【SS】感謝祭~男性陣編~
「エルマから感謝祭の贈り物を貰った。花のお菓子だった」
「その口調はあれだな、普通に食えたが微妙に感想に困る味だったって所だろう」
「まあ……俺はエルマがくれるならなんでもいいから、困ってはいない。エルマがくれるなら何でもいい」
「よーし僕がまだ音を上げてないうちにさっさと本題に入れ。どうせお返しは何がいいだろうかとか、その辺だろう?」
「話が早くて助かる」
「まあ返しの品も花が一般的だが、お前的にはどんなもんを計画してるのよ」
「薔薇を999本贈ろうかと思って」
「待て待て待て」
「何か問題でも?」
「ユー君ね、君ね、期待を裏切らない男だけどたまには予想外に無難な男でいてくれてもいいんだよ。で、一応念のため聞いておきますが、花言葉ってご存じ?」
「知ってる」
「そっかあ。薔薇ってね、結構意味深な花でね、贈る時の本数で意味が変わったりもするんですけど、ちなみに参考までに999本って『何度生まれ変わってもあなたを愛します』って意味なんですよね」
「俺からエルマへの気持ちを受け取ってほしくて……」
「重いわ! 激重だわ! アホかよ! せめて最初なんだから百本程度にとどめておけよ、それでも充分重いけど」
「百パーセント程度では俺の想いは満足しない……」
「あのねえ。そりゃね、今はね、幸せ有頂天だからそういうこともできるけどね、これ毎年続けることになる贈り物なんだよ? 変にハードルを上げるんじゃないよ。というか物量で攻めりゃいいってもんじゃないでしょうが」
「いや、でも……一本だけではエルマはその程度かとがっかりするのでは……?」
「『一目惚れです、あなたしかいない。』ぴったりだろうが。で、来年は二本にして『あなたとわたしの二人だけ。』その次の年は三本贈って『愛していると伝えたい。』そうやって年々愛を深めればいいじゃないの……」
「ヴァーリス……お前たまにはいいことを言うな……!」
「僕は常にいいことしか言ってません、ユーグが真面目に人の話聞いてないだけだよ」