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「リュウ先生は、一刻も早く薬のお仕事をされたいのではないですか?」
「は?いや、まぁ、そうだが。」
「では、ずーーーっとあの調剤スペースに籠ってお仕事されるんですか?」
「そんなわけないだろう。」
「ですよね。じゃあ、ここを片付けなきゃいけないのもおわかりですよね?」
「ぐ・・・」
そこで、ひょいと顔をのぞかせたジュエル先生が声をかけてきた。
「リュウ先生、もう諦めよう?あんまりゴネてると強硬手段に出られちゃうよ?運動だと思って、たまには動こうよ。」
はあ~っと深くため息をついたリュウ先生。
そして、重たい腰を上げ、「わかった」と、本当に嫌そうに荷物をまとめ始めた。
― 私だって、やりたくてやってるんじゃないんですけどねぇ。
「お二人とも、ご理解いただきありがとうございます。」
そして、二人が荷物を持って三室を出る。
足取りはかなり重く見える。
― 先生たちがの私物が三室からなくなるまでに、何往復必要かな。
タウンにあるお店みたいに、転送装置があれば便利なのに・・・言ってみようかな。
・・・・・・いや、便利にしたら、きっとまたよからぬモノを持ち込むに違いない。
これは提案しないでおこう。
先生たちが往復している間に、資料やファイルを運ぶ。
医療現場で働いたことがないので勝手がわからない。
昔見た医療ドラマの記憶を引っ張り出しながら、それらしく見えるように配置していく。
荷物を運び、棚に並べ、空いた木箱や段ボールをまとめていく。
けっこうな作業量である。
段ボールがあるんかーい、と思ったが、きっと要望が多かったんだろう。
センターでは、スタッフの要望があれば、取りよせると聞いた。
もちろん、常識の範囲内のものではあるが。
そんな間にも、三室が開いたり閉まったりする音が聞こえてくる。
― よしよし、二人ともちゃんと言うことを聞いてくれているみたい。
・・・しかし、ここに掃除用具はないんだろうか?
布巾、雑巾、バケツ、掃除機・・・はないだろうから、せめてホウキが欲しい。
「サト~、荷物運び終ったよぅ~。いったん休憩しよう~。」
ジュエル先生が資料室にいた私を呼びに来た。
かなりお疲れのご様子だった。




