僕のわがままとライオン
久しぶりの投稿です
プロットも人物設定も何も考えていない思いつきなので、生ぬるく見ていただければ幸いです
雪が降ってるなぁ、とベットから窓の外を眺める。
もうすぐ聖夜祭だから、みんな浮き足立っているけれど、僕にとっては全く楽しみじゃない日。
僕は赤茶の垂れ耳うさぎ。
どこにでもいる、平凡な色と容姿の、うさぎ獣人。
対照的に、僕の恋人は、金色を纏うライオン。
そのカリスマ性で全てを魅了する、絶対的な王者。
「みんな、恋人と一緒に過ごせていいな……」
僕だって、恋人と……彼と一緒に過ごしたかった。
……わがままだって、わかっているけど。
思い出すのは、ついこの間の出来事。
『ねぇ、聖夜祭なんだけど……』
無情にも告げられた、彼の言葉。
『何、お前もそんな面倒くさいイベントに興味あったの』
“面倒くさい"
彼は僕にそう告げた。
『う、ううん!君がイベントとか嫌いなの知ってるからっ、わざわざ会わなくてもいいよねって、聞こうとしたの!』
『……ふーん。それならいいけど』
きっと彼にとってはどうでもいいイベントの一つなんだろうけど。
ねぇ、マティアスは忘れちゃったの?聖夜祭は、僕の生まれた日でもあるんだよ?
生まれてからずっと他のイベントーー聖夜祭に被っていた誕生日が嫌で嫌で仕方がなかった。
それを、『聖夜の日に生まれたんだから、ルトは奇跡の子だな』って君が言ってくれたから、僕は自分の誕生日を恨まなくなったのに。
マティアスとは、付き合ってからまだ半年しか経っていない。
だけど、彼と自分が釣り合わないなんてこの短期間で嫌ってほどわかった。
でも……でもっ、彼が僕を好きでいてくれるから、僕も隣で頑張って行こうって思ったんだ!
……それも…終わり、かな?
好きな人の誕生日を忘れるはずないもんね。
「ははっ……もう、終わりか…」
ほんの一時の夢でも、付き合ってもらえたことを喜ぶべきなのかもしれない。
それが、彼のとっては取るに足らないことだったとしても。
「優しくしてもらった思い出なんてあんまりないけど」
確かに、幸せだった。
きっと僕は。
「この思い出だけで、生きていける」
結局この日は部屋から一歩も出ることなく、1日を終えた。
途中で父さんや母さんの心配する声が聞こえてきたけど、何も喋れなかった。
涙が、止まらなかった。