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「楽しい時間はあっという間ですね。聖女様、次回はまた1カ月後ということで。お会いできる日を楽しみにしていますね。」
ジュエル先生が、診療時間の終わりを告げる。
その言葉を合図に、私は一礼して受付へと戻る。
「えぇ~、もう~?短すぎるわ~。」
「私も名残惜しいのですが、お帰りの時間に間に合わなくなると大変ですので。さ、お手をどうぞ。お送りいたしますよ。」
ジュエル先生と聖女様が受付にやってくる。
「大変お疲れさまでした。それでは来月の予約をさせていただきます。〇月×日の同じ時間でよろしいでしょうか。」
「ええ、構わないわ。」
「かしこまりました。予定を変更される際は、担当の司祭にお伝えください。こちらはいつものお茶になります。就寝前にお飲みください。」
診療カードに来月の日時を記録し、お茶の入った袋とともに聖女様に渡す。
― 事務的に、感情を出さずに、淡々と・・・。
「あなた、ミサトさんとかと言ったわね。あなたもやっぱり転移者なの?」
― 話しかけられると思ってなかった!
「はい、先週来たばかりです。」
「そう。ここに残ったということは、それなりに事情があるんでしょうね。頑張ってね。」
― え、私、励まされてる?え、え、何で?
「温かいお言葉、大変ありがとうございます、聖女様。」
「お茶、美味しかったわ、ありがと。」
そうして、ジュエル先生からケリーさんに引き継がれ、聖女様は帰られた。
お帰りは、診察室を出てすぐ、光に包まれたと思ったら、シュッと目の前から消えた。
・・・・・・終わった・・・・・・
受付の椅子に、倒れこむように座って、天を仰ぐ私。
「サト、お疲れ様。いやぁ、難なく終わって良かったね。しかし、サトは色々と手馴れているねぇ。おかげでこっちも集中することができたよ~。」
「手馴れてるって、言い方・・・。お茶出しも来客対応も前の職場で経験がありましたから。間違ってなかったようで良かったです。」
「淹れ方はまだまだだが、対応は良かったな、ミサ。」
「ありがとうございます。本当に・・・何とかなって良かったです。」




