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ようこそ異世界転移センターへ  作者: カイ


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「お久しぶりです、お待ちしておりました。」

天界の方に伴われ、三室にやってきた聖女様をお迎えする。

その聖女様は、柔らかい微笑みを浮かべて診察室に入ってきた。

リュウ先生がハーブティーを淹れ、私の隣に座る。


他愛のない世間話の後、少しだけ沈黙される時間があった。

― なにか、別に言いたいことがありそうだ。

そして、それはあまりいいことじゃなさそう。

このセンターでいろいろな人と接しているうちに、私もそのくらいはわかるようになってきた。

聖女様は、自己主張は控えめな方。

ここは、話しやすいように振ってあげたほうがいいかもしれない。


「聖女様、最近、なにか変わったことでもありました?」

「え・・・?あ・・・そう、ですね・・・。」

聖女様は、それだけ言うと視線を下げ、膝の上で組んでいる自分の手を見つめていた。

言うか言うまいか、悩んでいるように見えた。

「最近、眠れていますか?少し顔色が優れないように感じますが・・・お悩み事でも?」

「・・・・・・」

― う~ん・・・これ以上、無理強いはできないかなぁ。

あまりしつこく聞いても、かえって心を閉ざしちゃうかもしれない。


その様子を見ていたリュウ先生が、口を開く。

「眠れないようであれば、安眠効果のあるお茶を処方しましょうか?香りも良いのでリラックスできますから。」

「い、いえ!それは大丈夫です。むしろ眠ってしまったら・・・ああ、いえ、なんでもありません。ご心配には及びませんので、大丈夫です。」

― それは、『眠りたくない』ってこと?

眠るとなにかマズイことでもあるのかしら。

ぐっすり眠るときって、自分の意識がなくて、無防備・・・って、それを警戒している?


「聖女様、もしかして、身の危険を感じていらっしゃるのではないですか?」

「・・・・・・」

「このことを、他の誰かには・・・」

ただ、黙って首を振る聖女様。

リュウ先生と私は顔を見合わせる。

やはり、いい話ではなさそうだ。


聖女様のいる国では、天災や疫病など、その世界に大いなる厄災が起こる時、神様のお告げにより、異界から聖女様を召喚する儀式が執り行わるそうだ。

そして、召喚された聖女様は、神殿で女神様のように大切に保護されると聞いている。

無事に役目を終えた聖女様は、その国の王、または王子の伴侶となり、末永く国の守護者となる風習があるらしいのだが・・・。


その話を聞いて、なにそれ、と思ったことは言うまでもない。

いきなり知らない国に放り込まれて、その国の王様と結婚しろだなんてあんまりだ。

王様が高齢なら、年齢の釣り合う子供や孫と、ということだが、すでに結婚して妻がいたらどうするのよ。

二番目の奥さんってことになるの?

いくら神様のお告げだからって、正妻の女性だって面白くないに決まってる。

それに、王様が人格者ならともかく、性格破綻の暴君だったらやってられないよ?

見た目も性格も、好きになれない人だったら、幸せになれないじゃない。


「あの・・・実は私、断罪されるそうなんです。」

聖女様が、ポツリと呟いた。

― ・・・断罪?

ええっと、悪役令嬢が、婚約破棄されるときに起こる、定番の、あの断罪?


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