建国物語4
ペルとオクは暗い森を早く抜けようと急ぎ足で歩いていました。この森には人を喰う魔女が住むという噂があったのです。
しかし、進めども進めども、森はどんどん深くなっていきます。
そして突然、それは美しい女性が目の前に現れました。オクは彼女の美しさに虜になってしまい、ふらふらと吸い寄せられるように女性の元へと近づいていきます。しかしペルは騙されませんでした。
「お前はこの森に住む魔女だな。そんなまやかしは通じないぞ」
すると、美しかったはずの女性は瞬く間に醜い老婆の姿へと変わりました。それを見たオクはびっくり仰天。このまま魔女の近づいていたら食べられていたかもしれません。
「人をたぶらかす魔女め、退治してやる」
ペルは持っていた剣を抜きました。しかし魔女は大声で笑い出しました。
「はっはっはっ。わしは、そなたのような勇気ある者を待っておったのじゃ」
魔女は持っていた杖を一振りすると、ペルの剣が太陽のようにまばゆく輝き始めました。
「おまえの剣に魔法をかけた。その剣があれば異形のモノの王を倒すことができよう。どうかこの土地に生きる全ての願い、叶えてはくれまいか?」
剣を持つペルの体は急に熱くなり、今まで以上に力と勇気がみなぎってくるようでした。
魔女が言いました。
「これよりその剣を、ウエンリハトと呼ぶがよい。魔法使い達が用いる言葉で、無限の光を意味するのじゃ」
「名前の通り、異形のモノを打ち払い、この国を光で満たしてみせよう!」
ペルは力強く宣言すると、異形のモノ達の住処である灰色の山を目指して歩き出しました。