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英雄と呼ばれる最強魔法師  作者: ヨッシー
入学試験編
1/25

休戦直後

 はじめまして、ヨッシーです。これから少しずつ投稿していこうと考えています。


投稿するのが初めてなので、温かく見守って頂けたら幸いです

 1980年 4月


 休戦協定が結ばれてから数日が経った朝、家族と共に朝食を食べていると、インターホンが鳴った。俺は食事の手を一旦止めて、モニター画面を確認して応答ボタンを押した。


「今、開けるから少し待っててくれ」


 俺は返事をして、終了ボタンを押して玄関へと向かう。俺は頭の中で鍵を想像した。魔力を鍵の形状にして鍵穴に差し込み回転させて開錠した。ドアを開けると、そこには見慣れた金髪の美少年が立っていた。


「ハヤテ、朝っぱらからどうしたんだよ?」

「それが明日、父さんたちが帰ってくるみたいなんだ!」



この興奮気味に話しかけてくるイケメンの男は、黄場ハヤテ 。一応、ハヤテとは、保育園、小学校、中学校と同じで、俺にとっては幼馴染といえる存在だ。



「本当にもうすぐ帰ってくるのか!?」

「確かな情報だよ!どうやら、その様子だとまだ知らなかったみたいだね。わざわざ走ってきたかいがあったってもんだよ!」

「わざわざ伝えに来てくれて、ありがとな。母さんもサラも聞いたら喜ぶと思う」

「うん、僕もお父さんが帰ってくるのが待ちきれないよ。それじゃまた来週学校で!」

「ああ」



 ハヤテを見送った後、俺がリビングへと戻ると横から何かが飛びついて来るのが分かった。俺はとっさにそれを受け止めてやる。そんなに走ったら危ないじゃないかと思っていると、それはこちらの方を見上げて笑顔で聞いてきた。


「誰だった?」

「ハヤテだった。父さんたちが明日帰ってくるみたいなんだ。そのことをわざわざ教えに来てくれたんだ。」

「それ本当!?やったあ、パパが帰ってくる。」


 俺の言葉を聞くと、それはピョンピョンと飛び跳ねてはしゃぎだした。彼女は今年小学校に上がったばかりの俺の妹のサラだ。しかし、妹のはしゃぎっぷりも驚きではない。何せ、自分たちが父さんと会うのは、6年ぶりのことだから。


 会話を聞いていた母さんが俺たち二人に提案をした。


「そう。じゃあ、パパの好きなハンバーグでも作って帰りを待ちましょうか。」


「うん!」


 その提案に俺たち2人は賛成するのだった。




 日曜日の夕方、俺達は東京駅に来ていた。東京駅には多くの人が駆けつけていて、俺ら家族三人は、はぐれないように手をつないで、電車が来るのを待った。


 

 遠くから電車が来るのが分かった。電車はゆっくりと速度を落としながら駅内へと入ってきて、停車した。電車のドアが開き、兵士たちが次々と降りてくる。降りてきた兵士たちはキョロキョロとあたりを見渡し、家族を見つけると近くへ駆け寄り、再会の喜びを噛みしめあっている。


 そんな中、俺は知っている人を見つけた。ハヤテの父親だ。父さんが一向に降りてくる気配がないので、もしかしたら何か知っているかもしれないと思った。


 俺はおじさんのところに駆け寄り、声をかけてみた。


「ハヤテのおじさん!ハヤテの幼なじみの黒川カイです。お久しぶりです。」


 ハヤテのおじさんは俺と視線があって少し間があってから、応答してくれた。


「やあ、カイ君大きくなったね。元気そうで何よりだ。

再会したところで悪いんだけどね、おじさん少しばかり疲れているんだ。今度、またゆっくりハヤテも一緒に交えて話そう。・・・」

と早々と会話を切り上げてと少し俺から顔を背けて去っていった。最後のほうの言葉は小声で聞き取り辛かったがこればかりは俺にも言えねえと言っていたように聞こえた。


俺たちはハヤテのおじさんが去ってから、父さんの帰りを待ったが、父さんが現れることはなかった。




 翌朝、登校する用意が終わり、時間に余裕があるのでテレビを見ていると、電話が鳴った。


 母親は受話器をとって、俺とサラが食べ終わった食器を流し台に運びながら、会話を始めた。


 数分後、テレビを見ているとキッチンで何かが割れる音がした。俺は大丈夫かなと思い駆けつけてみると、食器が割れて破片が散らばっていた。母さんは受話器を片手に膝から崩れ落ちていたので、俺は声をかけた。


「母さん大丈夫?」


 俺は心配に思いながら母さんに声をかけてみるが返事がない。


「ねえ、母さん?」


 彼女は一向に動かない。どうしたのかは分からないままでいると、電話から黒川さん、黒川さんと呼ぶ声が聞こえたので、とりあえず俺は母親に代わって電話に出ることにする。


「はい、黒川です。誰ですか」


電話の話し相手は子供が話しかけてくるとは、思っていなかったようで


「あっ、えっ、ごほん、ごほん」と驚き、少し咽せたものの、すぐに気持ちを切り替えて、


「私、魔法部隊に所属する藤木と申します。黒川大輔様のご子息様よろしかったでしょうか。」


俺はすぐに嫌な予感がした。一般人への軍からの連絡がくることはめったにない。


「はい、黒川大輔は僕の父さんですけど、父さんはまだ帰ってきてないですよ」


「はい、本日は黒川大輔様のことでご連絡させていただきました。お母様は詳細お伝えしましたが、今大丈夫でしょうか」


「母さん、ねえ軍人さんだよ」


俺はまだボッーとしている母さんの肩を揺らしたが反応がない。まだ父親のことについての話だと言われただけなのに自分の手が微かに震えてるのが分かった。


「母さんは今電話に出れないので、僕が聞いても良いですか」


軍人さんは少しばかり緊張したように言った。


「ではお伝えします。魔法部隊10大隊所属 黒川大輔様はこの度の戦争で亡くなられました。」


それを聞いた俺は母さんと同様、魂が抜けたように頭が真っ白になったのだった。


 








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