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ミーティングルームに場所を移し、アーネット先生の差し入れを広げる。
ベーグルサンドやサンドイッチ、何種類かのパスタに、一口サイズのグリルチキンなど、食べやすくボリュームのある料理が並んでいる。
さらに、お皿やフォークもわざわざ持参されたため、荷物が多かったようだ。
― うわ~、家庭的な優しいお味。
マイケル先生はこれを毎日食べているのか~、うらやましい。
そして食べやすい一口カットのお料理、こちらの負担にならないような細やかな気配りの数々・・・。
クールビューティな見た目からは想像できない・・・これが『ギャップ萌え』ってやつなんだろうな~。
帰り際、「ミサトさん、これから必要になると思うから、これを読んでおくといいわ。」と、本の束を渡された。
『心理学入門』、『カウンセリングの基本』などの本に混じって、『失敗しない子育て』とか『今日から君も片付け上手』とか『デキる旦那様の操縦法』とか、そんなタイトルが見える。
― もう、わかっていたけどね、やっぱりね、そういうことなんですね。
アーネット先生を見た私に、「ヒ・ミ・ツ♪」とでも言うかのように、唇に人差し指をあててウィンクをしていいる。
そんな可愛らしい仕草に、私はハートを撃ち抜かれてしまった。
― 私、アーネット先生に一生ついていきます!!!
アーネット先生の手料理をいただき、すっかり元気を取り戻した私たちは、片付けを再開する。
午後はマリアさんの突撃もなく、どうにか片づけを終わらることができた。
「はぁはぁ、よ、ようやく終わったね・・・。」
ジュエル先生が、床に大の字になって天を仰いでいる。
「そ、そうですね。どうにか2日で何とかなりましたね。」
「・・・・・・」
リュウ先生からは反応はないが、その表情には生気がない。
「ボク、今日、このままここで寝ていいかな。」
「だめですよ、なに言ってるんですか。帰るんです。ほら、起きてください。」
「ダメ~、もう動けない。」
「あぁ、もう~。リュウ先生、ジュエル先生起こすの手伝ってください。」
「俺も・・・限界。」
そう言って、リュウ先生も天を仰ぐ。
「あああ、二人とも、ここで寝ないで、起きて~。」
第三室に、私の悲痛な叫びがこだましていた。




