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死神様の預かり物
『お預かりしたゆきと君をどうしますかね〜』
私の後を、うつろな瞳でついて来るゆきとの事を考えながら、本部に戻る
『まずは、記憶の封印か』
頭に手を置き
<封記>
瞳は何も映さず、光を失った
『その体では困りますね、あれをしますか』
踵を二回ならすと下から洋風の棺が現れ、蓋が自動で開いた。ゆきとに中に入り寝る指示を出すと、棺の中に横になる
『なんか吸血鬼みたいだな』
独り言を言いながら、ゆきとの額に触れ次に心臓の上に指を当てると、
<開放>
すっとゆきとの魂が体から離れ
死神の前で動きを止めた
棺の蓋を手で触ると
すっと閉まり、床に吸い込まれていく
後には魂のゆきとだけ
死神の手が円を描く
<受霊体>
手のひらをゆきとにむけると
光がクルクル魂の周りに集まり
キラキラした木の葉や花びらが舞う
光がおさまる頃、そこにはゆきとが立っていた