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実技試験一日目 ②

実技試験1日目の後半です。

戦闘シーン書くの苦手です。


主人公は二人でいく予定です。

〈試験開始〉



彼女はダンジョンに入り、携帯式松明を取り出して火を付ける。

水晶でも分かりやすいくらい全身震えながらダンジョンの中へ、出発前の威勢はどこえやら。


ここまで20分、5分で済ませろ馬鹿野郎。


せっかくなのでここのダンジョンの解説をしよう。


この試験会場は数十年前に発見され、実際に冒険者が攻略した洞窟である。洞窟の完全攻略が完了し、試験会場用に改装されたわけだ。簡単に言うとね。


この洞窟の中には五つの「トラップ」と、九つの「チェックポイント」、そして最後には「大型モンスター」を用意している。

トラップはギルドからの借り物や、当時実際に洞窟内に仕掛けられていた罠をそのまま活用している。


トラップは主に罠・攻撃・妨害の3種類に分けられ各試験会場によって配置やバランスは大きくことなる。ちなみに妨害に特化した試験会場は基本的に合格者は出ない。それは不平等だと言う話は出ている。


チェックポイントはアイテム回収やモンスターとの戦闘といった冒険者として最低限の基礎行動を採点するポイント。


そして大型モンスターは主にダンジョン系の試験会場に必ず配置する最終関門のようなもの。大型モンスターに出くわしてどう行動するかが試される。ギルドが飼育しているモンスターが殆どだが、中には報酬ありで協力していただいているモンスターもいる。


おや、早速最初のトラップに引っかかるようだ。



ゴゴゴゴゴゴ


「・・え?うそでしょ!?やだ!」


背後から妙な音が・・振り返ると、大きな岩が転がってくる。


「うぁぁぁぁぁぁ!!」


この会場の最初のトラップは〈岩トラップ〉狭く薄暗い洞窟内、逃げ場も限られる状況で迫り来る岩。

さて彼女は逃げ回っていますが、ここでの模範解答を見てみましょう。



《解答例 熱血男子の場合》


ゴゴゴゴゴゴ


「うお!?岩!?よし・・くらえ!必殺!会心切り!!」



パカっ!



A.剣で岩を真っ二つに切る。



解答例 女神官の場合


ゴゴゴゴゴゴ


「・・・・岩か。」


「大地の神よ、我に力を与えたへたまえ、わが杖に魔力を宿し、あの忌まわしき岩石に災いを、大地の力をもって怒りを与えたまへ。」


ゴゴゴゴゴゴゴ


「・・・・・砕けろ。」


ドカーン!!


「・・・・・フン。」ドヤ


A.魔法で粉砕する



冒険者を目指す心得の一つとして、どのような状況でも瞬時に判断し、対応できる行動を常に持っておくこと。この心得を持っているかどうかが様々なトラップで試される。とはいえ先ほど紹介した二人のように面と向かって突撃しなくても、トラップをうまく避けてもいいわけだ。いかに地形や環境を利用してうまくトラップを回避できるかも評価基準となる。ちゃんとしていれば減点されることはない。



さてなんにも準備をしていないバカがどうなるか見てみましょう。



ゴゴゴゴゴゴゴ


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


「たすけてぇえぇぇぇ!やばいやばいうわぁぁぁぁ!!!」


困難な状況に陥った時、逃げるというのも冒険者として時と場合によって間違っていない。しかしこのトラップはやりようによってはいくらでも対策できる。逃げを選択したのはこの小娘が初めてである。転がる岩の方に追いつかれて・・。



「ぐえっ!」



ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・



「うううぅ・・・・。」地面にめり込んでいる状態



あら大変、大きな岩に踏みつぶされて土に埋もれることに。地面が柔らかくてよかったね。まぁ安全のためにわざと柔らかい土にしているんだけどね!


ピコん!


『転がる岩に巻き込まれる 6点減点』


はい今日一番の高得点いただきました~。

おめでとう少女よ。これで冒険者になるための狭き門はさらに狭くなったな。


さて次のトラップは、、、



〈矢トラップ〉


至る所に仕掛けられている特殊な矢。四方八方から矢が飛んでくるだけだが、ここでは冒険者が目指す職種の基本能力が試される。


《模範解答例 大剣男の場合》


ヒュ!


