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ジュリィさんに手をひかれ、『人界ブース』というゲートをくぐる。
しかし、ここはどこに存在していて、どういう構造になっているのだろう?
先ほどの部屋からここまで、廊下に窓はなく、大きな病院といったイメージだ。
移動しながら、ジュリィさんがこのセンターについて説明してくれた。
まず、センターは、人界、天界、魔界、中央の4ブースがある。
召喚された人は中央ブースにある部屋で面接が行われる。
その後、各ブースに連れていかれるらしい。
召喚された人の種族により、対応するブースが分かれているとのこと。
天界は、天使、妖精、精霊など。魔界は、悪魔や獣族など。人界は人間のみ。
また、中央ブースには、異世界へのゲートに繋がる部屋などが存在している。
さらに、別棟があり、そこにはケアが必要な人たちの療養スペースがある。
それぞれのブースの行き来は割と自由で、療養スペースを除いて交流は禁止されていない。
天使や悪魔の召喚は、契約が終了すると戻ることができる魔法陣が普及しているため、異世界転移という事例は少なく、とにかく人間が多いとのこと。
そのため、療養者もほぼ人間となり、そのケアも含めると人界ブースはフル回転なんだとか。
各ブースの奥には、スタッフの居住スペースがあり、そこからまた共用スペースに繋がっている。
食堂や商店、農場や公園もあるって・・・もはや国じゃん。
なんとなくセンターの構成は分かったが、一体どういう構造の建物なのか、さっぱり見当がつかない。
「そこは、ほら、高位の方々がチョチョっと・・・」とジュリィさんが言うので、宇宙ステーションのようなものをお造りになったのね、と無理やり納得することにした。
「今日は起きたばかりだし、色々と疲れたと思うから、これからサトが生活する居住スペースに案内するね。落ち着いたら仕事開始になるけど、2,3日はゆっくり過ごしてもらっていいからね。」
「はい、お気遣いありがとうございます。」
「いえいえ。さ、着いたよ。じゃ、サトの部屋に行こうか。」