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うさぎの親不孝

今更ですが、クリスマス関係のお話にしては早すぎた気がします。


ついに、聖夜祭当日になってしまった。

ほんの少しだけ、誘ってもらえるかも、なーんて期待したけど。そんなことは当然なくて。

少しでも期待していた自分が馬鹿らしくなって、笑えた。


ここ数日たくさん考えて、家族にもいっぱい心配かけて。

僕が出した答えは一つだった。



「彼の迷惑にならないように、姿を隠す」



今まで気にしたこともなかったけれど、彼はいつか綺麗な奥さんを娶って、子供を産まなくちゃいけない。

僕は、男だから……子供は産めない。

だから、彼が僕のことをまだ恋人だと思っていてくれても。僕は彼と別れる。

そして、森に僕だけ移って静かに暮らしたい。


僕はもう二度と、彼のように愛せる人を見つけられない。それだけ彼を愛しているから。

幸い僕はうさぎの獣人。穴を掘ったりするのは得意だし、木の皮や木の実だけでも生きていけるから。


家族には、もう話した。

僕が男と付き合っていたことも驚かれたし、それが彼だったことも驚かれた。

家を出ることだってたくさん反対されて、考え直せと言われた。

結果的に、家族は僕の意見を受け入れてくれた。



『大切な、息子が決めたことだ。ルトが、彼のそばにいるのが無理だと判断したなら、もう何も言わない』

『そうね……ルトはもう立派に成人した大人だもの。私たちうさぎ族は森でなら十分生きていけるから』

『父さん、母さん……こんな息子で、ごめん』



僕が頼りないばかりに、孫の顔も見せてあげられない。僕は一人っ子なのに。

僕が、傷つきたくないばかりに…二人に負担を強いる。



『ルト……そういう時はごめんじゃないだろう?』

『……!』



そうだね。こういう時は、謝らないほうが嬉しいんだよね。



『ありがとう……』



この時の僕は耳が垂れてしょぼくれていたと、後になって母さんに言われた。

……母さん…僕の垂れ耳は生まれつきだよ……


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