27
タウンから戻り、中央ブースへと移動する。
廊下の壁に案内表示はあるものの、しっかり覚えておかないと迷子になると思い、周りを注意深く確認しながらジュエルさんの後をついて行く。
中央ブースの一角、『備品管理室』という表示のある部屋の前に着いた。
「人界のジュエルです。備品を受け取りに来ました。」
ジュエルさんが、受付カウンターで声をかける。
「はい、承っております。少々お待ちくださいませ。」
対応しようと顔を上げたのは、犬っぽい耳の生えている、獣人の女性であった。
― ・・・い、犬耳のお姉さん・・・
昨日もオヤジさんのお店で見かけたし、さまざまな種族がいることは理解しているが、やはり気持ちが追いつかない。
「サト、生活に必要な備品はここで支給されるから覚えておいてね。」
「は、はい」
― 洗濯機はわかるけど、ゴミ箱が備品?
ゴミステーションにあるような、頑丈な蓋付きのゴミ箱なの?
洗濯機も頑丈なゴミ箱も、部屋に転送されるんだろうけど、自分で適当な場所に動かせるだろうか。
犬耳のお姉さんが奥から何かを持って、受付カウンターに戻ってきた。
「こちらは、ミサト様のご使用ということでよろしいでしょうか。」
「ええ、そうです。サト、ちょっといいかな。」
「はい、何でしょうか。」
目を向けた私は、その光景に固まってしまった。
犬耳のお姉さんが抱えていたものは、半透明のプニプニのゼリーみたいな・・・こ、これは、もしかして『スライム』というシロモノではないだろうか。
「こちらがゴミ処理用、もう一方が洗浄用のスライムです。」
― や、やっぱりスライムなのね・・・。
「サト、大丈夫?顔が・・・」
「あ、あぁ、そ、そうですね。ちょっと理解が追い付かなくてですね。えぇと、スライムって魔物なんですよね?」
二次元知識、フル動員である。
「こちらのスライムは訓練されておりますので、使用者を襲うことはございません。」
涼しい口調で犬耳お姉さんが答える。
「は、はぁ・・・あの、でも・・・」
「こちらに受け取りのサインをお願いします。」




