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建国物語6
国中の人々が魔王を屈服させたペルを熱狂的に迎え入れました。
「「英雄ペル万歳! 万歳!」」と、ペルへの賞賛の声が止むことはありませんでした。
そして人々はペルがこの国の王となってくれるように懇願しました。
「「英雄ペルを我らが王に!」」
オクもペルに言いました。
「兄上、私からもお願いします。どうか国王となって、私たちを導いてください」
しかしペルは首を横に振ります。
「みんなの気持ちは嬉しい。だが俺は国を治めるような力は無い。弟よ、お前は俺よりもずっと賢い。国を治めるべきはお前だ」
オクはペルに考え直すように何度も説得しましたが、ペルの気持ちは変わりませんでした。最終的に、オクはペルの意見を受け入れることにしました。
「私は兄上の偉大さの足下にも及びません。ですが、兄上がそこまでおっしゃるのでしたら、私が代わりに王となりましょう」
こうしてオクは国王となり、彼の国をトウマ国と名付けました。
ペルは王の印として、ウエンリハトと魔王の冠をオクに譲り渡すと、行き先も告げず遠くへ旅立っていきました。
ペルの消息を知る者は誰もいません。




