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「そろそろお店閉めるよ~」とオカミさんの声がした。
「もうそんな時間なのねぇ~。楽しい時間ってあっという間ね。この後どうする?2件目行っちゃう?」
「え、タウンにそういうお店ってあるんですか?」
「もちろんあるわよぅ~。娯楽が少ないんだもの。酒場くらいないとやってられないじゃない。」
「しかしなぁ、ジュリがこれだからなぁ。二次会は次の機会にして、今日はお開きにしようか。」
「それもそうね。サトもお疲れだろうし。」
「そうですね。私もけっこう酔ってるので、次のお楽しみにとっておきます。」
「おい、アル、ジュリは任せたぞ。俺はミサを送っていくから。」
「えぇぇ、アンタたち帰るところ同じでしょうが。リュウちゃんが連れてってよ。」
「ミサが途中で倒れたら、二人抱えられるわけないだろ。」
「私なら大丈夫ですよ。歩けますから、多分。」
立ち上がった瞬間、ちょっとふらっとくる。
― やっぱり少し飲みすぎたかな~。
でも、このくらいならちゃんと歩ける。
「ほら、言わんこっちゃない。じゃあアル、頼んだぞ。行くぞ、ミサ。」
「んもう、仕方ないわね!じゃ、サト、また一緒に飲みましょ♪」
「はい、ぜひ。今日はとても楽しかったです。ありがとうございました。」
リュウ先生と二人で並んで帰る。
「リュウ先生って、本当にお酒強いんですね~。」
「そういうミサだって、俺たちにここまで付き合えるなんて相当だぞ?」
「いえいえ、数々の失敗を乗り越えて、ペース配分覚えただけですよ。実はそんなに飲んでないんですよ?」
「そうか、そういや最後までその口調変わらなかったな。それじゃあ、覚悟しておくんだな。次は甘やかさないから。」
ニヤッと笑ってオソロシイことを言うリュウ先生。
「ア、アハハ・・・お、お手柔らかに~」
― しまった、余計なこと言った。
自室の前まで送ってもらい、また月曜日に、と言って別れる。
いろいろと限界だった私は、部屋に入るなり、そのままベッドに直行したのを最後に記憶がない。
― ・・・・・・ここまで頑張って帰ってきた私を、誰か、褒めて。
ミサトが息絶えた後の部屋では ―
『ごしゅじんさま、かえってきたよ、おそかったね』
『きょうはなでなでがないね、どうしたんだろう』
『わー、おさけくさいよう』
『そのままねちゃったらだめだよう』
『しかたないなあ、ぼくがきれいにしてくるね』
『うん、いつもやさしいごしゅじんさまのためだもんね』
ミサトの体に乗り、すみずみまで汚れを落とす青いスライムがいた。




