閑話【ジン様の世迷い言】
我の名はジン。
おぬしらとは違う遠い世界で、ピッカピカの玉座に座っておる、お偉いさんである。
言っておくがな、本当に偉いのだぞ?
我が世界では、崇め奉られる存在であり、まあ、控えめに言っても『神』であるな。
・・・なんだ、その顔は。
単なる女好きのエロジジィとか思っているのではないだろうな。
その昔、ナントカセンターなるものの協力要請を受けていたのは事実だ。
その時は「ナンダソレ」で一蹴したのだが、まさか協力するハメになろうとは、わからんものだな。
それもこれも、すべてあのバカのせいなのだが。
しかし、あそこには、エリィ殿も、白薔薇のような美しき人間もおるので、悪いことばかりではあるまい。
いつか、我が館に招待したいものよのう。
話しが逸れた。
何度も言うが、我はお偉いさんである。
山のような仕事に、女どもの束縛・・・我だって逃げたいときがあるのだ。
ふと、このナントカセンターで飲んだ茶を思い出し、あの小娘のところに行ってやったのだ。
そこで『ケーキ』なるものと、衝撃の出会いをしてしまったのだ。
さらに、あの小娘が勧めた石鹸のおかげで、我が妻の機嫌も元通りとなったのだ。
ただの小娘だと思っていたのに・・・侮れぬ。
というわけで、アレは我のしもべに昇格決定である。
あの『ケーキ』なるものは、我が世界でも流行らせねばならぬ。
ご機嫌取りに必要な、あの石鹸も手に入れねばならぬ。
あの茶を持って帰るのを忘れたではないか、キャリーのせいで!
それに、あそこの食にも酒にも興味がある。
小娘のことだから、きっと我の満足するものを用意するのだろうな。
そんな期待を胸に、ようやく隙を見つけて、またやって来たというのに・・・。
「さあ、ジン様!!あなた様の忠実なる部下が、センターをご案内します!」
・・・なぜコイツが隣におるのだ?
我は、小娘あらため、我が永遠なるしもべに案内を頼んだのだぞ!!
『気まぐれに、ホイホイ人間を拾ってこないでください!』
そういえば、キャリーにそんなことを言われておったな・・・。
話しを聞いて面白そうなヤツだと思ったのが運の尽きであったか。
ぐ・・・『ケーキ』に目が眩んだのが間違いだったか。
適当に人間界に放り込んで、『ケーキ』を作らせとけばいいかと思った時である。
「そういえば、このラルド、あなた様に名をいただいたわけですが・・・。」
「それがどうしたのだ。気に入らぬのか?」
「滅相もない!しかし、ジン様から名を与えられたということは、私はただの人間ではなくなる、ということでしょうか。」
・・・・・・あ、やってもうた。
人間に名づけをするな、と口酸っぱく言われておった。
む、まさかそれを見越して、名乗らなかったとでもいうのか?
「んんっ、ま、まあ、そういうことであるな。お前は我が世界の人間界を発展させよ。」
「御意に。食を制することを誓いましょう。それにあたり、いくつか提案したいことがございます。まずはジン様の居城で、ゆっくりじっくりお話させていただきたいのですが。」
「は・・・?」
「この計画は、ジン様の世界での一大事でございます。そして、センターとの友好を深めるための初の試み!重鎮方のご意見も頂戴しなければなりません。」
「いやいや、待て待て。今日はだな、ここの食事情を・・・」
「ジン様、このセンターと友好関係になれば、いろいろとお得でございますよ。例えば・・・」
「・・・なんだと。それは誠か。むむ・・・ならば仕方ないか。」
「はい、もちろん。そのためには早急に事を進めねばなりません。というわけで、急ぎあなた様の世界に向かいましょう!さあ、さあ!!」
我を丸め込むとは・・・やるではないか。
まさか、我が妻やキャリーの回し者ではあるまいな!




