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「えっと、あの~、第三診察室の新設で引っ越しがあって、いろいろと足りないものがありまして、必要なものを買いに来たんですが、図書室があるのを見つけまして、ちょっと興味がわいて、ちょっと入ってしまって~、えっと、その・・・」
しどろもどろになりながら、必死に説明する。
ウソはついていない、ちょっと時間軸が違うだけだ。
「ああ、そういえば今日からでしたね。今は買い物ついでに休憩中ってところかな?」
「はいぃぃっ、その通りです。」
― 優しいフォローありがとうございます、ケリー様。
「そうでしたか。間違えて一室に行かなくてよかった。教えていただきありがとうございます。」
ケリー様は何やら木箱を抱えている。
「あぁ、これですか?リュウ先生に頼まれていた聖水を届けに行くところだったんですよ。」
― 聖水?
聖水って、清めの水とか浄化の水とか言われる、あの聖水?
「ご迷惑でなければ、お茶でも飲みながら一緒に休憩しませんか?」
「いえいえ、そんな滅相もない。私が持っても大丈夫なものでしたら、そのお荷物を預かって持っていきますから。」
これでもかというくらい、頭と手をブンブン振ってお断りする。
― ここに来て、何回首を振っただろう・・・首が取れちゃったらどうしよう。
「そんなこと言わずに。私もちょうど休憩したかったので、是非、ね?」
エリィ様に負けず劣らず神々しい笑みを向けられ、気絶しそうになる。
二人で真ん中にある休憩スペースに移動する。
ケリー様が「ここでちょっとお待ちくださいね」と仰ったので、大人しく待っていると、両手にカップを持ってケリー様がやって来た。
― ひぃぃぃ~、私ったら、なにボケっとして突っ立ってたのよ!
「アイスティーでよろしかったですか?」
「ああぁぁ、すみません、申し訳ございません。私ったらボーっとしてて。」
「いえいえ、誘ったのはこちらですから。気にしないでください。」
またしても神々しい笑みに気絶しそうになった。
「ミサトさんは、このセンターに来て間もないと聞いていますが、慣れてきましたか?何か困っていることはありませんか?」
「は、はい。皆様にはとても優しく迎えていただいて、本当にありがたく思っています。」
ニコニコしながら話を聞いてくれるケリー様。
眩しい、眩しすぎる、直視できない。
「あっれ~、ケリーじゃん。めっずらしい。こんなところでなにしてんのさ?」
突然声をかけられた。
― ・・・今日はお祭りの日かなにかでしょうか。




