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ピンクの聖女様の訪問からしばらくして、エメラルドの聖女様がやってきた。
前の面接からおよそ1か月半、どうやらまだ断罪は行われていないようだ。
顔色はよかったものの、少々お疲れのご様子。
睡眠はとれているとのことだったが、エメラルドの聖女様を取り巻く環境はあまりよろしくなさそうだ。
三室でお迎えした後、「紹介したい方がいます」と告げ、ケヴィン様の元に向かった。
「ようこそいらっしゃいました。」
ケヴィン様が、いつものキラキラした笑顔で私たちを出迎えた。
聖女様は、教会の中の様子に大変感動され、誰かさんに似ている女神像にしばらくお祈りを捧げていた。
そして、会食する部屋に場所を移す。
「私はここの管理を任されているケヴィンと申します。聖女様の国にいる神官の上司、といったところです。今後のこともありますので、本日から私も入らせていただきますが、よろしいでしょうか?」
「神殿の神官様には、身辺警護からなにから、大変お世話になっております。お気遣いありがとうございます。ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。」
ピンクの聖女様とは対極的な、エメラルドの聖女様である。
「聖女様、その後いかがですか?ゆっくり眠れていますか?」
まずは、近況の確認である。
「おかげさまで。信用できるセンターの神官様が控えてくださってますので。」
やはり、それ以外の人たちは油断ならないということか。
「それはよかったです。まずはしっかり休息することが一番ですから。・・・少し時間が空きましたが、お忙しくされていたのですか?」
そこで、聖女様の表情が少し硬くなった。
その様子から、状況が芳しくないことが伺える。
「ええ・・・そうですね。厄災に備えて地方の神殿への巡礼が始まったのです。」
「巡礼、ですか?」
「はい。王都から遠く離れた領地にも、聖女の力を届けるようにと。地方の教会で祈りを捧げ、領民の皆様を診るのです。」
「そうでしたか・・・聖女様のお姿を拝見すれば、領民の皆様はさぞかし安心されることでしょう。その領地への移動は、馬車か何かで?」
遠い場所だと、移動だけで相当な日数になるし、馬車での移動となると、ますますその身に危険が増すのではないだろうか。
「移動は、転移魔法で行われますので、それほど日数はかかりません。」
さすがは魔法の国である。
アズ師匠のように、一気にビュン、というわけにはいかないようだけど、移動に時間がかからないなら、盗賊などに襲われる心配も少ない。
「なるほど・・・移動は転移魔法で行われるのですね。それはこちらとしても好都合ですね。聖女様、逃亡先は決められましたか?」
聖女様の話を聞いていたケヴィン様が口を開いた。
「申し訳ありません。その通り地方へ行っていたものですから、まだ・・・。あ、でも候補地はいくつか。」
「では、その候補地を教えていただけますか?私のほうで情報収集を行っておきましょう。あまり危険な土地には行ってほしくはないですからね。」
ケヴィン様は立ち上がると、大きな紙を手に持ち、それをテーブルに広げた。
それは、聖女様のいる世界の地図であった。
「これは・・・?」
「あなたのいる世界の地図ですよ。見たことはないかな?」
「これほど精巧なものは、神殿にも王宮にもありません。すごい・・・」
「ふふ、ちょっとした伝手がありましてね。」
― きっと、飲み友達の女神様だな~。
自分を召喚した女神様が、目の前にいるケヴィン様とお友達だと知ったら、聖女様もびっくりするだろうなぁ~。
世界地図を見ている聖女様は、その大きな瞳を宝石のようにキラキラさせて、とても楽しそうに見えた。




