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ようこそ異世界転移センターへ  作者: カイ


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ラルドさんがジン様の世界に旅立ってから、このセンターに異変が起きていた。

「リュウ先生、最近、お魚が店頭に並んでいますよね。それに、オヤジさんのお店でも魚料理が増えた気がするんですが。」

「ああ、それなぁ・・・」


リュウ先生によると、ラルドさんはスイーツ職人の傍ら、ジン様の世界において、外交官という役職に就いた挙句、センターとの交易を強引に推し進めてしまったらしい。

そして、タウンの一角に拠点を構え、センターにはなかった物を卸しているのだとか。

日本の都会にあった、アンテナショップという感じだろうか。

そして、ラルドさんは、ジン様の世界では手に入らない食材などを持ち帰っているとのこと。

さすがに、全ての商品を許可するわけにはいかず、食品と化粧品に限定することで折り合いをつけたということであった。


ルキウス様は、当初かなり難色を示され、交渉も難航していたが、エリィ様の『あら、面白そうじゃない』の一言がトドメとなり、交易が始まったとのこと。

・・・ルキウス様のご苦労が偲ばれる・・・。


ジン様の世界から持ち込まれるものは、主に魚介類や果物である。

そこにラルドさんが作っているであろうジュエリーも、しれっと紛れ込んでいる。

果物が甘味の主流なだけあって、これがまた、よく熟れて、甘くて瑞々しく、ツヤツヤしているものばかりであった。

そのままでも、ジャムにしても、フルーツタルトにしても、その味といったら、格別である。

さすが、高位の方が食している果物だ。

というわけで、センターの食事情も豊かになったのだから、きっといいことなんだろう、と思うことにする。


そのラルドさんは、少し前に「あのハーブティーを頂きに来ました!」といつものようにニコニコしながら三室を訪れた。

「あれは、患者用で売り物じゃない!」とリュウ先生と小競り合いをしていたようだが、やっぱり押し切られ、しぶしぶ渡すことになった。

リュウ先生は、その腹いせに淹れ方を厳しくご指導したようだが、そこはセンスの塊のラルドさん。

すぐにコツを掴み、なんなら私よりも上手に味と効能を引き出してしまった。

あのときの、リュウ先生の悔しそうな顔ったら・・・。


「ラルド君、どうやら他の世界にも進出しようとしていたらしくてな。そこは全力で阻止したって言ってたぞ。」

― それは・・・そもそもセンターは世界を繋ぐ中継点じゃないでしょうに・・・。

でも、やる気に満ちているあのラルドさんの屁理屈に、いつか屈してしまうのではないかと少々心配。

だがしかし、ジン様の世界には、一番の問題児がいる。

いつ何時、またあんなことが起こるかわかったもんじゃない。

ルキウス様やエリィ様には、是非とも頑張っていただきたいところである。


そんなこんなで、センターも少しずつ変わってきたが、私たちの仕事は変わらない。

召喚された転移者を導き、世界を渡った転移者のケアをするのが私たちの仕事。

本日は、1カ月に1度の面接の日。

以前、ジュエル先生が担当していた女性で、役職は聖女様である。


― ・・・どうして、女性と言えば聖女様が多いのかなぁ?

送り出した女性の8割は、聖女様と呼ばれている方たちだ。

アンジェリーナさんのように聖なる結界で魔物から国を守る人、フィオナさんのようにご神木を守り育てる人、そして癒しの力でケガや病気を治す人。

役目は様々だが、『聖女様』と呼ばれている方がほとんどである。


本日いらっしゃる方も、その中のお一人で、癒しの力でケガや病気を治しているタイプの聖女様である。

アンジェリーナさんとは違って、自己主張の少ない、大人しめの女性。

そして担当は私、助手はリュウ先生で対応していた。


「聖女様をお連れしました。」

天界の方が、聖女様の来訪を告げた。


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