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プロローグ
――――2XXX年。
世界は、病に侵されていた。
『病』――ヤマイとは、鬼であり、悪魔であり、怨霊であり、妖であり、
そこに存在するだけで人に害なす異形。
一度は滅亡の危機に晒された人類だが、対抗する術をもつ人間がひとり、またひとりと現れたことで、なんとか種を存続しえた。
各国政府は病への対策機関を設立。
もちろんこの日本でも。
機関の名前は『社』。病である妖を祓うことのできる『術師』を保護、支援する、日本国の砦である。
その社に所属する一人の女子である土御門 明は――
――せっせと掃除に明け暮れていた。