【没ネタ供養】ジェルマーヌ公爵家家族会議
「愛しの息子よ!」
「お久しぶりです、父上」
「うむ。今年も世界一いい男だ……」
「そうですか」
「母さん、ユーグがなんか冷たい!」
「この子はいつもこうですよ、あなた」
「新年おめでとう、ユーグリーク。元気そうでよかったわ」
「おめでとうございます、母上」
「やはり父の扱いに格差がある気がするが、気のせいでしょうか。いやまあ、母さんを一番大事にするのは正しいのだろうが、うん」
「それで、ユーグ。今年は父さんと母さんに何か言うべきことがあるんじゃないか?」
「言うべきこと?」
「いやいやいや。隠さなくていいんだ。パパはね、嬉しい。もう息子の独身街道に頭と胃を痛めずに済むんだなって」
「はあ」
「気の抜けた返事をするんじゃない、これでもかなり真面目に苦悩していたんだぞ。なあ母さん」
「私は三十歳になる頃までに、折り合いのつくお嬢さんを見つけるか、養子を迎えればいいかと考えていましたが」
「そんなに気長に待っていたらパパがストレスで禿げてしまいます」
「そうですか」
「さあ、早く我々の前に嫁を出しなさい。親孝行だぞ」
「まだ結婚していません。婚約者止まりです」(実に遺憾ながら)
「母さん、ユーグが照れ隠ししてる!」
「この子はいつもこうでしょう、あなた。第一、ここは公爵邸ですよ。年明け早々未婚の娘さんを連れ込んでいたら、それこそ大問題です」
「え? でも同棲していたんだろう? 一月半ほど」
「――――」
「パパは嬉しい。息子にもようやくまともな青春がやってきたのだと――あ、いや、別にヴァーリス殿下との学園生活がまともではなかったという意味ではないんだが、ほら、うん。殿下は色々と奇想天外なことをするから――」
「あなた? よろしくて?」
「えっあのごめん母さん、いえ、公爵夫人、僕今一体何をしました、怒ってることはわかるけど、怒られてる理由がいまいちわからない」
「私、今、聞き間違いでなければ、同棲、と耳にしたような気がするのですが」
「…………あ」
「しかも一月半、と」
「…………」
「…………」
「詳しく説明してもらえるのでしょうね、ユーグリーク?」