書簡
私は彼のことを妬ましく思っていました。
私も努力はしましたよ。しかしどんな手柄も全て彼のものとして扱われたのですから、たまったものではありません。
事実、剣を手に入れるまでは彼よりも私の方が活躍していました。我々の上官でありトウマ国征服計画の責任者だった貴方ならよくご存知でしょう。
彼は私の影に隠れてひたすら怯えていましたよ。図体だけはでかいくせに、小ネズミのように震えていました。彼を内心見下していた? ええ否定はしません。彼は優しいだけが取り柄だったのです。
しかしあの剣を手に入れてからは違いました。まさに別人でした。そして瞬く間に異形のモノ(貴方には先住民と言った方が伝わるでしょうか?)を駆逐しました。
最終的に彼が英雄と称されるほどの働きをしました、彼がいたおかげでトウマ国が我々の手に入ったことは事実です。それは認めます。でも私と私の仲間達のことも評価してください。決して彼だけで成し遂げたわけではないのです。
その功績を以て、彼は占領後のトウマ国王に推薦されました。彼も喜んで王になろうとしました。
さすがにそれは危ない、私はそう思いました。
魔王を倒すのと国を運営するのは全く違います。ましてや彼は元々優しいだけが取り柄の男。魔王を屈服させた爆発的な力も剣によるものだということは明らかです。一時的な人気に押されて、国の命運を彼に託すなど、どうしてできましょうか。
阻止せねば、せっかく平定したこの国はすぐに再び混乱に陥る、私はそう思いました。
——詭弁? そうかもしれません。元々占領後のトウマ国王に内定していたのは私なのです。それをいきなり奪われるなんて、確かに許すことはできません。しかしそれでも、彼よりも私の方が指導者に相応しいことは、貴方も同意していただけることと思います。
結局、私は彼を人気のないところに呼び出しました。風の強い日でした。彼は全く警戒していませんでした。私は隙をついて彼を崖から突き落としました。
そうです、私オクが英雄ペルを殺したのです。
『王宮内書庫より発見された書簡より 宛先不明』




