骨がもろい格闘家
はぁ……
なんだろう、ため息しか出ない。
先端恐怖症の勇者と、HP1の魔法使いってなんだよ…。
僕は今まで、かなりの数のゲームをしてきた。
音ゲー、RPG、格闘、ジャンルは問わずに色々なゲームと向き合って、そのストーリーに向き合ってきた。
けど、この夢には向き合える自信がない!
後ろを歩く2人をチラリと見て、僕はまた、ため息をついた。
優「戦力がなさすぎる…」
カ「ん?どうし……ひぃ!!」
僕が持っている伝説の剣が視界に入ったのか、カインは後ろに後ずさりした。
ユ「カイン、まだ触れないの?それじゃ勇者とは言えないよね?戦えないでしょ」
いや、HP1のユラも戦闘時は役にはたてないよね…。
優「ねぇ、街に着いたらさ、仲間増やそうよ!…そうだなぁ…あ、格闘家とか!」
2人は僕を見て気まずそうな顔をした。
カ「それって…あれだよな?俺達が使えないから…」
ユ「だよね…。戦闘になったらすぐに死んじゃうし……」
カ「俺は石を投げるしか出来ないし…」
あ、どうしよう…意外とメンタルも弱い!
優「いや、あの、ほら、もっと
人数いた方が明るくて楽しいでしょ?」
僕は慌てて取り繕ってみたけど、本音は2人の考えてる通りです……。
カ「…………それもそうだなぁ」
ユ「確かに、人数いれば時間かせげて、戦闘時に魔法使えるかも」
立ち直り早いなっ!
この似た者幼なじみコンビ!
カ「よし!そうと決まれば、すぐに街で格闘家を探すぞ!!」
ユ「じゃあ、魔法で飛んじゃおうか。それっ」
ユラは杖を振ると、僕達が歩いていた草原は一瞬でにぎやかな街の前に変わっていた。
本当に戦闘時以外は大魔法使いだよ、ユラは。
-街の酒屋-
ガヤガヤ ガヤガヤ
カ「随分にぎやかな酒屋だなぁ」
確かに、にぎやかな筋肉質の人がいっぱいいるなぁ
優「この中に武闘家がいれば、すんなり話がすすむんだけど…」
ユ「あの人、かなりの筋肉だよ?武闘家みたいな格好だし、声かけてみる?」
確かに、ちょっと憂いをおびてるけど、あの鍛えられた筋肉、厚い胸板、射貫くような視線……強そう!
優「あのー、すみません…」
カ「仲間になってほしい!」
優「いや、直球!!」
ユ「僕達は神様からのお告げで旅をしているんだ。良かったら力貸してくれないかな?」
あれ、旅してたっけ?
僕の記憶だと、ユラが歩くの疲れるって言って、魔法で飛んでばかりだった気が……いや、それも旅になるのかな?
?「……神様からのお告げ…か……。わかった、同行しよう」
カ「よし、これで最強メンバーがそろったぞ!」
優「最強メンバー…?うん、ある意味ね」
?「俺はバルドルだ、よろしくな」
僕達は街を出て、悪の魔王の城まで歩み始めた……はずだった…。
優「ほら、モンスターだよ!あ、ちょっとユラ、戦闘不能早いから!カイン……は、変わらずに石投げてるし…」
バ「なんだこの状況は……!?」
優「あー……先端恐怖症の勇者と、HPが1しかない最上級魔法使いなんです、この2人」
バルドルさんが、なんだかワナワナしている。
きっと呆れているんだろうなぁ…。
バ「ここは、俺が頑張るしかないようだな…いくぞ!うぉぉぉぉぉ!!!」
バルドルさんが、スラ〇ムに向かって素手で殴りに行く!
さすが武闘家!!
バキッ ボキッ
バ「うぉぉぉぉぉ!!!う、腕が!腕がぁ!!!」
優「…………うそーん……」
バルドルさんは、スラ〇ムを殴った拍子に腕の骨を折った。
あのプヨプヨとしたスラ〇ム相手に。
優「骨、もろすぎだろ…」
結局、その場はいつも通り、勇者カインがモンスターの目に石を投げつけて戦闘を終わらせた…。
あぁ……なんだろう。
終わる気がしない……。
僕は3人を見てから空を見上げた。
空にはカラスが飛んでいて
アホー アホー
と鳴いていた。
まるで僕達に鳴いているかのようだった…。
はい、新メンバー出てまいりました。
また問題を抱えておりますね(笑)
優気くんは、どうやって導いていくのでしょうか(笑)
お目汚し失礼いたしました。