ヒュ!


「おう!ははは!矢か!!こんなもの!おりゃ!!」


大きな剣を振ると強い風が起こる。風によって矢は跳ね返される。

魔法を宿した剣で様々な状況に対応する技は、戦士をめざすのであれば必須。


《模範解答例 格闘僧侶の場合》


「この程度の矢など、わが拳法の稽古にもならんわ!!アタァ!ウワタァ!アチャ!」


飛んでくる矢を素手で掴んでとめる。跳ね返す。へし折る。


「ナンマンダブ、ナンマンダブ。」


武器を使わず己の体だけで矢を止める技は、できる人結構多いので別にすごくはない。

これも格闘家を目指すのであれば必須、あと格闘家は坊主が多い。


さてろくに基本も学んでこなかった人はどうなるのか見てみましょう。


ヒュ!


ヒュ!


「いたぁ!いたい!ああもう!!いててて、いたいって!!」


いや、避けろよ。


先ほどから飛んでくる矢に百発百中で当たりに行っているがそういう趣味なの?


「うぁ!?お尻に!!お尻にやがぁ!!」


ちなみに矢は魔法で細工していて刺さるが死にはしない。痛いけど。


「いでで!ああもう!!このっ!くらえ!!」


やっと自分の腰に剣があることに気付いたか少女よ。

剣を振り回すとはおもうけど・・。


スカっ


カキーン!


「びゃっ!?」


矢には当たらないし、無闇に振り回すものだから壁に当たって、剣をぶっ飛ばしてとまぁ結果はお察し。


ピコん!


『トラップに対して対策しない 4点減点』


『10本以上の矢と接触 5点減点 要検討』


『武器を手放す 3点減点』


おう、この時点でこんなに減点されるのは初めて見た。

しかも要検討とか・・・これは5点減点で済みそうもない。



そのあとも彼女は、



〈炎トラップ〉



ボォォォォォォ!!


「きゃぁぁあっちいいいいいあっつ!!燃える燃える!!」


「ああ!私のおしり燃えてる!!あっちぃぃ!!」


ピコン!ピコン!


『炎トラップに引っかかる 5点減点』 


『火傷の薬を所持していない 2点減点』




〈モンスターの巣トラップ〉



「しずかに・・・静かに・・・。」


犬型モンスター一同「ZZZ・・・。」


「はぁ・・ハックション!!・・・あ!」


犬型モンスター一同「・・・・。」ガン見


「あ・・・あはは、どうも。」


一同「ワンワン!!」


「ですよねぇぇ!!」逃走


ガブっ


「いっでえええええええ!!!」


ピコん! ピコん! ピコん!


『自滅によりトラップ起動  5点減点』


『モンスターに噛みつかれる 3点減点』


ぴこん!


ぴこん!


ぴこん!


ぴこん!


ぴこん!


なんだこれはたまげたな・・・先ほどから減点報告の通知がやまない、すでに試験官の一名が〈Ⅾストップ〉の合図を出している。あと二人Dが出たらあの子失格だぞ。こんな奴は初めてだ、まじでなにしてん・・・。


もう笑いどころしかないんだけどWW。腹痛いわwww


ちなみに〈Dストップ〉とは、受験者のダンジョン攻略がこれ以上は危険と判断され、3名以上の試験官の合図が確認されたときにダンジョン内の全ての活動を停止させる名称のこと、事実上の失格ね。




「はぁ・・はぁ・・やっと・・やっとついた。」


目の前には大きな石の扉が、ついにダンジョンの最深部まで来たのである。ここまで〈Dストップ〉二人出てる。

あと一人で失格だけども・・・まぁがんばれ。私は笑いを堪えるのを頑張る。


「よし!いくぞ!」


気合を入れて重い扉を開ける。


ぴこん!


