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「それは、いくらなんでもやり過ぎなのでは・・・」
― ハッ!つい心の声が!!
リュウ先生とケヴィン様が、揃って私を見る。
― ま、まま、ままま、マズイ!余計な口出ししちゃったかも!!
「やり過ぎとは、何故?」
リュウ先生の冷え冷え~とした声が私に突き刺さる。
― いや、別にお二人の意見に異を唱えたわけじゃないんですよ?
でも、聖女様の話からすると、平民の方々も魔法が使えるはずだし、それを取り上げられたら日々の生活が困っちゃうんじゃないかと思っただけで・・・。
「あ、いえ、異議があるわけではないんです。ただ、聖女様を慕っていた平民の方からも取り上げるのは、少々理不尽が気がしてですね。日々の生活に支障がでるんじゃないかと思いまして・・・。」
「おやおや、ミサトさんはお優しいのですねぇ。」
ケヴィン様の口調は、幾分柔らかいものの、いつものキラキラは、ない。
「神の意志に反する報いは、それ相応のものでなくてはなりません。」
「バカな主に迎合する民衆が目を覚ますいい機会じゃないか。」
― 言っていることはごもっともですがね?
日本に置き換えたら、今まで自由に使えていた電気が突然止まるようなもんだと思うよ?
そしたら、生活なんてとてもじゃないけどできませんよ?
「聖女様を貶めようとする人はともかく、平民の方々にしてみればいいトバッチリです。せめて・・・あ、そうだ!癒しの力だけは取り上げるとか、段階を踏んだほうがいいと思うんです。」
「ふむ・・・なるほど。それだけでも相当痛手にはなりますか。」
「少々甘い気がするけどな。まあ・・・来るであろう厄災は乗り越えるのは厳しいか。」
― 話が通じた!!
「ミサトさんの仰る通り、平民に罪はありませんからね。魔法は癒しの力だけ取り上げることにして、あとは、国の加護を外してもらいましょうか。」
― なんだろう、もっと大事になってしまった気がする。
「あの・・・女神様の加護ってどういう・・・」
「神の加護の内容ですか?それぞれ得意分野がありますが、彼女はなんだったかなぁ?ま、一般的には、天災が多くなったり、土地がやせ細って作物が実らなくなったり、そんな感じでしょうかね~。」
― やっぱり・・・大事になってしまった。
「神に見放された国か。相応しい末路じゃないか。それでお願いできますか?」
「ええ。癒しの力を取り上げて、その国を加護対象から外す。いい感じですね。」
ケヴィン様とリュウ先生が頷き合った。
「それでは、その聖女様が次にセンターに来た時には、私の所に連れてきてください。いろいろと確認したいこともありますから。」
「わかりました。聖女様から連絡が入り次第、またお知らせします。」
「はい、それではまたその時に。」
最後は、いつものキラキラの笑顔で見送ってくださったケヴィン様であった。
教会から帰る途中、おそるおそるリュウ先生に聞いてみる。
「リュウ先生、あの・・・こういうことってよくあることなんですか?」
「ん?ああ・・・まぁ、たまに、ね。」
― ああ、あるんだ・・・。
もしかして、『ザマァ』と呼ばれる事件は、センター主導で行われているんじゃないかと思ってしまった私である。




