか性教育委員会に訴えてやるから覚悟おし!それはともかく、人生ゲームはぶっちゃけた話、運ゲーである。人生をサイコロに委ね。


「えいっ」


 ピッ、ボスッ。


「ヒェッ」


 いった!ちょっ、本当にこいつ僕に向かって投擲攻撃しやがった!しかも、顔っ、顔!畜生、美男子の顔に一生ものの傷がついたらお前の身体で責任をとってもらうからな!具体的には毎日ビキニ姿で登校、そしてメイドさんご奉仕プレイだ!……じゃなくて、明日の朝日が拝めないと思え!


「えーっと、サイコロの目は『五』かな? 『宝くじで一等当選! いちおくペリカ臨時収入!』 やったね!」


 い、いきなりラッキーマスじゃないか。畜生め、どうせなら『ソープ漬けで、借金地獄』とかそう言う不幸マスに止まればいいのに。この人生ゲームはどうやら、ゴール時に手持ちのお金が一番多いプレイヤーが勝利者となるらしい。即ち、速くゴールに到達しても有り金が少なければ意味が無いということである。ところで、ペリカって何だ?


「じゃっ、じゃあ次は私が振るぞ! め、恵ぃ、待っていてくれ! 必ず、一緒にゴールインするからな! は、はぁはぁ……!」


 次は真性レズ魔が振るようだ。レズ魔は神経な表情で、田中某を見つめながらサイコロを振りかぶる。見つめられる田中某は苦虫をかみつぶしたようような顔してたじたじ。ねえ、このゲームってそんな感じだったっけ?あと何でこの人、序盤も序盤で興奮してるの?初っ端からそんなにトバして大丈夫?


 ピッ、ボスッ。


「ヒャッ」


 ねえ、何で僕の顔にサイコロを投擲するの?僕の顔はキャッチャーミットじゃないんだよ?


「さ、『三』か。『火遊びで放火。書類送検で、三回休み』あ、あぁぁ゛ああ゛あああ……め、恵ぃ、済まない、不甲斐ないこんな私を許してくれぇ……」


 レズ魔はその場で頭を抱え込んで日光にいるお猿さんの像みたく蹲る。さっ、さっきから、恵恵ばっかだなこの人。世界は自分と田中某しか存在しないとか思ってそう。ていうか、止まったマス!危ねえ!


「次、私行く! あばばばばばば!」


 何その掛け声。睦美が当たり前のように流れるような動作でサイコロを僕の顔に向かって投げる。だからね……もう、いいです、ハイ。


「『六』! やったあ……『ヘソクリを実の兄に持ち逃げされる。十万ペリカマイナス』……ギャアー! いきなり、赤字! にぃに、どういうこと! 非道い! 鬼畜! 異常性癖! 暗殺する!」


 睦美は涙目で僕に詰め寄り、責めてくる。ぼ、僕はナニもやってない!無実だ!


「ふむ。流石は『手癖の悪さで俺の右手に出るものはいないぜ』と普段から口癖のように宣う佐藤氏……あっぱれ」


 何が、あっぱれだ!

僕はそんなコソ泥みたいな格好の悪くてダサい台詞は吐いたことは無いぞ!こらっ、アレルゲン三姉妹、屑を見るような目で僕を見るんじゃない!どうせなら、スパイクで踏みつけながらそういう目で見てください宜しくお願いします!いや、そうじゃないぞ、僕。ナニを言っているんだ。


「私は最後でいいから、借りパクマスター佐藤氏、次は君が投げるんだ」


 やめろっ、そんな恥ずかしい称号で僕を呼ぶな!そして、僕は控えめにサイコロを振る。


「あれ? さっとうくん、自分にサイコロを当てないの?」


 何その自虐プレイ。そんな頭のおかしな事をしてたら僕はたちまち刑務所行きだろう。そして、初の僕のサイコロの目は……『一』。


『自分以外の全プレイヤーの下着(使用済み)をブルセラショップに売って、十万ペリカの臨時収入』


 な、なんなのぉ、これぇ?


「さ、さっとうくん! そ、そういうのは良くないんだよ!! よ、良くないと思う!」

「きっききっさまぁ……! 私でもまだそんな高等プレイはしたこと無いのに! しかし、残念でした! 中身は私のものだ、フハハハハハハ!」

「にぃに! あ、あああ暗殺するっ、えっちなにぃには暗殺する暗殺する暗殺する暗殺する暗殺」

「……ふむ。流石は『脱ぎたてじゃないと俺は発電できないんだぜ』と口癖のように呟いている佐藤氏……ばんざい」


 何が、ばんざいだ!

やめろ、やめてくれっ!これは僕の意思じゃない!基盤の意思なんだ!あれ、今、何か格好良いと思ったのは僕だけ?


 ──こうして、人生双六は回を重ねるごとに激しさと僕の顔の傷が増していく。


「『万馬券当選! 三十万ペリカの当選!』やりい! ねえ、佐藤くん? 今更だけど、三十万ペリカって日本円でどれくらいの価値なのカナ?」


 知るか!日本円でいいよわかりにくい!


「『気の迷いで、放火。書類送検で、三回休み』ぐあぁあ、め、めぐみぃ、差し入れはお前のヌードブロマイドで頼む……」


 ほ、本当に色々な意味で危ないなこの人。


「……。『実の兄に結婚資金用の通帳を持ち逃げされ、五百万ペリカのマイナス』に、にぃに~私に何か恨みでもあるの!?」


 ナニコレ、どんどん極悪非道の兄になっていくんですけど!


「ふむ……。『出来婚で孤立無援。結婚資金はパートナーと自腹で三百万マイナス』か。現実は世知辛いものだな佐藤氏」


 目を覚まして!現実じゃないです先生ェ!


 そして、僕は……。


『自分以外の全プレイヤーを夜道で襲いかかり、下着(使用済み)と現金を強奪し、二十万ペリカの臨時収入』


『自分以外の全プレイヤーをソープ漬けにし、下着(使用済み)と現金を巻き上げ、五十万ペリカの臨時収入』


 ……何やこれ。

どんだけ、ブルセラ好きなの僕?死ぬの?


「さっとうくん! さっとうくん! そういうえっちなことしちゃダメなんだよ! ダメなんだよ!」

「キッキキきっさまぁ……! 無理矢理かっ! む、無理矢理……ハァハァ! めぐみぃ、い、いつかそういう関係に……だ、だめだ! ま、まずは清くないお付き合いから……」(←混乱中)

「暗殺暗殺暗殺暗殺暗殺暗殺暗殺暗殺暗殺暗殺暗殺暗殺暗殺暗」

「ふむ……。泣く子も黙るブルセラ殺法……私も思わず、気の迷いで年甲斐もなく告白してしまいそうだ」


 えっ、正気ですか、ブルセラ先生じゃなくて、天宮先生?どこにキュンきゅんポイントあったの?もしかして、皮肉ですか?そして、ゲームは進み、最終結果は。


 一位。

まさかの僕でした。やべえ、全然、毛虱程の嬉しさも湧かない……。


「一位の佐藤氏には、『汚れた下着が大好物で賞』を進呈する」


 ぱちぱち、ぱちぱち。


 や、やめて!?

生暖かい視線と元気のない拍手はやめてあげて!?こんなにも嬉しくない授賞式はハジメテだ!イヤゲモノだ、これ!


 そして。

最下位は、赤字連続の佐藤睦美氏。


「ぶぇえええん! 鼻からモズクを食べるなんて無理だよう! タスケテ、にぃに!」

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