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第五十四話 リスターの魔法都市

 リスターの国へと到着したリオンたち。

 この国は広大な砂漠を領土に持つ大国である。

 気候は一年を通して穏やかで、慣れさえすればすごしやすい環境となっている。

 その為、都市部は多くの商人たちが行き交っており、活気のある町並みが広がっている。

 また、その美しい街並みは観光スポットとしても有名で、国内外問わず多くの人々が訪れる。

 中でも王都にある大噴水は絶景として知られており、昼になると多くの人で賑わう。

 その美しさはまさに『水と芸術の国』と呼ぶにふさわしい。

 さて、リオンたちは今どこに居るかというと、その帝国の入り口だ。


「ここがリスターの国か。賑やかな所だな!」


 そう呟きながら周囲を見渡すシルヴィ。

 彼女の言うとおり、辺りには多くの露店が立ち並んでいる。

 その中には食べ物を扱う屋台も多くあるようだ。


「うわぁ、すごい人ですね!」


「ああ、そうだね」


 アリスの言葉に同意しつつリオンは目の前に広がる光景を眺める。

 ここは王国と帝国の国境に位置する関所のような場所だ。

 周囲には大勢の人々が集まっている。

 おそらく他の国から来た旅人や、王国の行商人たちだろう。


「じゃあ、行こうか」


 そう言ってリオンは先頭に立って歩きだす。

 その後ろからシルヴィとアリスがついてくる。

 エリシアはリオンの隣を歩いていた。

 まずはこの国の宿屋を探すことにする。


「安く泊まれるところがあるといいんだけどな」


「ま、この国に限れば心配いらないと思うよ」


「そうなの?」


「ああ、この国は他国に比べて治安が良いんだ。だから安宿も多いんだよ」


「へぇ、そうなのか」


 シルヴィの話を聞き納得しつつ歩いていると、やがて大きな建物が見えてきた。

 あれが宿屋だろうか?

 看板に『安らぎ亭』と書かれている。


「あそこ、いいんじゃないか?」


「はい、悪くなさそうですね」


「よし、とりあえず行ってみよう」


「はい」


 アリスが頷く。

 こうしてリオンたちはその建物の中に入った。


「いらっしゃいませー!」


 元気の良い声が聞こえてくる。

 店内に入ると、カウンターの奥に立つ女性の姿があった。

 明るい茶髪のポニーテールの女性だ。

 年齢は20代前半くらいに見える。


「宿泊ですかー?」


「はい、四人なんですけど空いてますかね?」


「もちろんですよ!お部屋はこちらになりまーす」


 女性はそう言って奥の部屋を指し示す。

 そして鍵を受け取り、部屋に荷物を置いた。

 それから再び集合し、店の主人に話を聞くことに。

 ちなみに店主の名前はマリーというようだ。

 彼女はニコニコしながら接客してくれた。


「この国は初めてなんですかー?」


「ええ、そうなんですよ」


「そうなんですね~ではまずこの国のことを説明しますね!」


「お願いできますか?」


「はい!」


 こうしてリオンたちはこの国のことを聞いた。

 この国は地下水の資源が豊富であり、水産業が盛んなこと。

 また、砂漠の中にあるオアシスを利用した観光業も盛んであること。

 他にも様々な話を聞かせてくれた。


「ありがとうございます」


「いえいえ、それではごゆっくり。おくつろぎくださいね~」


「はい、ありがとうございました」


 頭を下げて礼を言う。

 とりあえず一息ついた後、目的の荷物を届けるつもりだ。

 魔法学園に手紙の入った小包を届けるという目的を果たすために。

 店主に魔法学園の場所を尋ね、そこへと向かう。

 そこは王都の中心部に存在するらしい。


「ここがそうかな?」


「多分そうだと思うけど…」


「おお、確かに大きいねぇ」


 リオンたちの眼前には巨大な城のような建物が建っていた。

 これが例の魔法学園なのだろう。


「早速入ろうか」


「そうだね」


「少し緊張しますね」


 門番らしき兵士に事情を話して中に入れてもらう。

 向こうも事情はある程度把握しているらしく、入るのに時間はかからなかった。

 すると、そこには大勢の生徒たちの姿があった。

 制服を着た少年少女たちが談笑している。


「なるほど、皆ここに通っているのか」


 リオンがそんなことを考えながら、城の中庭まで案内される。

 そこで待っていると、一人の少女が現れた。

 白銀の長い髪をした美しい少女だ。


「ようこそおいで下さいました。私はこの魔法学園の生徒会長をしております、『レイナ・ローレンス』と申します」


 そう自己紹介をする彼女。

 どうやら彼女がこの学校の生徒の長のようだ。


「初めまして、俺はリオンと言います」


「ボクはシルヴィだよ」


「アリスです」


「私、エリシア」


 順番に挨拶をしていく。

 それを見届けた後、レイナは口を開いた。


「あなた方が、小包を持ってきて下さった方々ですね?」


「はい、そうです」


 そう言いながら、リオンは小包を渡す。

 ロゼッタから受け取った小包だ。


「わざわざ遠い所から運んでくださり感謝致します。本来なら私たちが取りに行くべきだったのですが、あいにくと用事がありまして…本当に助かりました」


 深々と頭を下げる生徒会長のレイナ。

 その姿を見て、リオンは慌てて顔を上げさせる。


「いえいえ、気にしないでください」


「そう言って頂けるとありがたいのですが、何かお礼をしたいと思います。もし宜しければ…」


 そこまで言った時だった。

 リオンはある人物の存在に気付いた。

 そこに居たのは金色の長い髪を持つ美しい少女であった。

 彼女はこちらをじっと見つめている。

 まるで値踏みをするような目つきだ。

 そしてシルウィと目が合うと、ニヤリと微笑む。


「あら、誰かと思ったら貴方なのね」


「…君は?」


「ふぅん、覚えていないのね」


「何の話だい?」


 首を傾げるシルヴィを見て、彼女は肩をすくめる。

 そして彼女はシルヴィに近付いてきた。


「まぁ、いいわ。それより、どうして貴女がここに居るのかしら?」


「君には関係ないことだろ?」


「ええ、でも気になるじゃない?まさか、こんな所で会うなんてね」


 そう言って笑う金髪の少女。

 一方、シルヴィは困惑していた。

 何故なら彼女のことが全く思い出せなかったからだ。


「悪いけど、君のことは知らないよ」


「へぇ、そうなの。私のことを忘れちゃうくらいだから大したことないのね」


「何を言っているんだ?」


「あははっ!まあ、いいわ。いずれ分かるでしょうし」


 高笑いする少女。

 その様子を見て、レイナは眉をひそめた。

 そして二人の間に割って入る。

 そして鋭い視線を向けた。

 しかし、それでも彼女は笑顔のままだ。

 そしてゆっくりと口を開く。

 それから彼女はこう告げるのだ。

 自らの名を名乗りながら――


「私は『クロエ』よ」


 そうして彼女は去っていった。


面白かったと思っていただけたら、感想、誤字指摘、ブクマなどよろしくお願いします! 作者のモチベーションが上がります! コメントなんかもいただけるととても嬉しいです! 皆様のお言葉、いつも力になっております! ありがとうございます!

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