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昨日、マリアさんが持ってきたマグカップにコーヒーを淹れる。
コーヒーメーカーこそないものの、コーヒー豆やコーヒーフィルターは存在している。
― 段ボールもだったけど、コーヒーの要望も多かったんだろうなぁ~。
「どうぞ。リュウ先生は朝はコーヒーでいいですか?紅茶がよろしければそうしますけど。」
「いや、コーヒーでいいよ。ありがとう。」
表情筋は崩れないが、お礼は言われた。一歩前進。
「わかりました。では、これからそうしますね。」
「え?これから?」
「そのつもりでしたが・・・ご迷惑でしたらやめておきましょうか?」
「ああ、いや、そんなつもりでは。日本でそういった慣習はもうなかったから、少し驚いただけだよ。」
「確かにそうでしたね。前の職場では、朝だけは残ってたんですよね。つい習慣で。」
「それは珍しい会社だな。では、朝はブラックでお願いするよ。」
「はい、コーヒーの気分じゃない時にはおっしゃってください。では失礼します。」
・・・・・・普通に会話ができた。
お茶入れコミュニケーション、恐るべし!!!
「おはよう~、あれ~、皆早いね。」
9時ジャストに、ジュエル先生が出勤してきた。
「おはようございます。」
「あ~、コーヒーのいい香りがする~。」
「では、ジュエル先生の分も用意しますね。少しお待ちくださいね。」
「いいの?じゃ、頼んじゃおうかな。ブラックでお願いね。リュウ先生、もう来てるよね?」
「はい、15分くらい前ですかね?」
「そうなんだ~、ってサト、何時にここに来たの?それに、すっかり片付いてるし。」
「えーと、30分くらい前でしょうか。前の職場でもそんな感じだったので、そういうものかと。」
「もうちょっとさ、ゆっくりおいで?そんなに頑張らなくていいからさ。」
「お気遣いありがとうございます。習慣なので気にしないでください。次からもう少しゆっくり来ますから。」
「うん、そうしてくれるとボクもありがたいよ。ゆるくいこう、ゆるく!」
― 室長がそれでいいのか、と思ったが、これは日本人の価値観からくるものかもしれない。
リュウ先生も私も日本人で、『時間厳守』社会で生きてきたけれど、どうやらジュエル先生はそうではなそうだ。
時間厳守に付き合うジュエル先生はさぞかし大変だろうなぁ。
がんばれ、室長!!




