魔法使いは体力皆無!
僕は救世主3話目でございます。
新しい仲間が出てまいります!(笑)
ガチャ ガチャ
とりあえず伝説の剣を手に入れて、勇者カインと近くの街で鞘を手に入れ、そこそこ重たい伝説の剣を……なぜ僕が持って歩いているんだ!?
優「カイン!いい加減に伝説の剣に慣れてくれないかなぁ?!」
先端恐怖症の勇者カインは、鋭い剣先が怖いと言って勇者にあるまじき姿で泣き叫び、あげくに苦労して鞘を手に入れた今も
カ「鞘の中には鋭い剣先の剣が納められているぅぅぅ!!!」
と、持つことさえ、拒否している。
……自称神様は僕は救世主として、カインを導き悪の王を倒せと言っていた……これは難しすぎる夢だ!!
優「僕の夢なんだから、もっと僕に有利な展開になってよ…。全然夢から覚めないし…あれかな、自称神様の通りにしないと、夢から覚めないって僕が望んでたりするのかな…」
伝説の剣を両手に持ち、うなだれる。
……いや、まてよ。
自称神様は勇者一行を導けって言ってた……。
普通のRPGなら、もちろん勇者だけじゃなく、黒魔道士とか白魔道士とか、武闘家、踊り子、色々なメンバーで動くものだ!
優「ねぇ、カイン!仲間は?」
2m後ろをトボトボと歩く勇者らしくないカインは剣を見ないように顔をそらしていた。
カ「ぇ…仲間?」
僕は伝説の剣を背に隠してカインの方に振り向く。
じゃなければ、まともに話せない。
優「うん、魔法使いとか、武闘家とか……幼なじみとか?」
カインは剣が視界に入らなくなると、さっきまでとは打って変わり、勇者らしい口調になった。
カ「幼なじみの魔法使いなら、いるぞ!俺の故郷の村に戻ればな!」
……いや、切り替わり早いから。
剣見えないと、そんなに勇者になれるのかよ…。
優「幼なじみの魔法使いに会ってみたいな!カインの故郷の村に戻ろうよ!」
伝説の剣だって、あんなに近かったんだ。
たぶんまたすぐに、故郷の村に着くはずだ!
だって、これは僕の都合の…ちょっと悪い夢なんだから!
カ「あー……故郷の村は、ここから歩いて10日はかかる!」
優「なんでだよ!」
剣は楽だったのに、仲間に会うのは大変なのか!
どんな夢だよ!
優「ってか、幼なじみに魔法使いがいるのに、なんで1人で村を出てきたの?!」
カ「いや、神様が早急に伝説の剣を探せと言っていたから。なんだ?あいつも一緒の方が良かったのか?」
優「カインは魔法使いと一緒に行こうとかいう流れを無視したのか!今までモンスターとかに会わなかったの?奇跡の勇者なの?!」
カ「モンスターならよく倒してきたぞ?」
優「え、じゃあどうやって戦ってたの?装備は……甲冑だけだよね?素手?」
カ「石投げてた!」
優「川辺の子どもかよ!?」
石でやられるモンスターって……。
もはや素手ですらないんだ……。
石なんだ……。
優「石だって尖ってたりするんじゃないの?それで攻撃して倒せるくらいなんだから」
カ「丸い石で敵の目に全力投球していた!」
優「いや、ドヤ顔で卑怯なこと言わないでよ!勇者が!」
ダメだ……、なんだか色々と僕の夢ダメだ……。
優「はぁ…。せめてカインの幼なじみの魔法使いがここにいたら…」
?「呼んだかい?」
……え、誰?
いきなり隣に、髪の長い綺麗な顔立ちの華奢な……たぶん男性が現れたんですが…?
カ「おぉ!ユラじゃないか!久しぶりだなぁ!優気、今話してた幼なじみの魔法使いだ!」
ユ「なんだか僕の話が聞こえた気がして魔法で飛んで来ちゃった。」
あぁ、神様、仏様、僕の夢力様!
なんだか魔法レベルが高そうなオーラが漂っています!
そうだよ、勇者がこんな感じなんだから、サポートの幼なじみが強いんだよ!
そうやってバランスがとられてるはずだ!
優「はじめまして!優気と言います!いや、お会い出来て本当に良かった!」
僕は伝説の剣を投げ出して飛びつきたかった!
カ「優気は救世主なんだ!」
ユ「へぇ!君が神様が言っていた救世主かぁ。僕はカインの幼なじみで、最上級魔法使いのユラ。よろしくね」
ユラって呼んでねーと、にこやかな笑で挨拶をしてくれた。
あ、男性なんだー……ん?最上級魔法使い?
優「カイン!なぜユラを連れて村を出なかったんだ!?最上級魔法使いってすごいんでしょ?!」
カ「あぁ、ユラはすごいぞ!この世のあらゆる魔法を使えるんだ!」
だからドヤ顔やめてよ!
僕の思い描く勇者って、こんなにダメダメなの?!
カ「ただ、ユラは…」
ジャジャーン ドォーン
どこからか聞いたことない音楽が鳴り響いてきた。
目の前には初期によく出てくる弱そうなスラ〇ムが3体
優「あ、モンスターが出てくる音だったんだ。さぁ、ユラ!最上級魔法使いの力を見せて!」
ユ「うん?わかった…今、呪文唱えるから」
ユラは杖を懐から取り出し呪文を唱え始めた。
スラ〇ムはユラに1の攻撃をした。 ユラは戦闘不能になった。
………………はぁ?
優「え、ユラ何倒れてるの?え、まさかあの攻撃で戦闘不能って言わないよね?え、何なの?何が起きたの?!」
カ「ユラは昔から体力がなくてなぁ。ベッドで横になりながら本を読みふけっていたら、最上級魔法使いになったすごい奴なんだ!」
カインはスラ〇ムに丸い石を投げつけながら説明してくれた。
いや、ドヤ顔でスラ〇ムの目に全力投球しないでよ。
なんかすごく痛がってて可哀想だよ。
チャラララッチャッチャー
あ、たぶんモンスター倒した音楽だ。
だって本当にスラ〇ムを石で倒してたもん。
ユ「はぁ、痛かった」
ユラはむくりと起き上がった。
どうやら戦闘終了時には自動的に回復するらしい。
優「いや、何ごともなさげに髪かきあげてるけど、ツッコミ所満載だからね?!疲れるからはぶくけど!!」
石で倒す勇者に、HPが1しかない最上級魔法使い……ダメだ……先が思いやられる。
僕は背中に隠している伝説の剣を強く握りしめたが、目の前が真っ暗になった気がしていた……。
いやぁ、新しい仲間が出てきましたね。
HPが1しかない最強の魔法使い!
どうしましょう(笑)
お目汚し失礼いたしました。