『最後のチェックポイントを見逃す。 3点減点』


あら~気合い入れて入ったのはいいけど、結局チェックポイント全部無視しやがったなあの小娘。

まいい、最後の締めと行きますか。ダンジョンに潜ってくれていた試験官の皆さんは本当にご苦労さんです。

今日は飲みにでも行きましょう。





・・・・・・・・・





扉を開けるとそこは巨大な空洞であった。そこは緑の苔に覆われた地面に、大きな湖、天井には穴がいくつもあり、その穴から太陽の光が入ってきて、大きな湖をきらきら輝かせる神秘的な場所であった。


「きれい・・。」


思わず口から出てしまった・・。


ダンジョンの最深部にこんなに素敵な場所があるなんて。


しばらく堪能していると、湖の真ん中に浮いている小さな緑の島を見つける。

よくみるとそこには石で作られた台座があり、その上にお目当ての青く光るパールが、、。


「あれだ・・。」


すでにボロボロの体を何とか動かして真ん中の島まで進む。

幸いにその島までは細い道があり泳いで体力を消耗しなくて済みそうだ。


台座の前まで進み、ここまでの事を思い返す。思えば苦しい道のり・・色々大変だったがよくここまでこれたと自分でも驚いている。


震える手でパールを手に取り、青い輝きに感動する。これほど綺麗な宝石なんて見たことがない、太陽の光で青いパールがさらに輝きを増し、この深い青に引き込まれそうな気持ちになる。

嬉しさのあまり、自然と笑みがこぼれる。



ついにやった!



やった、やった!私はやった!!



長くて苦しい戦いに私は勝利したんだ!!



これで私は冒険者!!冒険者だああああああ!!!



「やったぁぁぁ!!やったよぉぉ!!あははは!!」


歓喜のあまり私は天を仰ぐようなポーズで涙を流す。

喜びのあまり、背後での大きな動きに気付かなかった。


ウゴゴゴゴ


「はぁ~最高・・・・ぇ?」


背後から聞こえるうめき声みたいなものに気付いて後ろを向いた、すると。


ウゴゴゴゴ


「はっ・・・!?」


巨大なタコのようなモンスターがこちらを睨みつけていた。



そうだ、こんな簡単に手に入るわけがない。



守っているモンスターがいて当たり前じゃないか、なんで気づかなかったんだ。そういうとこだぞ私!



どうしよう・・・どうすれば・・・。



よし!!かくなる上は・・・。




「あ・・・えっと・・・これ、返します。」



とりあえず差し出してみる。



・・・・・・・。



「いや~これあなたのですよね?あ、もしや台座に戻せと・・・はいすぐ戻します。」



「私気付かなくってすいませんでした。おほほほほ。」



「ご安心を、もうすぐ帰るんで、それでは・・お元気で~・・。」



・・・・・・・・。



こちらを注視しているモンスターをよそに私は出口に向かう。

よしよし、うまくいったはずだ。これで私は助かる。もう大丈夫、そう思った瞬間・・。


ぐぉぉぉぉぉぉ!!!!


「ひぃぃぃぃ!!やっぱりだめぇ!?」


タコモンスターは雄叫びと共に暴れ出し、私を触手で巻き付け逃げられないようにする。


「うぇぇえぇぇごめんなさい、ゆるしてぇぇぇぇ。もう二度と来ませんからぁぁぁ。」


大号泣


傍から見ればなんともみっともない光景である。


タコのモンスターもこれにはビックリ。


「うぇぇぇパール取ろうとしてごめんなさぁぁい!!うわぁぁぁぁぁん。」


もうプライドなんてくそくらえだ!!とにかく泣いて謝れば許してもらえると考えているらしい。それはそれで若干イライラしたタコモンスターは彼女に巻きついている触手をグルングルンと回し始めた。


「おわ!わわわ!!!めがまわる!!」


ぐるんぐるん 回るスピードがはやくなり、そして・・。

 


プシューン!



