31
少々不貞腐れながら、今日タウンで買ってきたパンをほおばる。
しかし、生活スタイルにおいては驚くほどギャップが少ない。
『いろいろな街を参考に』とジュエルさんが言っていたけれど、もしかすると、かなり日本を参考にしているのではないだろうか?
日本の衛生観念は、世界でも定評があったからなぁ。
それにしても、お掃除用スライムにはびっくりだ。
部屋の出窓にチョコンと鎮座しているスライムたちに目をやる。
置き場所は問わないらしいが、ジメジメしたところに置く気持にもなれず、日当たりが良く、外が見える場所に置いてみた。
試しに、パンの入っていた袋を黒いスライムのソウくんに与えてみる。
スッと入ったと思ったら、体内でシュワシュワと溶けていった。
― お、おぉぉぉ~。
次に、マグカップを青いスライムのセンくんに与えてみる。
体内でマグカップがくるくると回り、ポンッとマグカップだけ吐き出した。
ピカピカである。
― す、すごすぎる、有能すぎる。
「ソウくんもセンくんも凄いね!これからいっぱい頼っちゃうね。」
これでもかというくらい、スライム君たちをなでなでする。
スベスベプニプニの手触りが気持ちよく、つい頬ずりしたくなる。
すると、「ピィ」「ピピィ」と音がした。
― やっぱり、最初に声をかけた時に聞こえた音は、空耳じゃなかったんだ。
ていうか、スライムと意思疎通できるんだ!
あ、『従魔』とか言ってたから、そのせいかもしれない。
返事が短いほうががセンくん、長いほうがソウくんみたい。
― うわ、嬉しい、そしてカワイイ、あぁ、癒される~。
これなら、ここの一人暮らしも全然淋しくない!!
ベッドに連れこもうと思ったが、ゴミと間違えられて私が消化されたら大変だ。
しばらく逡巡し、添い寝という誘惑に打ち勝った私であった。
さぁ、明日から仕事が始まる。
今日は少し早めに寝よう。
こうして、異世界生活2日目が終了した。
------ミサトが寝た後の暗く静かな部屋にて------
『ねぇねぇ、こんどのごしゅじんさま、やさしいね。いっぱいなでなでしてくれたね』
『ちょっと、たよりなさそうだけどね』
『じゃあ、ぼくたちが、たすけてあげないとね』
『うん、なまえはアレだけど、ぼくたちも、がんばっておしごとしようね』
『うん、なまえはアレだけど、ごしゅじんさまと、いつかおはなしできるといいね』
窓際の二匹のスライムが、星明りを受けてキラキラと光っている。




