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夏のいたずら

作者: エリー

皆様初めましてか何度目かまして。エリーです。

時間が空いてしまいました。

夏も終わってしまうと思うと寂しいですよね。

どうか一緒にこれを読んで、過ぎていく夏を惜しんでいただければと思います。

ここにはビルと電柱しかないのに、どこからともなく蝉の声が聞こえてくる。僕と一緒にじりじりと太陽に炙られているアスファルトからは、ゆらりと陽炎が立ち上っていた。日に日に更新される最高気温や、何日連続で真夏日だと報じるニュースを見る限り、地球で温暖化が進行しているというのはなるほど本当らしい。

絵の具をぶちまけたようなでたらめに青い空の向こうに、もくもくとした入道雲が見えた。もしかしたら、夕方には夕立ちがやってくるかもしれない。

僕は夏が、というか夏休みが好きだ。テニスも勉強もゲームも、一日中思いっきりやれるのが一ヶ月も続くから。さっきまでだって僕は絶賛部活中だった。そして今はその帰りというわけだ。着替えの時に付けた制汗剤ももうあまり意味はなくて、その証拠に僕は歩く度にシャツが体にまとわりつくのを感じていた。明日からは帰り道用にタオルがもう一枚いるかもしれない。

ところで、さっきまで言っていたことを覆すことになって悪いけど、僕は今学校が始まるのが待ち遠しい。テニスも勉強もゲームも、時間を自分の為だけに使えるのは確かに夏休みだけの特権だ。だけど、学校がないと、あの教室に行かないと、僕は君に会えない。僕は今、完全に君、欠乏中。会えばそれなりに仲のいい僕らが会話をするきっかけくらい割と沢山転がっているけど、今はそもそも会うことすらできないのだ。彼女が夏期講習を取っていればあるいは、とかも考えたけど、夏休みが半分程度過ぎても会えないあたり、彼女は講習を取っていないらしい。

ああもう、偶然でも何でもいいから君に会いたい。

例えば、あそこの曲がり角から突然飛び出してくるとか。

夏のどこか浮ついた空気とか、頭がおかしくなるほど強い日差しだとかが、君にちょっといたずらをするくらいありえない話じゃないと思う。

そしたらきっと、僕は真っ先に君に声をかけて、今からでも一緒にどこかに行かないかって誘うのに。こんなに毎日頑張っているんだし、君と二人でアイスを食べるくらいの幸せ、与えられたっていいんじゃないか。

「―――あっ」

「えっ」

「城野くん?」

いた。

本当に、曲がり角から君が現れた。

見慣れない私服姿。いつもは一つにまとめているのに下ろしている長い黒髪。ヒールのせいでいつもより少し僕に近い瞳。ふわりと漂う、ミカンみたいな甘い香り。

...どうやら、夏にいたずらをされたのは彼女でなくて僕の方らしい。

「っ、あのさ!」

そんな、ある蝉のうるさい夏の日のこと。

ここまで読んでくださった皆様、本当にありがとうございます。


また夏のお話です。これはある曲がモチーフとなっております。

私はあまりJPOPを聞かないので、この曲のこともちゃんと聞いたことはありません(友達に聞いたらかなり有名な曲とのことでしたが)。ただ、ニュースでサビだけが流れていたのを聞いて、頭にシーンが浮かんだので勢いで書き上げました。後から曲の歌詞を見たら偶然ぴったりな箇所もあって驚きでしたが...。


そんな感じで、元になった曲を想像しながら読んでみても楽しいかもしれません!


それでは、お話だけでなく後書きまでも読んでくださった皆様、本当にありがとうございました!

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