2
「イセカイテンイセンター?」
「そう、異世界転移センター。」
・・・はて、どこの救命救急センターだろう?
「あのぅ、ここ、病院ですよね?」
上体を起こし、あたりを見渡す。
天井は白く、ベッド、サイドテーブル、机が置いてある、ごくシンプルな部屋だ。
「病院・・・とはちょっと違うけど、まぁ、似たようなものかな?それより、どこか痛いところはない?気持ち悪いとか、具合悪いとかはない?」
イケメン様が、私の顔を覗きこんできた。
― うおぉぉぉ、近い近い近い近い!!!
「ひぃぃ、だ、大丈夫です!!」
ブンブンと首と手を振りながら慌てて距離をとる。
「ひぃぃって、なんか傷つくなぁ~。」
ショボンとしてみせるイケメン様。
「す、すいません、つい。」
― こちとら、あなたみたいなイケメン様に慣れてないっての。
とりあえず愛想笑いしてごまかす。
「大丈夫そうなら、キミのこれからについて、別の部屋で話したいんだけど動けそう?」
― 私のこれから?
あぁ、やっぱりここは病院で、これからの治療方針とか入院費用とか連絡先とか、そういったことを話すのね。
「わかりました。多分大丈夫だと思います。」
「そう、よかった。それじゃ、お手をどうぞ、お姫様。」
どこのホストじゃ、と心の中でツッコミを入れつつ、「大丈夫ですよ~」と言いながらベッドから降り立とうとした瞬間、ぐらっと体が崩れた。
― あれ、膝に力が入らない?
「あぁ、ほら、無理しないで?キミ、一週間も目を覚まさなかったんだから、急に動いちゃ危ないよ。素直にボクにつかまって?」
と、倒れる寸前に抱きとめてくれた。
イケメン様に抱きとめられ、胸がドキドキする。
しかし、これは断じてトキメキじゃない。
― ・・・一週間も寝たきりってどういうこと?
自分に一体何が起こったのか、ここはどこなのか、これからどうなるのか、不安で心臓がバクバクへと加速していった。