第九十二話 帰路
それから少しして、リオンは無事退院することができた。
病院の人たちに礼と別れを告げ、その場を後にする一行。
ゴールドバクトで待つロゼッタに遺跡の調査結果を渡す。
そのために帰路につく。
しかし…
「じゃあ、ボクはここで」
「え?」
帰路の途中、シルヴィがそう言った
不思議に思うリオン。
そういえばたくさんの食料や消耗品を買い込んでいたが…
「あれ?アリスに伝えておくよう言っておいたんだけど…」
「あ!忘れてた!」
改めて、シルヴィから説明を聞いた。
どうやら、シルヴィは一旦リーブルシティに戻るようだ。
そこには彼女の一族が仕えている貴族、ブルーローズ家が居を構えている。
リオンが彼女と出会ったのも、そのブルーローズ家が関係している。
「報告だったり、いろいろと用事があるからね」
「そうか…」
「一旦戻るだけさ。終わったらまたゴールドバクトの町を訪ねるよ」
「あー、あたしもついてくよ」
「ふふ、金は出んぞ?」
シルヴィの一人では旅路に不安が残る。
そう思ったエリシアは彼女についていくことにした。
シルヴィは、エリシアがついてくることに少し驚きつつも、それを了承した。
そういえば、最初シルヴィと出会ったときの彼女はそこまで腕の立つ人物ではなかった。
それをふと、リオンは思い出していた。
「じゃあ、またね!」
「また会おう!リオン!アリス!」
そう言ってシルヴィとエリシアはリーブルシティの方向へと向かっていった。
ここからは少し遠いが、時間をかければ十分にたどり着けるだろう。
そうして、残されたのはリオンとアリスの二人だけ。
二人きりの帰りとなった。
「…」
「…」
「えっと…」
なぜか話しづらい。
静寂、沈黙が続く。
だが、リオンがそれを破る。
アリスと話したいことがあったのだ。
「なあ、アリス。ちょっといいか?」
「え?あ、はい。なんですか?」
「今から少しだけ話をしないか?二人で…」
リオンの願いを承諾し、二人は近くにあった丘の上へ。
そこで腰を下ろす二人。
いい眺めだった、地平線の先に海が見える。
世界の広さが実感できる気がする、そんな光景だった。
それを見ながら、リオンはアリスに話しかける。
「アリス…」
「リオンさん…」
多くの言葉は不要だった。
その言葉だけで互いに言いたいことが理解できた。
リオンはアリスの肩に手を置き、アリスはそれを受け入れる。
そのアリスは、リオンをギュッと抱きしめた。
リオンはそんなアリスの抱擁を受け入れる。
ひと時の安らぎ。
そして…
「…行こう」
リオンが口を開く。
それは彼の決意表明だ。
目的地であり、帰る場所であるゴールドバクトを目指して。
その決意に、アリスもうなずく。
二人は帰路につく。
「またシルヴィたちと再会したら、どこか旅に出よう」
「どこか…?」
「う~ん…まだ決めてないけど、どこかだよ」
「ふふふ」
軽い笑みを浮かべるアリス。
とりあえず、ゴールドバクトでロゼッタに資料を届ける。
話はそれからだ。
なんとも気が早い、それが少しおかしかった。
「やっぱりリオンさんはおもしろい人ですね」
「ははは…」
「そんなところが私、好きですよ」
二人はそのまま帰路を進む。
ゆっくりと。ゆっくりと。
少し時間がかかるかもしれない。
でも、この道は決して暗くない。
長い道のりだが、二人でならきっと。
…ちょっと、寄り道していこうかな?
ご愛読ありがとうございました。
少し投稿間隔があいてしまった部分などもありましたが、無事完結いたしました。
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