洞窟の穴から大砲のように放り投げた。



「うわぁぁぁあぁぁぁ!!!」




・・・・・・・・



「みてみて!おかあさん!人が飛んでる!」



「そんなことあるわけないでしょ。ほら、帰るよ。」



「え~本当に空飛んでたよ~。」



「はいはい。わかったから。ほら行くよ。」




・・・・・・・・・



「ぶべぇ!!?」


彼女は飛んでいる最中ありったけ叫び最後は木に激突、そのまま地面に顔面からいった。痛たそ。


「ぐごぁ!?いだぃはながぁ!!」


しばらく鼻を押さえながら地面を転がる。そして落ち着いたと思えば立ち上がり、


「もう、なに!!あんなタコ野郎、ふん、まぁでも?パールはこの手の中にありますよー!今度会ったらただじゃ置かないからね!!」


負け犬の遠吠えとはこのことのようなセリフを吐いた。

私が一部始終見てないとでも思ってんのかこいつはよ。


鼻血出てるこいつに色々言いたい。


タコのモンスターに吹っ飛ばされ、スタート地点に戻る形で幕は閉じた。

まだまだ元気じゃねぇかよ。私は頭を抱えて彼女を見た。私に気づいた彼女は立ち上がり私に近づく。

こっちくんな。さてと・・・。


「えっと・・・ライスさんでしたっけ?」


「あ・・・アイズって呼んでくれますか?」


「あっそう、では試験お疲れ様です。結果は本日中にディステニー試験場の掲示板にて発表いたします。おかえりは帰還の魔方陣に入ってお戻りください。お宝はこちらで回収します。」


「はい、ありがとうございました!!」キラキラ


目をキラキラさせたままお宝を差し出す。結果が待ち遠しいのね。

よほど自信があるようで自信満々の笑顔、けっこうけっこう。鼻血出てるけど。


今日はこれで終わり、あの小娘は私に宝を渡すとさっさと帰ったので私もダンジョンのメンバーと合流をして町まで戻ることにしよう。


思い切り背伸びをしてため息をつく。


あーあ、ひどい試験だったなぁ〜と。





こうして実技試験は幕を下ろしたのであった。





数時間後・・。



【ディステニー冒険免許試験場 受験者待合室】


今日受験した人たちが掲示板の前で今か今かと結果を待っている。

全員無言で一言もしゃべることがなく、時計の針の音が不気味なくらい大きく聞こえ、部屋は重々しい独特な雰囲気に包まれていた。


ガチャ


ドアが開く音が部屋全体に響き、受験者は一斉に音のした方へ向く。


そこから大きな紙を持った試験官が数名。


掲示板に白い紙を張り始めた。


そして、、


「これから合格者不合格者の発表を張り出す、名前の隣に合否が載っている。合格者は手続きを行うため、この後すぐに二階の冒険免許交付場へ来るように。」


次の瞬間、部屋にいた受験者全員が一斉に掲示板前に殺到する。そして・・。


「うお!?よっしゃぁぁぁ!!」


「・・・・フフ。」


「まぁそうだろうな。」


「やったネオねぇちゃん!!」


「ふっふーん!どんなもんだい!」


「そんな・・・ばかな・・・。」


「くそぉぉぉぉぉ!!」


「・・・・ああ、神よ。」


「・・・・ダメだったかぁ。」


掲示板を見てみな思い思いの反応を示している。

今回、受験した79名のうち30名が合格。掲示板前では喜びや絶望が入り交じりカオス状態である。


ちなみにあの子はというと・・・・




アイズ バレン 不合格



「・・・・・・・!?」目をこする



アイズ バレン 不合格



「・・・・・・・!?」二度見



アイズ バレン 不合格



「そ・・そんなぁぁぁぁぁぁぁ。」Orz




この日、大泣きしながら試験所を飛び出していく少女がひとり。




「うわぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!」





あ~泣いてる泣いてる。

受かるわけねぇじゃん1点でよ。クフフフフ


「ムフフフ・・あ~腹痛い。」


試験場の近くのカフェで笑いをこらえて震えながらその様子を見ている試験管も一人。




今日も多くの人が冒険者を目指しに冒険免許試験場へ来ていた。




つづけない


ありがとうございます。またお会いしましょう。



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