不安な未来
周りを見渡すと先程までいたのに
あの男はいなくなり
今は目の前の女神様のみ
緊張で喉が乾いてゴクリと唾を飲み込む
『ふふっ、緊張して当然よねぇ』
沈黙を破り涼やかな声がこだまする
『貴方にはやっていただかなくてはならないことがあります』
「えっ?」
『貴方の魂には神の雫と言われる
神の素が混じり合っています
神の雫を持つものは神格を持ち
試練を乗り越えなければ、
死にいたります』
「なっ!そんな、神格なんて…」
『では、死ぬ覚悟はいいですか?
選択肢はないのです
説明を続けますね
今の貴方の記憶を封印して、
死神君の仕事を手伝って下さい
期間は10年くらいかしら』
「10年!
その間父は1人になってしまう、
そんな事出来ません」
『あ〜それは気にしなくて大丈夫よ
貴方の行くところは時間軸が違う世界だ から、こちらでは一日かな』
「えっ!異世界って事ですか?」
『そう言われているわね』
「今の世界には死なずに戻れますか?」
『大丈夫よ
あっ、でも少しだけ帰ってから
困ることがあるかもしれないわ』
「死ぬくらいなら、やってみます
そして、帰ってきます」
『そうねその意気ね、じゃあ死神君
後はよろしくね』
『かしこまりました』
声が横から聞こえ、横を見る間もなく
思考に霞がかかり、何も考えられなくなり
意識は深い奥底に沈み、耳から聞こえた声にうながされ、女神の間をでていた。