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コンコン、とドアをノックする音がした。
「サト~、迎えに来たけど、起きてるかな~?」
ジュリィさんの声がした。
鏡の前で百面相をしていたら、時間が経っていたようだ。
最後に笑顔の自分を映し、「はい、今行きます」と返事をした。
「少しは休めた?」
「はい、まだまだ慣れませんけど、休ませてもらいました。」
「そう、それは良かった。ゆっくり慣れていけばいいからさ、くれぐれも無理はダメだよ。」
「はい、ありがとうございます。」
「さて、これから共用スペースに向かいます。今、サトに一番必要な場所だからね~。」
「えっと、食事、ですよね?」
「うん、食事ももちろん大事だけど、生活に必要なモノ、部屋にないでしょう?」
「あっ、言われてみればそうでした。」
「なので、今日明日で必要なモノ揃えちゃお。ボクも手伝うからさ。」
「えっ、場所さえ教えてもらえれば一人でも大丈夫ですよ。それに、お仕事の邪魔したら申し訳ないですから。」
「えぇ~、淋しいこと言わないでよ~。楽しみにしてたのにさぁ。」
ジュリィさんが口をとがらせている。
拗ねた顔がちょっと子供っぽくなる。
イケメン様は子供っぽくなってもイケメン様である・・・なんか・・・ズルい。
そんな話をしているうちに共用スペースの入口に着いた。
「ここが、みんなの集う場所、『タウン』だよ。」
・・・・・・街だ、街がある・・・・・・
石畳の道の脇に建物が並んでいて、ところどころにベンチが置いてある。
そして、遠くには緑があるらしく木々が見える。
「・・・・・・・・」
「ふふ、びっくりした?すごいよね、カミサマって。」
― あれ?
ジュリィさんの言い方に違和感を覚えた。
「ここに住んでいる人たちは、元の世界からドロップアウトした人が多いかな。それぞれの特技を活かして生活しているんだよ。まぁ、詳しいことは後日説明があるだろうから、このくらいで。」
― やっぱり、口調に棘がある?厳しい?冷たい?
ジュリィさんを見ると、感情の抜けたような顔で遠くを見つめていた。
「あの・・・」
「さ、説明よりはまずは買い物だね!揃えるものたくさんあるよ~。楽しみだね。」
優しいけれど有無を言わせない笑顔を私に向けた。




