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「ごめんね~。ちょっと動きにくいかもしれないけど、今ウチにあるのはこのくらいねぇ。」
持ってきたのは、紺色のニットのアンサンブル、麻生地のシャツとチノパンだった。
「あぁ、助かります~。これで明日も大丈夫です。」
「ウチはオシャレを楽しむお店だから、作業着とか普段着ってあまり置いてないのよね。ここから3件先にあるお店ならカジュアルなものを取り扱っているから、次のお休みの日にでも見に来るといいわ。」
「なるほど。次のお休みにはゆっくりタウンを散策してみます。ありがとうございます。」
「・・・アンタ、ずっとジュリィちゃんと一緒だったもんね。行きたいところにも行けなかったんでしょ?まったく、ホントに仕方ないオトコねっ!」
「いえいえ、ジュエル先生にはかなりお気遣いいただいて、とても感謝していますよ?」
「そうねぇ~。サトはそうやって、ちゃんと線引きできるコなのよねぇ。」
「え?」
「ううん、こっちの話。それで、今日はこの後どうするの?」
「そうですねぇ~。さすがに疲れちゃったので、夕食をテキトーに買うか、食べに行くかします。」
「テキトーにって・・・あぁ、もう見てらんないわっ。ほら、一緒にゴハン行くわよっ!」
「え、今から?」
「ええ、今から。どうせオヤジさんのお店しか知らないんでしょ?それじゃあ太るばっかりじゃないの。アタシの行きつけのお店があるから、今から行くわよっ。」
アリィさんに引きずられるように連れてこられたお店は、入口につるバラのアーチがある、こじんまりとして可愛いお店だった。
「ここはね、ハーブや薬草を使ったお料理がメインで、体と美容に優しいお店なのよ。美しさはね、体の内側からも作っていくものなの。たまには、食べ物が体をどう作っているのか考えて食を選びなさいよね。食べやすいからって、テキトーに済ませてばかりじゃダメなのよ?」
「ぐ・・・ご、ごもっともでございます。」
それから、アリィさんの『美・談義』なるものを拝聴しながら食事を楽しんだ。
薬膳料理のようなものだろうか。
食事を終える頃には、体の中からポカポカしてきた。
「アリィさん、今日もありがとうございました。元気出ました!」
「それはなにより。アタシも楽しかったわ♪また一緒にゴハン行きましょ。明日も頑張るのよ。」
「はい!また、『美・談義』聞かせてください。楽しみにしてますね。」
「えぇ、モチロンよ。アンタをアタシの美の信者にしてみせるわ!じゃ、ゆっくり休んでね。」
アリィさんは、ブースの入口まで送ってくれた。
見た目はアレだけど、本当に頼れるお姉さんだ。
私はいい人たちに囲まれて、本当に恵まれている。
・・・・・・あ、一人・・・対応に困る人が・・・いたっけ・・・。




